表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竿斬りの舞  作者: 凪子
第一夜
10/146

10.

そして今宵こよいも、夜のとばりに蝶が舞う。


案の定、立明大学のサークルに入会してきた舞に、誰もがとりことなった。


ただそこにいるだけで、人目を惹きつけるだけの魔力が舞にはあった。


整った面差しは一見近寄りがたく感じられたが、一度彼女と言葉を交わせば、誰もが可憐な微笑みに魅了された。


清潔感があり、おしとやかで優しい。舞はそんな『吉岡香子よしおかきょうこ』として完璧にふるまった。


舞の周りには砂糖にたかるアリのように男が群がった。


志田直人しだなおともご多分に漏れず、大輪の薔薇ばらをたずさえてデートに現れた。


舞は素直に喜び、ほんの少し彼に隙を見せてやるだけで良かった。志田は舞い上がった。


二度目のデートの帰り、舞は難なく志田の一人暮らしのアパートへ上がり込むと、彼の胸に顔をうずめた。


興奮する志田をよそに、冷静に右手の調子を確認する。


志田は密着した状態のまま、肩から背中、背中から腰、腰から胸へと撫でまわした。

息を荒げて唇を寄せてきたとき、舞が囁いた。


「待って」


とろけるように甘い微笑みを浮かべ、舞は志田の股間に手を伸ばした。


「香子ちゃん」


我を忘れている志田は、頼んでもいないのに下着まで脱ぎ捨てた。

完全に無防備な状態で恍惚こうこつな表情をしている。


刹那せつな、目にもとまらぬ速さで、舞の右手が鋭い手刀しゅとうを放った。


志田の股間をあやまたずぎ払い、ぐちゃりと果実がつぶれるような音が室内にこもる。


嵐の前の静寂。


時が止まった志田を前に、舞は立ち上がり、手袋をはめた左手で慎重に竿を取り上げると、黒塗りの小箱に入れた。


風のような速さで部屋を立ち去り、扉を閉める。


その途端、


「ぎゃあああああああ嗚呼アアアア!!!」


耳をつんざくような、志田の断末魔だんまつまが響き渡った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ