表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に転生して虚弱体質の村人になった俺が、唯一頼ることができるのはカプセルでゲットした魔法少女だけだった。  作者: ぢたま
一章 虚弱体質村人幼児がスライムに出くわして死にかけた後、魔法少女をゲットする話
17/28

一章 虚弱体質村人幼児がスライムに出くわして死にかけた後、魔法少女をゲットする話16 - カプセルの力

 一章 虚弱体質村人幼児がスライムに出くわして死にかけた後、魔法少女をゲットする話16 - カプセルの力


 何が起こったかまったく分からないかのように、きょとんとした感じで俺の顔を見上げていた。


「今、何が起こったのか分かるか?」


 俺が聞いてみると、ミコは首を横に振った。

 やはり、何が起こったのか分からないようだ。

 反応を見ると、どうやら消えていた間のことは全く記憶にないらしい。

 どういう原理なのかは分からないが、ミコにとっての時間は俺が呼び出している間だけ流れていると思っておいたほうがいい。

 ただ、今はこれが目的ではない。

 次の検証をしてみることにする。

 今までは、条件だけから検証していたが、ここで一つの前提を含めて考慮してみることにする。

 魔法少女限定だったことと、そこから導かれる結論だ。

 このカプセルが、俺にとっての身を守る手段、あるいは攻撃する手段だとした場合だ。

 そういう時、一番使いやすいのはどういうやり方か。

 投げるのだ。

 そうすることで、俺は好きな位置に魔法少女を呼び出すことが出来る。

 だが、さすがに簡単に試せない。

 中にはミコが入っている。

 カプセルの中に衝撃があるのかどうか分からないが、さすがにそれを実験する気にはなれない。

 だが、投げてみるだけなら構わないだろう。

 ようは、落ちなければいいのだ。

 さっき試したように、左手を閉じることでカプセルが床にぶつかるまでに呼び戻すことができる。

 俺は、左手の中にあるカプセルを投げやすい持ち方に握り直す。

 今寝ているベッドがあるのは一人部屋だが、あまり広くなく、俺のバイタルチェックをおこなっている機械と点滴、それにミコが座っていたイスと備え付けの小さなテーブルとでけっこういっぱいいっぱいな感じである。

 投げる場所を慎重に選び、ぶつけないようになげる必要があった。

 カプセルの重さは、さほど感じず投げにくいということはない。

 五歳児の力でも問題なく狙った場所に投げることができるだろう。

 俺は入口のドア付近の、何も置かれていない場所を狙い、慎重に投げた。

 カプセルの中で驚いた様子のミコが、カプセルの回転にあわせてくるくると回りながら緩やかな弧を描き、飛んでいく。

 すぐに落ち始めたカプセルはすぐに床へ向かって落下し始める。

 俺は、失敗したと判断して左手を閉じようとした時だった。

 ポンという音が聞こえて、カプセルが消える。

 だが、それで終わりではない。

 ピンク色の光が周囲に満ちて、その中心部には魔法少女が立っていた。

 間違いなくミコだった。

 成功したのだ。

 だが、何かおかしい。

 魔法少女の姿で現れたミコは、直立したまままったく動かない。

 それがなぜなのか、俺にはすぐに予測がつく。

 さっき行った推測から得られる当然の帰結である。

 それが正しいのかどうかすぐに分かる。


「動け」


 これは相当アバウトな命令だ。

 どうなるのか興味が湧いて試してみた。

 ミコは直立したまま動かない。

 命令そのものを受け付けないのか、それとも命令内容に問題があるのか今はまだわからない。

 今度は具体的な命令をしてみる。


「右足で立って三回ジャンプしろ」


 すると、ミコは即座に反応する。

 片足で立ち、頭が天井に付きそうな高さまで三回跳ねた。

 その後は、また直立したまま動かなくなる。

 おそらく変身しているからなのだろう、魔法だけでなく身体能力も極端にブーストされているようだ。

 かなり頼もしいと言えるが、正直こんな感じで命令ださなくてはならないようじゃ実戦では役に立たない。

 どこまでできるのかを探るために、少し質問をしてみることにする。


「質問に答えろ。今、君の意識は存在するのか?」


 これは重要な質問だ。意識がないようでは自立行動が出来ないということになる。

 そうなれば、やはり実戦では使えない。


「あります」


 ミコが答えてきた。

 とてもありがたい返答であった。

 では、次の質問だ。


「自分の意思で動くことは可能か?」


 この質問は、今動かない理由に関する質問だ。


「不可能です」


 この答えを受けて、次にする質問はこれからどうすればいいのかという手がかりにするためのものだ。


「その理由は、体が動かないからなのか、それとも動く意思がないからなのかどっちだ?」


 ミコを縛っているのが、肉体的なものなのか精神的なものなのかそれを知りたかった。


「動こうとは思いません」


 という答え。どうやら縛りは精神的なものだった。

 これは俺の推測を裏付けつるものだった。

 カプセルによって閉じ込められた魔法少女は、俺のために使役されるようになっている。

 それには、戦闘目的の使役も含まれている。

 肉体で縛れば、戦闘においてどうしても制限がかかってしまうためだ。

 だとすれば、俺が命じなければ何も出来ないというこの状況を打開できる何らかの手段があるはずなのだ。

 それを見つけなくてはならない。

 そのために、もう一度ミコが今どういう状態になっているのか改めて検証してみよう。

 まず俺の命令にはなんの躊躇もなく従う。これが一点。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ