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41.
「あなたは引き続き監視役を続けてちょうだい。秋山という人物に関しては、こちらで調べておきましょう。話はそれからよ」
「御意」
朋子は膝を折って一礼する。
「氷の心を持ったあの子が恋するような相手……会いまみえるのが楽しみだわ」
「たいした男ではありません。美男子であることは否定しませんが」
「あら、妬いているの?朋子」
たおやかに微笑み、女帝は朋子を胸に抱きしめた。
「私が舞の利用価値を認め、秋山に興味を抱いているのが気に入らなくて?」
耳元で甘くささやかれ、朋子は頬を染める。
「あのような化け物など。この私のほうが、何倍も御前の役に立ってみせます」
「昔からの大親友に、随分ひどい言い草ね」
女帝の笑い含みの言葉を聞き、朋子の顔に薄氷のような膜が張る。
「そんなものになった覚えなど、一度もありません」
ぞっとするほど冷ややかな声で、朋子は呟いた。
「そういうしたたかな子は好きよ。私付きのメイドはあなた一人ですもの、これからも働きに期待しているわよ。私の可愛い子兎ちゃん」
女帝は嫣然と笑い、朋子の頭を撫でた。




