一章 虚弱体質村人幼児がスライムに出くわして死にかけた後、魔法少女をゲットする話23 - アクセスポイントの概要
一章 虚弱体質村人幼児がスライムに出くわして死にかけた後、魔法少女をゲットする話23 - アクセスポイントの概要
とりあえず、最初にそこを確認してみることにする。
「アクセスポイントの中に、移動するための機能が備わっていないのは何箇所ある?」
俺の質問にシステムは即答してくる。
「存在していません。すべてのアクセスポイントには二点間移動するための機構が組み込まれています」
その答えで、アクセスポイントに何らかの支障が起こっているのだということが明確になった。
次の質問だ。
「アクセスポイントごとに、移動できない理由は特定可能か?」
これは問題を解決するために、必要な質問であった。
「特定可能なアクセスポイントとそうでないアクセスポイントが存在しています」
まぁそうだろうなという返答であった。
俺は質問を続ける。
「特定できないアクセスポイントは、ピンによる応答のないアクセスポイントのことか?」
俺は自分の推論を元にさらに質問を続ける。
「はい、応答のないアクセスポイントの状態を知ることは不可能です」
これも、当然の答えであった。
つまり、応答のあったアクセスポイントは、現時点で使用不可能であっても復旧できる可能性があるということだ。
とりあえず、総合的な質問はこのくらいでかまわないだろう。
次は実用に向けての質問である。
「転移するアクセスポイントの指定方法と、実行方法を教えてくれ」
すると、アクセスポイントの中心部に存在していた円柱に変化が訪れる。
黒曜石のような光沢があり、傷一つついていない表面にいくつもの亀裂が走りそこから光を放ち始める。
そこからワイド画面のスクリーンが空中に出現して、足元に表示されていたマップと同じものが映し出された。
実態を持たない、オプティカルスクリーンとでも表現すればいいのだろうか。
「操作パネルを展開しました。手動操作でポイントの指定が可能です」
システムが音声で教えてくれた。
近づいて試しに指でスクリーンに表示されている辺りを触れてみると、画像が動きに合わせて動いてくれる。
操作はスマートフォンとほぼ同じなのだろう。
試しにマップを色々と動かしてみて確かめる。
操作説明はなくても、直感的に動かせばそれが正解だった。
俺はマップにプロットされた赤い光点の中からマルダラング城にあるアクセスポイントを選択する。
すると、光点が赤から黄色に変わった。
「アクセスポイントを確認しました。二点間移動を実行する前に、転移先の安全確認を実行することを推奨いたします」
システムが警告をしてきた。
できればそうしたいと俺も思っていたので、これは渡りに船というものだ。
すぐに命じる。
「転移先アクセスポイント周辺の安全確認を実行してくれ」
俺はなんと命令して良いのかわからないので、システムが言ってきたことをほぼオウム返しにする。
するとシステムからの音声による応答はなく、オプティカル・スクリーンに現地の様子を表示し初めた。
遠隔地の様子をモニターした映像で、おそらくそれがアクセスポイントが存在している周囲の映像だろう。
だが、あまりに暗くてよく分からない。
「視認できるようにしてくれ」
俺が注文をいれると、やはり応答はなくいきなり画像が変化する。
それまで見えなかった様子がはっきり分かるようになったが、ライトのような明かりを使ったわけではなく、画像処理によるものだろうと思われる。
はっきりとした映像を確認すると、明らかに地下の様子を映したもので人の気配はない。
俺の目には他に、特にこれといったものは確認できなかったのだが。
「脅威を確認しました。脅威を拡大します」
音声による説明が入り、オプティカル・スクリーンの右上の隅にワイプが表示される。
ワイプに映し出されたのは、あやうく両足を消化されかけたモンスターであった。
スライムである。
俺が五歳児ではなく、それなり成長していれば脅威でもなんでもない、そんなモンスターであった。
だが、今の俺にはスライムと闘いうる力がある。
「他の脅威はあるのか?」
俺が改めて確認すると。
「大気成分濃度共に問題ありません。湿度は80%を超え不快指数はかなり高いものがありますが、活動に支障はないものと思われます」
どうやら、地下遺跡となっているアクセスポイント周辺には、スライムが住み着いてしまっているという以外にこれと言った脅威は存在していないようである。
だが、その前にもう一つ確認しておかなくてはならないことがある。
「周辺のマップは表示可能か?」
俺が質問すると、映像の上にかぶさるような感じでマップが表示された。
中央にある丸い円がアクセスポイントで、そこに繋がる通路が螺旋状に伸びているのが分かる。
上からみた平面図では確認できないが、おそらくは螺旋状の階段か通路が存在しているのだろう。
どうやら俺が想像していたよりだいぶ深く地下に潜った位置にアクセスポイントは存在しているらしい。
だが、これは厄介なことになった。




