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生き返り  作者: 夢島 空
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第十一話 光

意識が遠くなるようなお話だ。

始めは不思議な夢をよく見るな、程度だった。しかしある時から彼氏のけんじも不思議な夢をみるようになり、そして私も同じく夢の続きを見るようになった。

いつからかそれが前世ではないか、と疑うようになってから夢は急速な勢いで進んでいく。今まではたまに見る夢だったのが、今は何かを私に伝えたいかのように毎回夢の世界に飛んで行ってしまう。そして同時に現実も繰り始め、いつも一緒にいたけんじには愛を感じなくなり、突然現れた年下の少年に惹かれ始め、しかもその少年は私の夢と大きく関係しているようだった。

もう既に現実と夢の境目が分からなくなってしまった。


私は目を開けたまま、ベットにうつぶせになって考えていた。耳元ではもう何度か着信が鳴っている。少年か、またはけんじか分からない。

けんじとは別れてしまい、少年からは夢の中の私役の少女が、現在の、いや既に現在ではお亡くなりになられた少年のおばあさんと同じ名前だといわれた。

いくら偶然でもこんなに一致するだろうか。


仮に私の前世が本当に”サヨ”という少女で、タカヒロさんとサヨは結婚の約束までしたが戦士してしまい、親友であるケイジロウ、今の少年のおじいさんがサヨと結婚しタカヒロの栄誉を称え孫に同じ名前をつけ、タカヒロさんは少年タカヒロへと生まれ変わったのだろうか。

もしこれが本当だとしたら、前世は存在し、前世の思いを引きずったままこの世に存在したことになってしまう。


では少年タカヒロは私と今世で結ばれる為に生まれ変わってきたの?


私の脳裏にはしっかりとタカヒロさんの顔が浮かんだ。


”やぱっり知りたい。本当に生まれ変わりがあるのか確かめたい。”


タカヒロの顔が浮かぶと同時に私の中で炎に火がついたように携帯を掴んだ。そして少年へ再度電話をかけてみた。


トゥルル トゥルル


何度目からのコールで少年は電話に出た。声がだいぶ驚いてるようだ。


「もしもし!おい!大丈夫!?」


「うん。ごめんね。驚いちゃって。」


「それはいいけどさ。なんかあんた俺の家庭事情知りすぎで怖いんだけど。はは。」


これは本心だろう。笑い声を作っていたが、私が少年の立場だったら正直怖い。


「あのさ。おじいさんの遺品てまだある?」


「え?」


「遺品。見せてもらいたいの。」


真面目な声で聞くと少年も真面目な声に変わった。


「正直言って本当に怖いよ。

 なんで俺んちの事そんなに知りたがるの?ちゃんと説明してもらえないと俺も見せたくないんだけど。」


その通りだ。少年は中学生とは思えないくらいしっかりしている。ちゃんと説明しよう、もし本当に私の事を頭のいかれた女だと思われて電話を切られるかもしれない。だけどもしかしたら少年がこの不思議な夢の謎解きに協力してくれるかもしれない。私は賭けに出た。


「分かった。じゃあ正直に話すね。」


私は意を決して夢の話をし始めた。初めからついさっき見た夢の話まで事細かに話した。その間少年は私の話をからかうこともなく、ただうなづいて真剣に聞いていた。


「て事なんだ。だからどうしても真実が知りたいの。」


そして一通り話しが終わると少年は黙ってしまった。私も少年が何て言うか待った。そして次の瞬間、少年は小さくこう言った。


「すげぇ・・・」


「え?」


私はよく聞こえず聞き返すと少年はさっきよりもはっきりした声で言った。


「すげぇ、よ。それ。もしそれが本当に前世だったら俺はあんたに会うために生まれてきたのか?」


「えっと・・まだ分からないけど、そうなるのかな。」


なんだか突然人が変わったかのように私の話に少年が食いついたので私も驚いてしまった。


「わかった。今度の土曜日、俺んちに来てよ。

 じいさんの昔の写真も日記もまだここにあるから。俺も真実が知りたい。」


暗闇の中に光が差し込んだ。私はベットに座りこんでいた体を持ち上げ、声を興奮して言った。


「本当に!?本当に協力してくれるの!?」


「あぁ。俺もあんたが運命の人か知りたいしね。」


また冗談交じりで少年は笑った。

これで本当にこの夢が真実かどうかが分かる。私もやっと笑顔になり「運命かもね!」なんて冗談を言って返した。

そして私達は興奮しつつも土曜日に約束を交わし電話を切った。




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