一章 虚弱体質村人幼児がスライムに出くわして死にかけた後、魔法少女をゲットする話14 - はじめてのゲット
一章 虚弱体質村人幼児がスライムに出くわして死にかけた後、魔法少女をゲットする話14 - はじめてのゲット
「ちょっ、何やってるの! むちゃだよ、動いたらダメだって!」
あわててミコが止めようとするが、俺は意に介すことなくベッドの上に座る。
「大丈夫、俺は生きてる。まだね。それより、ミコ。これを持ってくれないかな?」
俺はミコにカプセルを差し出しながら言う。
「えっ? なに?」
ミコは首をかしげながらカプセルを受け取った。
予測していたことだが、やはり何も起こらない。
問題はこの後だ。
俺はまだ仕舞わず手に持ったままにしている変身アイテムを奪い取る。
「なっ!」
俺が重症を負った五歳児ということで、完全に油断していたミコはろくに反応することができない。
いきなりのことに驚いているミコの左手の手首に、変身アイテムを突き刺す。
なぜその場所かというと、沢山の針を刺した跡が残っているのを見たからだ。
おそらく、変身する時そこに変身アイテムを突き刺しているのだと推測した。
その推測が正しかったことは、すぐに証明される。
俺たちの周囲が淡いピンク色の光に包まれる。
その光はミコの体から放たれていた。
光を放ち初めたミコの着ている服が、まるで風に舞う粉雪のようにサラサラと空中に舞い初め、いったんミコは一糸まとわぬ裸となる。
五歳児とはいっても、俺の中身はおっさんだ。
しっかりと、美少女――今の俺にとってはだいぶ年上であるが――のフルヌードを堪能する。
満身創痍の五歳児とは言っても、中身がおっさんならしっかりと体の一部は反応している。
っていうか、おっさん時代ではけして叶わないであろう、夢のような反応であった。
ただ、今はそんなことはどうでもいい。
変身が始まったこと、それが一番大切である。
いったん解けるように散った服の断片は、ミコを中心に渦を巻きながら再構築されていく。
ピンクの光が収まってくると共にミコの体に吸着するように、衣装の形を構成した。
それは、俺が最後に多分見ていたはずの衣装だ。
その瞬間に俺の意識は途切れて覚えてはいないが、おそらくそういう感じになるであろうと思われる、そんな姿にミコはなっていた。
そう、魔法少女の姿である。
ここまでは、既定路線である。
俺の検証結果はここから得られるはずだ。
そして、実際に結果が出たのはその直後であった。
ミコは俺を見ていた。
驚いた顔で。
一体何事かという顔だった。
なにしろ、俺がなぜこんなことをしたのか、その理由すら分からなかったはずだからである。
だが、何も言う暇などなかった。
変身が完了した直後、ミコは姿を消してしまう。
だが、何処かに消えてしまったというわけではない。
俺の左手の中にカプセルが現れた。
あの時にはほとんど意識が薄れていたために、ろくに見ることはできなかったが、今度はじっくりと見ることが出来る。
俺は目の前にカプセルを持ってきて、中を覗き込む。
そこには、ミコがいた。
一糸まとわぬ姿で。
つまり、フルヌードだ。
おっさんとしては、じっくりと見ていたいところだが、それより先に色々と調べなくてはならないことがある。
俺が見ている中で、中にいるミコは両手で一生懸命にカプセルを叩かいている。
何か話しているようなのだが、声はまったく聞こえない。
カプセルが音声を遮断しているのだろう。
俺の方から話しかけてみることにする。
「君はミコなのか?」
まずは簡単な質問である。
すると、ミコは何か叫びながら頷き初めた。
どうやら、俺の声は向こうに聞こえるようである。
「残念だが、君の声はこっちに聞こえない。返答はジェスチャーで頼む。それと、自分が今裸になっていることに気づいているか?」
俺が言うと、ミコは自分の体を見て驚いたような反応を見せる。
そして、両腕で自分の体を抱えるようにしてしゃがみこんだ。
少女の反応としては、いたって普通だった。
俺としては、そんなことなどどうでもいいので、本題に入っていく。
「一体何が起こったのか分かるか?」
最初は、簡単な質問から入る。
ミコはしゃがみ込んだまま首を横に振る。
瞬間的な出来事だ、わかるとは俺も思ってはいなかった。
「息苦しさは感じるか?」
これは、今現在最も重要な質問である。
この質問にも、ミコは首を横に振った。
まだカプセルに閉じ込められてから時間が立っていないから気づいていないからかも知れないが、とりあえず酸素の供給はされているようである。
「そこから出ることはできそうか?」
これに関しては、まぁ無理だろうなと思いながらの質問であった。
想定通りに、ミコは首を横に振った。
「変身は出来ないか?」
これは、なんとも言えない質問であった。
変身した状態からフルヌードになっているのだ。普通に考えれば無理そうな気がするのだが。
ミコはしゃがんだ格好のまま、自分の左腕を確認していた。
たが、そこに変身アイテムは確認できなかったようである。