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異世界に転生して虚弱体質の村人になった俺が、唯一頼ることができるのはカプセルでゲットした魔法少女だけだった。  作者: ぢたま
一章 虚弱体質村人幼児がスライムに出くわして死にかけた後、魔法少女をゲットする話
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一章 虚弱体質村人幼児がスライムに出くわして死にかけた後、魔法少女をゲットする話25 - 魔法少女有紗

 一章 虚弱体質村人幼児がスライムに出くわして死にかけた後、魔法少女をゲットする話25 - 魔法少女有紗(ありさ)


 どうしてかとは思わなかった。

 俺は以前この金色の光を見ていた。

 その光が俺の左足を吹き飛ばしたのだ。

 ミコを呼び出そうとしているに抵抗している理由はただ一つ。

 あの夜金色の光を身に纏い、リギンと闘っていた魔法少女有紗(ありさ)

 ギャーン!

 グリフィンが独特の鳴き声を上げる。

 来る。

 グリフィンがアクセスポイント内に足を踏み入れた瞬間、防御システムが働きその体を青白いスパークが包む。

 強烈な電撃による攻撃が行われていて、オゾンと焼けるような匂いが混じり合って周囲に漂うが、グリフィンは歩みをやめない。

 ゆっくとではあるが、まっすぐ俺の方へと向かってくる。

 もう逃げるのは無理だ。

 俺は迷わず左手に意識を向けて、有紗(ありさ)のカプセルを呼び出す。

 カプセルの中でフルヌード姿の美少女が自分の体を隠すようすもなく、仁王立ちになったまま俺ではなくグリフィンを睨みつけていた。

 俺はカプセルを正面に向けて投げる。

 すると、空中でカプセルは金色の光を身に纏った魔法少女の姿へと変わる。

 有紗(ありさ)は仁王立ちになったまま、動かなかった。

 ミコの時とまったく同じだ。

 俺の命令がないと動けないのだ。

 だが、それは想定内である。


「俺を守護し、すべての欲求を満たすことを唯一の喜びとする魔法戦士となれ」


 命令を告げると同時に俺はカプセルを俺の手の中に呼び戻す。

 これで、アップデートが開始されるはずだ。

 その間も、グリフィンは強烈なスパークに包まれながらも確実に俺に向かって近づいてくる。

 俺は、時間を稼ぐために後ろに下がる。

 だが、床石の外に出てしまえばアクセスポイントによる防御システムは働かなくなり、そこで終わる。

 スライムに襲われた時とは違う。

 一瞬で俺の体は肉塊となり死ぬ。

 助かりようがなかった。

 防御システムによって動きが遅くなっているとは言っても、グリフィンはまったく止まらず迫ってくる。

 左手にカプセルを呼び出すために松葉杖は手放すしかない。

 逃げるためには右足だけで後ろに跳ねながら移動するしかないのだが、一度跳ねるたびに脳天を貫くような激痛が走る。

 どうやら麻酔が切れてきたようだ。

 三回跳ねたところで、あまりの激痛に俺の右足は耐えきれなくなった。

 膝が崩れて、俺は床石の上に転がる。

 その結果、俺は動けなくなりグリフィンが近づいてくるのを見ているしかできなくなる。

 俺とグリフィンの距離が縮まっていく。

 5メートルあった距離が、すぐに3メートルになり、2メートルになり、グリフィンの攻撃の間合いに入った。

 その瞬間であった。

 左手の中のカプセルが透明に変わっていた。

 アップデートが完了したのだ。

 俺は迷わず投げる。

 グリフィンがいるのとは逆の、背後に向かって。

 眼の前には、グリフィンの大きな鉤爪が迫ってきている。

 それが触れた瞬間、俺の人生はおしまいになる。

 はずだった。

 黄金の光が、グリフィンの鉤爪を貫く。

 眼の前で鉤爪が弾け、グリフィンがのけぞる。

 そのグリフィンの体に、次々と金色の矢が撃ち込まれる。

 突き刺さった矢は次々と爆発を起こし、その反動でグリフィンは後ろに弾け飛んだ。

 グリフィンの血液が頭上から降り注ぎ、俺はそれが目に入らないように右腕でかばう。

 反動で倒れたグリフィンは、血を流しながらもすぐに立ち上がる。

 未だに体中には電撃による青白いスパークを纏ったままの状態であり、そのタフネスさは恐るべきものがある。

 その視線は俺ではなく俺の後ろに向けられている。

 魔法少女有紗(ありさ)を優先する敵へと変更したのだ。

 グリフィンは大鷲の翼を広げ羽ばたいた。

 一度の羽ばたきで軽々と上昇を始める。

 俺はこのすきを利用してこの場所から逃げ出すことにする。

 戦場に俺がいたら、有紗(ありさ)の闘いに支障がでることは間違いない。

 だが、松葉杖を使えない状況で、しかも右足には限界が来ている。

 だから、俺は横に転がった。少しでも早く離れるためである。

 転がりながら、空中戦へと変わった魔法少女とグリフィンの闘いを見ていた。

 有紗(ありさ)は空を飛ぶというより、足元に描画される魔法陣の上を飛び跳ねる形で移動している。

 それに対してグリフィンは、その圧倒的な力を持つ翼で有紗(ありさ)を追っていく。

 後退しながら、有紗(ありさ)は次々と金色の矢を放ち、グリフィンの体に命中し弾けたがどれも致命傷とはならない。

 グリフィンは確実に有紗(ありさ)との距離を詰めていく。

 大鷲の嘴による一撃でも、鉤爪の一振りであっても、それだけで致命傷になりうるほどの威力を持っている。

 有紗(ありさ)と出会ったあの夜に、有紗(ありさ)が闘っていた敵、リギンよりも遥かにタフで厄介な敵であるように俺には見えた。

 だがそれでも、有紗(ありさ)には焦っているような様子は見えない。

 どちらかというと、余裕が感じられる。


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