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第7話 ラックスの街

 ラクッスの街は、死の森の近くの草原にドンと建っている街で、高い堅牢な城壁に囲まれてさらに、常に見張りの兵が周囲を厳重に警戒している。何故なら死の森から危険な魔獣や魔物がラグッスの街を幾度も襲っているからである。そんなラグッスの街の正門に二人の青年が街に入るために検問の列に並んでいる。



「ここがラクッスの街か。それにしても立派な門だな。」


「人の出入りが多い街だし、魔獣や魔物がよく襲って来るからそれなりに立派なんだ。」



 因みに、ラクッスの正門は開閉式の特別製の鉄製門で幅が20メートルもあり、帝国内でも5本の指に入る堅牢な街と言われる。ラクッスの街を建てる際に、莫大な資金と最先端な技術を結集して作られた街である。



「そろそろ僕達の順番だね。はい。これは、街に入る為の税金代ね。」


 するとマックスは、銀貨1枚を渡して来た。入るのにお金が掛かるのかよ。だけど、身元不詳者の俺がお金を出すだけで街に入れるのだからよかったのか。それよりも、俺は街に入れる税金代をマックスから貰っていいのか。だけど、貰わないと街に入れないからここは、有り難く貰って置きますか。


 「えっ!! 貰っていいのか?」


「貰ってくれたら助かる。魔獣から助けた謝礼金がまだだったからな。それに、君は強そうだから僕の護衛として一緒に行動しないか?もちろん、宿代、食費代、あと冒険者の登録料も出すよ。」


なに!!

 これは、護衛として雇うて言ってるのか?お金がない俺としては、願ったり叶ったりの条件だ。それに、マックスとも馬が愛想だから今は、一緒に行動するのが一番だと思う。よし、マックスの提案を引き受けるか。


「あっざっす!!それじゃあ、遠慮なくいただきます!!マックスさんよろしくお願いしゃす。」


「あはは……。全然問題なから君みたいに強い人がいるのは商人として心強いからね。こちらもよろしく頼むよ。」



 マックスは、少し引きながらも、ユウと男の熱い握手を交わす。何とまぁ。微笑ましい光景だろう。熱い握手を交わしていると門番から声を掛けられた。



「おい。そこの二人組。次は、お前達の番だぞ。早く来い。」


 マックスとユウは急いで門番の所に駆け寄って検問を受ける。


マックスはすでに何のガードを準備していて二~三個、質問を受けて終わった様だ。

だが、俺はというと、


「ギルドガードを見せろ。お前は、どこから来たんだ。」


「ギルドガードはない。ジャパンと言う海を渡った遠い田舎の地から来た。」


「ギルドガードはなし。ジャパン?聞いた事がないな。かなり遠いところから来たんだな。今回は、どういう目的でこの街来たんだ。」


「旅をしてたら前の人と意気投合して、一緒に仕事をすることになりました!!」


「仕事とは何をするんだ?」


「前の人の護衛です!!」


「護衛?冒険者でもないのに護衛の仕事?大丈夫なのか?」


「一人旅をしていたから戦闘に関して問題ないです!!」


 門番は、少しテンションを高めで答えていたので疑いの目で俺の顔を睨む。さらに、俺は整っているがまだ幼い顔をしている。そして、少し筋肉質の体だが、身長が160cmしかないなので誰が見ても冒険者には見えないのである。なので、門番が疑うのは当たり前である。だが、実際には、無敵に近い能力を持っていることをまだ、門番は知るよしもなかった。


「少し待っておけ。」


 すると、マックスの所に行って色々聞いている様子だ。帰って来て少し質問してから税金の徴収をされた。どういうやら、マックスが、色々お金を渡して置いたみたいで税金を払い終わったらすんなり通してくれた。あとで聞いたら、身元保証人としてのお金を支払ってくれたみたいだ。マックス様、何から何まで本当にありがとうございます。


「よし行っていいぞ。」


「ありがとうございます!!」


「仕事だら気にするな。ラクッスの街にようこそ。」


 門番は苦笑いをしながら通してくれた。門を抜けると人で賑わう光景が広がっていた。夕方頃なので、大通りは、家に帰る人達やお店で酒を飲みに行く人達でいっぱいになっている。



「ユウ、テンション高過ぎ。とっても怪しまれてたからね。何や途もあれお疲れ様。色々大変だったね。」


「ああ……。いろいろすまんせん。」


 マックスに注意されテンションを元に戻す。さらに、さっきの行為が恥ずかしくなって顔が赤くなって来る。ユウは、次からは気お付けようと心に刻むのであった。


「気にしないで、それよりも早く宿屋に行こう。早く寝たいからね。そろそろ体の限界だからね。」



 マックスは、旅で色々あったので早く体を休めたいみたいだ。それもそのはず、裏切りにあって一人で街の近くまで来たのだ。お陰で3日も寝てないのだ。


「なら早く行こう。宿屋は決まってる?」


「いつもの宿屋にするつもりだよ。裏路地だけど、いい宿屋なんだよね。着いてきて。」


「ああ。」


 マックスとユウは、大通りを少し進んで裏路地の奥に入って行く。裏路地の奥に入って行ってるが、寂れた感じがしない。だか、人の通りは少ない。裏路地に入って15分ぐらい歩いたらお目当ての宿屋に着いたみたいだ。


「ユウ、ここがお目当ての宿屋だよ。」


「夕暮れの宿屋。」


 夕暮れの宿屋の第一印象は、狭そうである。宿屋は、建物と建物の間にあって潰された感じに上に伸びている。である。宿屋の幅が5メートルしかないので穴場なのがうなずける。こんな所に泊まる人は、そうはいないだろう。穴場なのがうなずける。

マックスとユウは、夕暮れの宿屋のドアを開ける。


「夕暮れの宿屋にいらっしゃいませ。あら、マックスちゃんじゃないの。ひさしぶりね。」


「女将さん、お久しぶりです。さっそくですが部屋二つ空いてますか?」


「ええ。空いてるよ。今回は、お疲れ気味だね。」


 女将さんは、心配にマックスの顔を覗きこむ。


「色々ありましてね。早く眠りたいです。」


「そうかい。大変だっただね。マックスの部屋は25号室ね。はい。鍵。今日は、しっかり休むだよ。」


 マックスは鍵を受け取るとユウの所に振り返り話し掛けて来た。


「ユウは 、どうする?そのまま宿で休むか、一人で冒険者ギルドに行くかどうする?」


「冒険者ギルドに行ってみたいけど、道も分からないから一人では不安だからな。」


 一人で行くか悩んでいると女将さんが声を掛けて来た。


「ウチのソリューに案内させるよ。この子の面倒はウチがみるからマックスちゃんは、疲れてるから早く寝てきなさい。」


「いいですか?」


 マックスは、申し訳なさそうな目をして女将さんに問いかけた。


「お客さんが少ないから大丈夫。だから、マックスちゃんは早く寝てきなさい。」


 マックスはユウの目を見てどうする?という顔をしている。

ユウはマックスに迷惑を掛けたくないし女将さんの好意を無駄にしたくないのでお願いして貰おうかな。


「女将さんが大丈夫ならお願いしても大丈夫ですか。」



「任せな。さあ。マックスちゃんは早く部屋で寝てきな。」


 女将さんは、マックスを部屋に行く様に急かす。


「分かりましたよ。部屋で寝てきます。ユウ、冒険者の登録代と夕御飯代ね。あとは、女将さん、お願いします。ユウ、一応は、気を付けてね。」


 マックスは、ユウにお金が入った袋を渡して女将さんに一礼をして奥の廊下に歩いて行った。


「よし。マックスちゃんは行ったか。ソリュー!! ちょとロビーにおいで。」


 女将さんは、宿屋中に響き渡る声でソリューという娘を呼んだ。


「はーい。」


 すると、可愛らしい声が帰って来た。


「お母さん、なに?」


 10歳ぐらいの女の子が、顔を出して来た。一般的な女の子より可愛らしい顔をしているが女将さんにそっくりな顔をしている。やはり、親子は似るのだなと思ってしまうのであった。


「お客さんを冒険者ギルドまで案内して上げなさい。」


「はーい。じゃあ、お兄さん、私に着いてきて。」


「ありがとう。よろしくね。」


 それにしても、素直で偉い子だな。俺がこのぐらいの時は、こんなに素直じゃなかったと思うぞ。もし俺にも子供が出来たらこんな子供に育って欲しい物だぜ。

などと考えていると俺の手を引っ張って夕暮れの宿屋を出ていくのであった。


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