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竿斬りの舞  作者: 凪子
第一夜
5/146

5.

――御剱(みつるぎ)の魔女。


誰とはなしに声をひそめてささやいた、その呼び名は畏怖(いふ)とともにじわりじわりと広まった。


(おもて)を上げよ、と(めぐみ)は鈴を転がすような声で命じた。


「近ごろとみに任務の量が増えておる。そなたも疲れが溜まっているであろう」


「とんでもございません。私は御剱家のため、身を粉にして働く所存(しょぞん)にございます」


萌は嫣然(えんぜん)と微笑する。


「そなたは頭がいいの。その歳で身の処し方を知っておる」


「もったいないお言葉にございます」


やりとりを聞いていた天河が、「萌様」とたしなめる。無駄なおしゃべりはよせと釘を刺したのだ。


御剱萌の存在は謎に包まれている。


当主でありながら(おおやけ)の場には姿を見せず、年齢どころか直系の血族が誰なのかさえ伏せられている。


少なくとも、舞の母親が生まれたときには既に当主の座にあり、長年にわたって御剱家を支配してきたらしい。


こうして戯れ(たわむれ)に交わされる雑談から萌の正体を推測しようとしているのだが、その企みはことごとく天河(てんかわ)に阻止されている。


「では本題に入るとしよう。今回の標的は十八歳。そなたと同い年じゃ」


舞は背筋がうすら寒くなるのを感じた。


頭に数少ない学友たちの姿が浮かぶ。

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