表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に転生して虚弱体質の村人になった俺が、唯一頼ることができるのはカプセルでゲットした魔法少女だけだった。  作者: ぢたま
一章 虚弱体質村人幼児がスライムに出くわして死にかけた後、魔法少女をゲットする話
22/28

一章 虚弱体質村人幼児がスライムに出くわして死にかけた後、魔法少女をゲットする話21 - タイムリミット

 一章 虚弱体質村人幼児がスライムに出くわして死にかけた後、魔法少女をゲットする話21 - タイムリミット


「はい、ご主人さま。でも、これはをどうするのですか?」


 不思議そうにミコが聞いてくる。


「その薬を今からもらいに行く、だから持っておいてくれ。だが、その前に松葉杖を見つける」


 俺は簡単にいまからすることを伝えておいた。

 もちろん、俺の命令を明確化するためである。

 薬の方は簡単にみつかるだろう。

 魔法少女の力があれば、誰にも気づかれることなく入手も可能だ。

 だが、松葉杖の方は実際の所厳しいかも知れないと思っている。

 子供用……それも、五歳児用の松葉杖などあるのかどうかすら分からない。あったとしても、特注品となる。

 そんなものが、病院に置いてあるのか極めて微妙な所だろう。

 だが、可能性はあると思っていた。

 俺がいるのはたぶん小児外科だ。

 部屋の中には子供が喜びそうなものや、可愛い感じの絵がちらほら散見される。

 もちろん推測でしかないが、可能性は高いと思っている。

 そうであるなら、松葉杖を使っている子供がいるかも知れない。

 俺はその松葉杖を借りるつもりであった。

 間違いなく犯罪行為だが、元の世界に帰った俺が生き延びるためには必要不可欠なアイテムである。

 不便を掛けた埋め合わせは、後日しなくてはならないだろう。


「これから病室を出る。目立たないようにたのむ」


 カプセルについては色々と調べたが、魔法少女に関しては殆どなにも分からない状態だ。

 時間がないので、ぶっつけ本番でやっていくしかない。


「分かりました、ご主人さま」


 答えた時、ミコの右手には翼が付いたような形をしたスティクが握られていた。

 ミコはスティクを頭の上で円を描く。

 きらきらと光るピンク色の光の粒が輪を描きふわりと浮いていた。

 ミコは見上げて、頭上に浮かぶ輪の中心をスティクで貫く。

 すると、ピンクの光の粒は弾けるように四散して拡散する。

 ピンクの光は壁を貫き何処かに消えてしまい、見えなくなる。


「これで病院全体が結界の影響内におかれました。あたしとご主人さまは、誰にも邪魔されずに自由に動くことができます」


 呪文もなにもなく、結構簡単にやってくれた。

 少し考えれば分かることだが、リギンとかいう化物と対峙する時かならず使う力なのだ。ややっこしいとか、手間がかかるようなら使い物にならない。

 俺はミコの手を借りて部屋を抜け出し、簡単に子供用の杖を見つけることができた。

 ちょうど、隣の部屋に足の骨折で入院した子供がいたのだ。

 子供用と言っても五歳児の俺にはずいぶんと長過ぎたが、ミコの攻撃魔法を使うことで、ちょうどいい長さに切りそろえることができた。

 薬の方は薬剤室に忍び込み、沢山の医薬品の中から探し出すのは手間がかかったが、ミコと手分けしてどうにか見つけることができた。

 それをボストンバッグに詰め込み。もちろん向こうの世界に戻ったら、点滴などできないので皮下注射器とセットである。

 交換用の針は少し多持ったので、しばらくは持たせることができるだろう。

 包帯と自分が知っている市販されているものと同じ薬品名の痛み止めをカバンに入れる。経口式の薬品だ。ただ、とてもそれでは抑えきれないだろう。

 少し考えて、それとは別に俺に使われていたものと同じ痛み止めも持っていくことにする。

 薬品名は覚えていたのだが、投薬量が分からない。

 痛み止めと言っても麻酔なので使用するには危険が伴う。

 特に俺は五歳児なので、投薬量は慎重に調整する必要があった。

 今の状態でも痛みは嫌になるくらい感じるが、これくらいの痛みなら動くことはできる。

 これ以上効きすぎて感覚がなくなってしまえば、歩くのに支障がでてくるかも知れないので投薬量は今のままで問題ないだろう。

 俺は、いったんナースステーションに戻りPCを使って自分のカルテを確認することにした。

 だが、何もかもが自分にとって都合のいい状況が続くことはない。

 そんなことは、俺自身が一番承知しているはずだったのだが。

 俺は自分の体が、薄っすらと青白い光に包まれていることに気がついた。

 松葉杖に慣れていない俺が倒れないように庇いながら一緒に歩いていたミコが、俺を見て驚いている。

 ミコの目には俺の姿が透けて見え始めているはずだ。

 俺は左手にミコ入のカプセルを戻し、その瞬間に備える。

 視界が一瞬ブラックアウトした後、俺は森の中に立っていた。

 前は夜の森から夜の街中への転移だったので分からなかったが、転移するときにはこんな具合に視界に影響がでるのだろう。

 俺が立っているのは間違いなく、元の世界にあった遺跡の上だった。

 まだ焼けた跡が残っている。

 さいわいにというか、当然というかスライムの姿はなかった。

 昼間であるし、ただちにモンスターが襲ってくることはないだろう。

 もっとも、ずっとこんな所にいたらどうなるのかは分からない。

 とはいえ、もう少し詳しくこの遺跡のことについて調べなくてはならない。

 遺跡の中心部にある円柱に触れてみる。

 すると、意外に遺跡はすぐに息を吹き返してくれた。

 よく考えたら当然なのだが、俺がこの世界に戻ってきたのはこの遺跡の影響であることは間違いない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ