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竿斬りの舞  作者: 凪子
第七夜
72/146

72.

つまりあのカフェは、秋山家の経営する店舗の一つということか。


飲食店をこんなに若い養子に任せられるくらいだ、相当に羽振りのよい実家に違いない。


「あのカフェ、地下にいくつか会議室がありますよね。あれって、誰が使うんですか」


「そんなこと聞いてどうするの?」


秋山は微笑みを絶やさずに尋ね返す。


舞はたじろいだ。


「いえ別に。ちょっと気になったので」


「あれはね、近くの会社の人とかがたまに使ったりするよ。そんなに広くないから、大所帯には向かないけどね」


「そうですか」


舞はそっと溜息をつく。


ちっとも真相が見えてこない。はぐらかされているのか、本当にSPOとは無関係なのか。


分かっている。


剣先が鈍るのは、いま一歩間合いを詰めて斬り込めないのは、自分の気持ちが邪魔しているせいだ。


この人が無関係であればいいと願っている。


「ついたよ。来たことある?赤レンガ倉庫」


秋山が指さしたのは、横に長い煉瓦造れんがづくりの古色蒼然こしょくそうぜんとした建物で、舞のお気に入りだった。


思わず足が速まる。


「はい。私ここ、大好きです」


ぱっと咲いた笑顔に、秋山は目を細める。


「そっか。よかった」


彼はそう言ってごく自然に、舞の手を取った。













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