第9話 ギルドマスター
「ここは、どこだ?」
寝ぼけながら目覚めるといつも見馴れた自分の部屋じゃない。忘れてた、ここは、夕暮れの宿屋の一室だった。 ギルドで冒険者登録をして喧嘩に巻き込まれ女将さんと一緒に帰って来てすぐに寝たんだった。ユウは、眠気を感じながら起きて、隣の部屋にいるマックスの所に行ってドアをノックする。
「……………………」
部屋からは、物音すらしなかった。どうやらマックスは不在の様だった。仕方ないので一階のロビーに向かう。すると、
「やっあ。 おはよう。女将さんから聞いたよく。昨日は、色々大変だったみたいだね。」
マックスは、ロビーでコーヒーを飲み。微笑みを浮かべて話し掛けて来た。
「おはよう。マックス。昨日は、うーん……そうでもなかったよ。」
少しと強がって見せる。だが、実際に強い相手ではなかったからあながち間違いじゃない。
「へぇー。そうなんだ。昨日の件は、置いといて。今からギルドに行くけどユウも行くかい?」
マックスは、 少し興味を浮かべていたが、それまで深く追求はして来なかった。多分、ギルドに行けば噂を聞けると思っているからである。実際に、ギルドの職員に昨日のユウの出来事を聞いていた。
「おう。ギルドガードを取りに行きたいから一緒に行こう。」
「よかった。そのあとに、武器屋に行って、ユウの装備を整えよう。勿論、費用はこっち持ちだから心配しないで。」
「でもいいのか?何から何まで甘えるのはどうかなと思うけど?」
「そう思ってくれてるなら仕事で返してくれればいいよ。僕的には、長い付き合いになりそうだから、先行投資のつもりなんだよね。」
マックスは、そこまで俺の事を買ってくれるのは、ありがとうがここまで、親切になると疑ってしまうな。ここは、マックスの様子を見ながら決めないとなぁ。
「ユウ、準備はいい?いいならギルドに行こうか。」
「おう。問題ない。ギルドに行こう。」
ユウとマックスは、夕暮れの宿屋を出てギルドの方向に歩き出した。ギルドに向かう間に、ラッグスの街でおすすめのお店や食堂を教えてもらいながら歩く。そうこうしている内にギルドに着いて中に入る。
するとすぐに受付嬢のお姉さんが走って来た。
「ユウさん、御待ちしておりました。ギルドマスターがお呼びですので案内します。」
ユウとマックスは、ビックリの余りもう一度聞き直した。
「ギルドマスターが呼んでるですか?」
受付嬢のお姉さんはすぐに答直す。
「はい。ギルドマスターがお呼びしてます。」
ユウは、昨日の件で、ギルドマスターからの超厳重注意を受けてしまうなと思ってしまった。マックスも、 ユウと同じ事を思い、一緒に行かなかった事を後悔していた。二人は、ブルーな気持ちになりながら受付嬢のお姉さんに着いて行く。
ギルドの二階に案内され、受付嬢のお姉さんがドアをノックする。
コンコン
「ギルドマスター、ユウさんとお連れの方を連れて来ました。ご案内してもよろしいでしょうか?」
すると、高い女の声だか凛々しい感じの声が返って来た。
「どうぞ。案内してちょうだい。」
「失礼します。」
受付嬢のお姉さんがドアを開けて部屋の中に案内してお姉さんは出ていく。
ユウとマックスは、ギルドマスターの部屋に入るとエルフらしき女性がソファーに座っていた。ギルドマスターは、エルフのイメージを覆す様なエベレスト級な胸をしてして、金髪の長い髪を後ろで纏めてキリッとした感じで大人のエロスを感じる。なので思わずユウは、ギルドマスターの美貌に見てれてしまう。
ユウが見てれてしまうのは無理もない。何故なら彼女は、10人中、10人が見とれてしまうぐらいの美貌なのだ。因みに、この世界での五大美女に入るほどの美貌なのである。
彼女に見とれているとと隣にいたマックスがビジでこずいて来た。
『ユウ。名前……名前!!』
ユウは、我に返って自己紹介を始める。
「やがっ、じゃない。ユウと申します。遠い異国の地からやって来ました」
ギルドマスターの美貌に見とれて動揺したせいで姓を名乗るところだった。姓を持つのは、上流階級の人達や特別な人達だけだから怪しまれるところだった。本当に危なかった。
「ギルドマスターのマリアナよ。これから何か縁があるかもしれないからよろしくね。」
不適な笑みを浮かべてユウの瞳の奥を見つめている。ユウは、背筋がゾクリとしてしまった。美貌のせいもあるがマリアナからオーラを感じる。それは、強い武人のオーラである。不適な笑みの仕方が幼馴染みと似ていて怖い。幼馴染みが不適な笑みを浮かべた時は、必ず襲って来るのでつい警戒してしまう。
「昨日の件を見ていたけど、戦闘は、素人の動きじゃないしCランクのパーティーを軽くあしらうぐらいだからかなりの腕前の様ね。それに、全属性を使えてあの異常な魔力の量は普通じゃない。貴方は、一体何者なのかしら?」
マックスは、マリアナから聞いた事を聞いて驚きの余り思考が止まっている様子だ。
先程の不適な笑みを浮かべながら、また見つめて来る。部屋に長い沈黙が流れる。ユウは、己の力がバレたことに少し後悔をしながら言い訳を考えていると、ギルドマスターの口が開く。
「ごめんなさいね。個人のプライバシーに深入りするのは良くないわね。これから冒険者として頑張ってちょうだい。貴方は、色々問題が起きるから何かあったら私に相談しなさい。いいわね。」
ユウは、よかったと安堵する。間違っても異世界から転移して来ましたとは口が裂けても言えない。言ったとしても信じて貰えるかわからないけど。
どうやらマリアナは、色々相談も乗ってくれるらしい、でも、色々問題が起きるて言っていたけどなんでかなと思い。ユウは、少し気になったのでマリアナに聞いてみた。
「………貴方は、わかってないみたいだけど、この世界で全属性を使えてあの魔力の量は、片手で数えるぐらいしかいないのよ。そんな有能な人材を潰す訳にはいかないでしょ。」
マリアナは少し呆れた顔をしながら教えてくれた。
「……………へぇ………そうなんですかぁ。」
ユウは、自分が以下に規格外なのかがわかった瞬間だった。さらに、有力者に目を付けられたのも気付いてしまった。ドラブルに巻き込まれなけばいいなと思うのであったが残念ながら色々なドラブルに巻き込まれるのであった。
「だから何かあったら絶対に相談しなさい。いいわね。それからこれが貴方のギルドガードね」
ギルドの刻印が入ったガードを渡してくれた。さらに、ギルドの刻印の側にD+彫られていた。
ユウは、まさかと思いながらもマリアナに恐る恐る思った事を聞いてみた。
「もしかしてこのD+は、…………冒険者ランクですか?」
最初に見せた不適な笑みを浮かべながら答えてくれた。
「察しがいいわね。そうよ。貴方の冒険者ランクはD+よ。貴方の実力はCランク以上あると判断したから今回は、特例にD+からスタートよ。最近、魔獣や魔物の討伐依頼が増えて人手が足りないから討伐よろしくね。じゃあ、頑張ってね。期待してるわよ。」
ニコニコと不適に笑いながら手を振っている。
「あっ…………はい。」
ユウは、この時にこの人に余り逆らえない気がしてしまった。そんな思いを抱きながら、マックスを思考停止状態から元に戻してからギルドマスターの部屋をあとにしたのであった。