76.
「そんなことないと思います。私と秋山さんは全然違います」
一体、自分と彼のどこに共通点があるというのだろう。
容姿も性格も、考えだってまるっきり違うのに。
秋山は舞の瞳に疑念を読み取ってか、軽く首を振る。
「似てるよ。自分を偽ることに長けているところが」
舞は息を呑んだ。
「いつだって本音を言わず、自分の身を守り、強い目的のためなら手段を選ばない。
……どう?当たってると思うんだけど」
膝の上で、握った拳が震え出した。
見透かされている。
初対面に近い間柄の人に、ここまで読み取られているなんて。
秋山は舞の返答を期待していないのか、独り言のように、
「俺は昔から、札つきって言われるような悪ガキだった。孤児院でも学校でも手のつけられない問題児で、誰も傍に寄せつけなかった。ずっと人が怖かったから」
暗く荒んだ目をした少年の姿が目に浮かぶ。
「あのとき拾ってくれた人がいなければ、俺はきっと本当に、どうしようもない奴のままだったと思う。だから、俺はその人のためなら何だってするつもりだ」
切れ長の大きな瞳に射すくめられ、舞は唾を飲んだ。
「鉄は俺の幼馴染だ。だけど、それよりも優先すべきことがある。
……教えてほしい。鉄が本当は何を企んでいるのかを」
容赦のない声色だった。
舞の脳裏に、先日の鉄とのやりとりが思い起こされる。
真実を知らなければ、しらを切ることも容易だったろう。
だが、なぜ竿を狩り集めるのか知ってしまった今では、動揺は隠せない。




