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異世界に転生して虚弱体質の村人になった俺が、唯一頼ることができるのはカプセルでゲットした魔法少女だけだった。  作者: ぢたま
一章 虚弱体質村人幼児がスライムに出くわして死にかけた後、魔法少女をゲットする話
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一章 虚弱体質村人幼児がスライムに出くわして死にかけた後、魔法少女をゲットする話07 - 遺跡起動

 一章 虚弱体質村人幼児がスライムに出くわして死にかけた後、魔法少女をゲットする話07 - 遺跡起動


 俺が抱きついた円柱が、青白く淡い光を放ち始める。

 月の光の方がずっと明るい。そんな淡い光であった。

 その光はすぐに床石に広がった。

 気がついたら、遺跡全体が青白く淡い光に包まれていた。

 だからなんだというわけではない。

 何が起こっているのかも、さっぱり理解できない。

 ただ、何かが始まろうとしていることは間違いなさそうであった。

 遺跡が光を放ち初めてから間もなく、今度は音声が聞こえてきた。

 ピーガリガリという感じの、ひどく懐かしい音声であった。

 俺の記憶の中にあるその音は、コンピュータ通信に用いられていた通信音であった。

 その音がなんであれ、この未知の遺跡が発していことは間違いない。

 だが、意味不明の音声が聞こえていた時間は長くなかった。


「メモリ情報、並び生体情報は承認されました。今からエリア内の敵対生物を排除いたします」


 俺の耳に聞こえて来たのは、ひどく懐かしい言語であった。

 間違いなくそれはこの世界の言語ではなく、日本語であった。

 同時に、足元にいたスライムが姿を消す。

 それだけでなく、視界内にいたすべてのスライムの姿が消えていた。

 一体、何が起こったのかはわからないが、どうやら俺は助かったらしい。

 そう思った瞬間、俺は腕の力が抜けて床石の上に落下した。

 腰に衝撃が来たが、そんなものとは比較にならない激しい苦痛が足にはしった。

 筋肉がむき出しになった足は、痛覚の塊である。

 風が吹いただけで、耐えきれないような痛みを発するのだ。

 俺は床から足を持ち上げて悶絶する。

 この世界には麻酔など存在していないので、耐える以外にない。

 魔法による治癒ができるらしいことは知っていたが、実際に見たことはないしこんな状態の足を治癒できるのかもわからない。

 このまま放置したら、確実に感染症によって俺は命を落とすことになる。

 煮沸した水で洗い、煮沸消毒をした布を巻いて細菌感染を防ぐしかない。

 本当にそれで防げるとはとても思えないが、それしか出来ない。

 ただその前に、やらなくてはならないことがあった。

 この遺跡のことである。

 それは、さきほど流暢に日本語で話しかけてきた声の主も同じだったらしい。

 また声が聞こえてくる。


「現在待機中です。本施設をご使用になられる場合、ご指示をお願いします」


 どうやら、ここが何らかの施設であることは分かった。

 だが、何の施設であるのかはわからない。

 なら、今俺がやるべきことは一つであった。

 聞くのだ。聞くべきことを。


「この施設の使用目的と方法の説明を」


 俺は二つのことを聞いてみた。

 どういった反応が返ってくるのか確認しておきたかった。

 すると、応答はすぐにあった。

「本施設は統合型移動用アクセスポイントです。指定された人間を異世界に一定時間送り出すことが可能です。決められた時間経過か、帰還命令によってアクセスポイントに戻ってくることが可能です」

 複数の命令に対しても、適切な対応ができていた。

 おかげで俺は、必要な情報を得られた上に、この施設を管理しているAIがかなり優秀であることが理解できた。

 ならばと思い、俺はこの絶望的な状況を覆せる可能性を探ることにする。


「行ける世界と場所の指定方法を説明しろ」


 俺には、この遺跡がいかなるテクノロジーで動作しているのか理解できない。だが、利用目的がはっきりしている限り、それを実現するための利用方法は基本的に同じのはずだ。


「マップから指定する方法、座標を入力する方法、メモリからダウンロードする方法があります」


 すぐに答えは帰ってきた。

 その答えは俺が推測したものとほぼ同じであった。

 ただ、最後のメモリかダウンロードという方法に疑問がある。


「メモリとは何を指すのか答えよ」


 俺が命令すると、


「登録済みのマスターの脳内に蓄えられているデータです」


 遺跡のAIは当然のように答えてきた。

 どうやら、俺の記憶を読み取ることができるようである。

 この遺跡に使われたテクノロジーがどういうものであるにしても、俺が知っている近代日本のテクノロジーとは違うものであるようだ。

 コンピュータのメモリと人間の記憶の間には当然ながら互換性はない。

 どれほど俺がかつて生きていた前世の世界のテクノロジーが発達したとしても、人の記憶をメモリのように読み取ることはできないだろう。

 それが可能だということは、この遺跡のテクノロジーが俺の知る世界とはまったく異なったテクノロジーによって創造されたものであるということの証拠であった。

 だが、今大切なことはそこではない。

 今の説明が正しければ、俺はかつて生きていた日本に一時的に戻ることが可能だということだ。

 病院に行くことができる。

 俺は死なずにすむのだ。


「では、俺のメモリからダウンロードしてくれ。やり方はどうすればいい?」


 俺は決定を伝えて、方法を質問する。


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