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竿斬りの舞  作者: 凪子
第七夜
77/146

77.

「鉄がやろうとしていること、やっていることは犯罪だ。君はそれを知っている」


静かな、だが決して偽りを許さない声がたたみかける。


「何のことをおっしゃっているのか分かりません」


「嘘はよくないな」


秋山は優しく唇の端を持ち上げた。


「鉄に脅されているんだろう?大丈夫だよ。こちらに来ればいい。真実を話してくれるというのなら、君の身の安全は保障する」


舞は顔を歪めた。


「こちらとおっしゃいましたね。……あなたは何者なんですか?」


秋山は決然とした顔で、


「今はまだ言えない。だけど信じてほしい。俺は君の味方だ。君を害するようなことは何一つしないと約束する」


そのとき、舞は強い既視感きしかんを覚えた。


ひたむきで一途いちずな瞳をした秋山の後ろに、一詩の姿がだぶって見える。


どうして同じようなことを言うのだろう。


「秋山さん。あなたは先ほど、その人のためなら何でもするとおっしゃいましたね」


秋山は目で舞の言葉を肯定した。


「あなたにそんなかけがえのない人がいるように、私にも背負うべきものがあるんです。おいそれと投げ出してしまうわけにはいきません」


「幼馴染が悪い道に走ろうとしていたら、止めるのが友達の役目だ。

俺はこれからきっと、鉄と対立することになるだろう。辛いが、後悔するつもりはないよ。

だから今のうちに、君にこちらへ来てほしいんだ」


切実な声の響きに、舞の心は揺れ動いた。


「どうして」


かすれた声は途中でかき消される。


秋山が身を乗り出し、舞の肩に手を乗せて唇をふさいでいた。


瞳を閉じることも忘れていた。


どんな感情もいだく暇がないほど素早く、かすめるようなキスだった。

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