28.
「最近私のことを避けてない?」
新宿の雑踏を並んで歩きながら、朋子は突然言った。
唐突に図星を突かれ、思わず口ごもっていると、朋子は悲しそうに、
「やっぱりそうなんだ」
「そんなことないけど。ちょっと忙しくて」
「電話しても出てくれないし、メールも返さないし。すごく寂しかったんだからね」
唇をとがらせ、すねた声で朋子は言った。
「ごめんなさい」
うなだれる舞を見て、朋子は笑い出した。
「あははっ、珍しい~舞が凹んでる」
「……騙したわね?」
「騙したんじゃないよ、本当のことだもん。でも今の舞はかわいかったな。捨てられた小犬みたいな目してさ」
「もう。ひどいわ」
二人は目を見交わすと、どちらからともなくまた笑い合った。
笑い疲れたころ、朋子は不意に真顔に戻る。
「何かあったら言ってね。私はいつでも舞の味方だよ。忘れないで」
「ありがとう朋子。大学の友達だっているのに」
「いいのいいの。私は舞のお姉さんみたいなものなんだから」
「お姉さんは私でしょ?私がいなきゃ一人でトイレも行けなかったくせに」
「だからそれは小学校のときの話で……あっ、ここ入ろうよ」
突然朋子は立ち止まり、カフェを指さした。
「いいけど、でも、けっこう混んでるみたいだよ」
「何かの雑誌で見て、一回行ってみたかったんだよね」
そのカフェには「CAFÉ ONE plus ONE」と看板が掲げられていた。
秋山の顔が頭に浮かび、舞は二の足を踏む。
だが、朋子は店内に入ってしまった。




