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リィズ短編集  作者: リィズ・ブランディシュカ
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02 たとえ俺がいなくても

よくある異世界転生でループ能力を手に入れた主人公の話。



「あぁぁぁぁぁぁぁ! 何でだ、何でなんだ。何で俺には誰も救えないんだ!」


 よくあるファンタジー転生。

 俺に与えられたのは、無限のループ能力だった。

 使用回数は無制限。

 異世界に転生して誕生してからなら、どれだけでも巻き戻せる。


 だが、何度やりなおしても上手くいかない。


 俺は皆を助けたかった。


 幼なじみの少女を、先輩を、友達を、家族を、知っている人も、知らない人たちも。


 けれど、上手くいかない。


 どうしてか上手くいかない。


 誰かの力を借りる?

 論外だ。


 諦める?

 そんな事はもっと論外だ。


 けれど、方法が見つからない。

 何度繰り返しても、どんな事を試してみても。

 思い付く限りの、ありとあらゆる方法を試しても、まったくうまくいかなかった。


 世界が滅んで、誰かが死んだ。

 事故に巻き込まれて誰かが死んだ。

 不幸なすれ違いで誰かが死んだ。

 災害にあって誰かが死んだ。

 あるいは、気まぐれに運が悪かっただけで死んだ。


 今の俺では駄目だ。

 誰も救えない、誰も守れない。


 限界を超えろ。

 人を捨てろ。

 情けを捨てろ。

 甘えを捨てろ。


 だから俺は結論を出した。


 人である事をやめる。

 泣く事をやめる。

 傷つく事をやめる。

 悲しむ事をやめる。


 人であるから、合理的な判断が降せない。

 人であるから、無用な人間を巻き込まないように余計な事をしてしまう。


 だから、選んだ。

 自分も捨てて、大切な物だけを守る事にした。


「悪く思わないでくださいまし」

「貴方はいつも冷静に私達を導いてくれたわ」

「だけど、いつも動じなさ過ぎた。端的に言えば気味が悪い。得たいがしれなかったんです」


 だから、ああ。


 全てを守れたその果ての先に、俺の姿がなくたっていいのだ。


「さようなら」


 さよならだな。


 これでいい。

 本当に大切なものだけは守り通せたのだから。

 たとえ守りたかった人達に裏切られたのだとしても。



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