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竿斬りの舞  作者: 凪子
第八夜
94/146

94.

「舞」


秋山がうろたえる。


朋子の顔からは一瞬表情が消えうせたが、やがて冷笑がとって変わった。


「あーあ。ばれちゃった」


いたずらっ子のように無邪気に言って舌を出す。


「朋子……どうしてここにいるの?誰かに、捕まえられたんじゃ」


朋子は甲高かんだかい声を上げて爆笑した。


「やだ、アレ信じてたの?てことは、狭山一詩の竿も斬っちゃったんだ。かわいそうー」


その言葉に、秋山の肩がぴくりと反応する。


舞はわなわなと唇を震わせて立ちすくむ。


今にも倒れそうなほど血の気が引いていた。


朋子は腕を組み、舞に詰め寄ってあざ笑う。


「私はね、舞。御前付きのメイドとして、ずっとあなたを監視してたの。化け物の見張り番だったというわけ。だからこの前の電話も、今までのこともぜーんぶお芝居。どう?驚いた?」


この上なく残酷な笑い声が、舞の頬を容赦なく打った。


「友達だと……親友だと思ってたのに」


「気持ち悪いこと言わないで。寒気がしちゃう」


朋子は大げさに身を震わせると、氷点下の眼差しで舞を貫いた。


「私はあんたのことなんか大嫌いだった。いつもいつも、私を助けるふりをして見下して、私から何もかも奪っていくあんたが。今までよくも私を馬鹿にしてくれたわね。

小さいころからそうだった。男も女も、あんたのいい子ぶった演技に簡単に騙された。

みんなからチヤホヤされて、偉そうに調子に乗って……あんたの顔を見るだけで虫唾むしずが走るのよ」


「朋子」


「でも、それももうおしまい。たった一人の友達に捨てられた気分はどう?」


これまでの自分の人生を、丸ごと否定された気分だった。


打ちのめされて崩れ落ちた舞に、朋子は哄笑こうしょうを浴びせかけたかと思うと、平坦な真顔になって言った。


「今まで奪われてきた分、私があんたから全てを奪い去ってやる」



























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