3 ユナちゃんのテイム
「テイム!」
ユナが魔法を唱えるが、ポッと光ったかと思うと何も起こらずに消えてしまった。
「うーん、難しいよお」
ユナは涙目になる。
俺がこの家に来てから7日目。
通算、300回目の失敗であった。
まあ仕方ないよね。
だって俺、こんなのでもS級ミミックだし?
一度口を開いたら最後、ダンジョンの垣根を越えて災厄を撒き散らす呪いの箱だし?
実際、プロのテイマーでも俺をテイムするのってすごく難しいんだよ。
ユナ程度の魔力とテイムのスキルレベルだと、まあよくて成功率0.01%ってとこかな。
後、何千回かかることやら……。
テイムが失敗するたびに涙目になって、泣きそうな声でテイムをし続ける女の子を見るのは辛いから、はやくテイムしてほしいんだけどね。
もう、完全に俺が根負けしたわ。
その後もユナのテイムは続くが、一向に成功する気配はない。
そうするうちに、あの日から1ヶ月。
魔法学院の入学式前日になってしまった。
「ううっ……、テイム。テイム。テイム……。」
ユナは完全に泣いていた。
見ているこっちもいたたまれない気持ちになるが、こればかりはどうもできない。
テイムの成功率とか、そういうのは俺の意思と関係ないからな。
そして、通算およそ8000回目。
ついにその時は来た。
「テイム!」
ユナの口から言葉が放たれると、俺の周囲に光の輪が構築され、クルクルと俺へ向かって浸透していった。
あ、これテイムされたわ。
ユナと心がつながったのがわかる。
おめでとうユナ、よく8000回も頑張ったな、お前は今日から俺のご主人だ。
「うう……、やった、やったよ……、!」
あ、泣いちゃった。
『あーあー、聞こえるかな? ユナちゃん』
「うっ……誰?」
『君の親愛なる仲間、ミミックだよ』
「え、ミミックさん!」
『君は俺へのテイムを成功させた。ずっと俺は君の奮闘を見ていたんだよ。俺は君の力になる。だから泣くのは辞めて前を向こう。』
「うん……わかった」
それから俺たちは夜遅くまで、あれやこれやと他愛もない話をした。
しばらくして異変に気付いた母親に、強制就寝させられるまでね。
明日はこの娘の入学式だ。
俺もついていくんだから、綺麗な格好をしないとな。
俺のオシャレは夜通し続いた。
この世界のダンジョンでは、ダンジョンが宝箱を生成する。これは人間などの獲物を惹き付ける為だと、学者達は考察している。




