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竿斬りの舞  作者: 凪子
第八夜

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85/146

85.






無我夢中で自宅に戻り、めぐみ居室きょしつに飛び込むと、手短に事情を説明して頭を下げた。


「お願いします。どうか御剱の力を使って朋子の身柄を保護してください」


まばたきもせずに事情を聞いていた萌は、大きく嘆息たんそくした。


「事情はよう分かった。じゃが舞、そなたの望みを叶えることはできぬ」


舞は弾かれたように顔を上げた。


「どうしてですか。当主様の力さえあれば、朋子を探し出すことなど容易でしょう?」


萌の表情は黒い扇によって半分隠されている。


両目だけが、かすかに憐れむような光を帯びて舞に注がれていた。


「舞、日向野はそなたより何倍も上手うわてじゃ。たとえその朋子とやらを助けたところで、今度は他の人間を人質に取るだけのこと。きっとあらゆる手段を講じてくるじゃろう。そなたが狭山一詩の竿を斬るまで」


舞の表情が苦しく歪んだ。


「ですが……、このようなやり方は許せません。第一、Kの正体もつかめていないのに、竿を斬ったところで、SPOにぶんどられることは目に見えているではないですか」


「そなたも聞かされておろう。竿に執着しておるのは日向野鉄のほうじゃ。あの女は竿が盗まれようと歯牙しがにもかけまいよ。それに狭山一詩の竿をおとりにして、Kが再び盗みに入ったところを取り押さえるつもりなのかもしれぬ」


「そんな」


目の前が真っ暗になる。


萌は長い睫毛を伏せた。


「SPOは再生の力を手にしたのじゃ。怖いものは何もないじゃろう」


確信のこもった口調に、舞は顔を上げる。


「再生の力が本当に存在するとおっしゃるのですか」


萌は重々しく頷いた。

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