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竿斬りの舞  作者: 凪子
第一夜
11/146

11.

こうして美しき刺客しかくは、黒き小箱を手に深閑しんかんとした夜を駆ける。


日向野エンタープライズの地下倉庫を訪れると、待ち構えていたように扉が開いた。


「約束の竿です」


黒い小箱を開けたのは、上等なスーツに身を包んだ男だった。


彼こそが日向野家当主・日向野鉄――通称『竿塚さおづかの鉄』である。


鉄は中身を確認すると、


「確かに」


と言い、整然と並ぶ大きな冷凍保管庫の一つにその箱を押しこんだ。


竿塚の鉄は竿斬りの舞に問う。


「手強い相手だったか」と。


これはいつもの同じ台詞せりふ、同じ時間に行われる同じやりとりだった。


いつものように、舞は無表情のまま答える。


「いいえ。またつまらない竿を斬ってしまいました」







【第一夜・完】

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