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第35話


 「こちら、クララ、森の様子はどうかしら。どうぞ」


 「こちら、ユウ、森の中は未だに静かで不気味。もう、帰って来ていいか?どうぞ」


 「死んで来い。どうぞ」


 「いやー、厳しいね。クララとジュナも森の中に入って来ても大丈夫だぞ。どうぞ」


 「了解」


 ユウ達は魔法トランシーバーを使って状況を確認しながら森の中を探索して行く。不気味な事に何も問題なく森の中を進んで行くのに不安を感じながら探索を続けて行く。一人を覗いてわ。


 この森の不気味だな。おっ、この草は解熱薬に使えるな。あっ、この木は、改築に使えそうだな。ラッキー、鉄鉱石の鉱脈じゃん。


 初めの緊張感など忘れて森の中にある素材にウハウハになっている。


 すると、魔法トランシーバーから高い通知音がなる。ユウは慌てて取る。


 「ねっ、さっきから連絡が来ないけど大丈夫なの?どうぞ」


 「すまん。少し気になる事があってな。でも、大丈夫だ。って言いたいけど、これはそうでもないなぁ」


 辺りを注意深く探ってみると、魔物らしき奴らが辺りを囲んでいる。それも、普通の魔物ではないだろう。相手に気づかれないような距離を保ってこちらの隙を探っている。


 「何かいるの?」


 「あぁ。それも強い魔物が沢山いると思う。片付けるまで、クララ達は待機だ。いいなぁ?」


 「了解したわ」


 「ユウ様、気をつけて下さい」


 「りょーうかいー」


 クララ達との通信を切りって、魔物の位置を確認して行く。魔物の数は26体いる。それも、囲んでいる連中とは離れてリーダーらしき個体がいる。どうやら、統率力を持っているらしい。


 いやー、久しぶりの一人での戦闘だな。多分、初めてこの世界に転移されて戦った狼いらいかなぁ?さぁ、今度の敵の姿はどうなやつかな?


 敵が仕掛けて来ないので、ユウは魔法鞄からある物を手に取り、こちらから先手を仕掛けてことにする。

 

 いざ、ショータイム‼

 

 ユウは、手に持っていた物を地面に落とすと同時に付いていたピンを抜く。すると、数秒後に煙がモクモクと広がり始める。ユウの姿は段々と見えなくなってしまった。


 ウィキー?! ウッキキー‼


 ユウが見えなくなったことで、魔物達が騒ぎ始める。その騒ぎに乗じてユウは一体の魔物の背後に回り込む。


 フムフム、魔物さんは武装した猿ですな。


 魔物達は自分達で骨で作ったであろう15センチ程ののボーンダガーを構えて、煙の方向を警戒しながらユウを探している。


 でわ、いただきます。


 ユウは背後から猿の魔物のボーンダガーを払い落として、流れるように首を思いっきりへし折る。魔物は余りの出来事に抵抗する暇もなく、ユウの前に崩れ落ちてしまう。


 よし、煙が出る内に片付けますかね。


 近くの奴も同様にして背後から倒していく。流石に、猿の魔物さん達も異変に気付いて来て鳴き声を上げて、リーダーらしき猿の魔物に指示を仰いでいる。そして、リーダーの回りに集まり出す。


 集結しちゃったな。うん。位置がバレるな。


 そして、ユウの居場所を突き止めてようで、猿のリーダーから雄叫びを合図に一斉に襲い掛かって来る。まるで、特攻隊のように命を散らして突撃する様は、流石のユウでも少し恐怖を感じる程である。


 いやー、このタイプの相手は足元をすくわれるから油断出来ないな。気合いをいれるしかないね。


 ユウは突撃して来る猿の魔物の波状攻撃を先読みして交わしたり、華麗に受け流して防いで行く。また、相手の隙がある時に一撃を与えてダメージを行く。魔物の猿達はユウに遊ばれているように見えるが、普通の冒険者であれば完全に瞬間殺のレベルの魔物である。

ユウのスーテタスが高いのもあるが、何よりもユウの戦闘技術が魔物達より歴然的に違い過ぎるのが大きな要因である。


 そんなこんなで、一体、一体、魔物の数を減らしていると、いつの間にリーダーとの一対一の戦いになっていた。やはり、群れを率いていただけに強くて、一撃では簡単には沈まない固さがある。しかし、焦りがあって攻撃時に隙が大きくなって来ている。ユウはそれを見逃さずに小さなダメージを与えて行く。そして、痛みと焦りで大きくなった攻撃モーションを見せてしまった事によって永遠の眠りを迎えてしまう。


 「おサルさん、good night」


 心突き‼


 ユウは、猿のリーダーの心臓に向けて手刀を放つ。手刀は猿の毛皮を突き抜け、筋肉をえぐり、心臓を突き刺して、体を貫通する。猿のリーダーから大量の血が吹き出して地面を血の海にしている。最後に渾身の反撃を入れようとボーンダガーをユウに向けて振るが、それを難なく受け止めてボーンダガーを叩き落とす。


 「残念だったな」


 リーダーの目には生気がなくなって体もダラリと動かなくなっていた。これで、森に静寂な静けさが戻っていた。

 

 ふぅー、終わったかなぁ?


 ユウは辺りに敵がいないか索敵スキルを使って確認してからクララ達に無線機で連絡を入れる。


 「こちらユウ、戦闘は終わったよ。こっちまで来てくれないか?」


 「了解したわ。すぐに向かうわ」


 無線機を切って、おサルさん達の死骸を集めて使える素材になるか調べて行く。すると、おサルさん達の首に気になる首輪があった。それを外して手に取って見てみる。


 「なんだ?一応、鑑定してみるか」


 ユウは鑑定スキルで、その首輪を鑑定してみると驚くべき事がわかった。

 

 「これって……」


 ユウが驚きのあまりに言葉を失っていると、クララ達が到着して声を掛けて来た。


 「お疲れ様。何を見ているの?」


 「クララ、まあ見てみな」


 ユウはクララにおサルさん達の首に付いていた物を投げて渡してみる。すると、クララも驚きの声を上げていた。


 「これわ‼服従の首輪じゃない‼何でこんな物があるの?」


 「こいつらの首に付いていた物だよ」


 ユウはおサルさん達の死骸を指差してみる。それをクララが見てるとさらに怖い顔をして来る。


 「クララ様、これの魔物は何ですか?」


 「この魔物は、アサシンモンキーよ」


 「えっ、あのアサシンモンキーですか?それなら死の森の奥地にしか生息していないはずですよね?」


 「その通りよ。こんな森にいる魔物じゃないわよ。こんなのがいたら普通の兵士なんて生きて帰るれ訳がないわよ」


 どうやら、今回の事件の原因らしき事を突き止めたらしいが、根本的な原因はわかってない。それは、なぜアサシンモンキーがこんな所にいるかと言うこと、そして、誰が服従の首輪を付けて操っていた可能性があると言う事である。


 「はぁ、これは面倒な事になりそうな展開になって来てわね。とりあえず、もう少し奥まで探索してから拠点に戻って報告しましょう」


 ユウを先頭にして森の奥を探索して回る。すると、アサシンモンキー達が巣にしていた場所を見つける事が出来た。その巣の中には兵士らしき遺体や装備があちこちに転がっていて、アサシンモンキー達が今回の事件の犯人と分かったが、アサシンモンキー達を操っていた真の犯人は分からないままである。

 

 「拠点に戻って、この状況を報告しましょう」


 「そしたら依頼完了でしょうか?」


 「原因も突き止めて、アサシンモンキーも討伐してるから問題はないと思うわ。けど、もしかしたら軍と一緒に現状を確認する必要があるかもね」


 「とりあえず、拠点に戻って報告しょうぜ」


 「そうね」


 ユウ達は巣を離れて、軍の拠点の方向に歩き始めてるのである。まあ、ユウは拠点に向かいながら使えそうな材料を採取して行くのである。そんな、ユウを見て呆れ顔で眺めるクララ達であった。




 ユウ達は軍の拠点に到着して、拠点のお偉いさんに報告をしている最中である。今回の件の内容を聞いてお偉いさんは、段々と顔を青くして頭を抱えていた。


「……了解した。一応、確認の為に兵士を派遣するので一緒に同行してもらえないだろか?」


 「分かりました。彼が同行しますわ」


 えっ?俺かよ‼そして、一人ですか‼ まあ、また採取できるからいっか。


 ユウは複数の兵士と一緒にアサシンモンキーの巣を案内して、遺体を回収たり、辺りを再度調査したりして数時間後に拠点に戻る事が出来た。その頃には、日は落ちて暗闇に包まれていた。


 「はー、長かったなぁー、案内ついでに採取は出来たけど少ししか取れなかったなぁ。後で、もう一度取りに行こうな」


 ユウ的には、物足りなさを感じている。それは、最初の目的は依頼ではなく、マックスのお店の修復に必要な材料や資材を採取するが主だったので資材不足が否めないので不満で仕方がないのである。そんなこんなで、不満げにブツブツと呟いていると若い新兵らしき人物が声をかけて来た。


 「あの……すいません。これが、………依頼の完了の書類です‼お疲れ様でした‼」


 「あっ、あり………、えっ?ちっよとーー!」


 新兵はユウの顔を恐る恐る見ながら書類を渡した瞬間に、すっ飛ぶ勢いで逃げて行った。まあ、新兵がすっ飛ぶ勢いで逃げたのは分かる気がする。それは、アサシンモンキーを倒す冒険者が怖い顔をしながら不満げにブツブツと呟いていたら、誰だって怖い気持ちになって逃げ出したくなる。


 「お疲れ様。どうしたの?」

 

 「いや、依頼完了の書類を渡して逃げるように立ち去られた」


 「………なるほどね。何となくわかった気がする」


 「えっ、何がわかった気がするの?とっても気になるですけど‼教えて下さい‼」


 ユウはいろいろと鈍感なので自分がどんな状況なのかいまいち理解していない残念な人間ですある。


「まあ、依頼は完了したようね。その書類は私が預かる?」


 まさかの無視ですか‼クララさん、いつもの事ながらひどいですね。まあ、慣れて来たけど、一応傷つくですよ。


 「はぁ~、そうしてくれると助かる。俺が持っているとなくしそうで怖いからな」

  

 「分かったわ」


 ユウは、深いため息をしながら、先程貰った書類をクララに渡す。クララは書類に不備がないか確認してからマジックバックにしまう。


 「明日にでも出発する?それても少し材料を集めてからにする?」


 「もちろん、後者でお願いします‼」


 クララの優しい申し出に土下座をしながら答える。クララは苦笑いしながら手を振りながら自分達のテントに帰って行く。


 この時に、ユウはクララの優しさを感じて少し心が暖かくなる感じがした。そんなこんなで、クララの優しさを噛み締めながらユウは眠りについて、次の日は太陽が上がる前に一人で材料探しに出かけるのであった。そして、ユウはウハウハになって材料を探し終える頃には夕暮れになっていた。急いで帰って来るとクララ達のテントも姿も見えない。


 「…………あれ?クララ達は何処に行った?」


 ユウは念のために辺りを探して見るがクララ達はいない。困り果てていると兵士が話し掛けて来た。


 「何か忘れ物でもあったのですか?」


 「いえ、仲間が見当たらなくて」


 すると、兵士は首を傾げるている。何か嫌な予感してしまうのは何故だろと思いながら一応聞いてみる。


 「どうかしたのですか?」


 兵士は不思議そうな顔をしながら、ユウにとっては衝撃な事を答える。


 「いや、朝の乗り合い馬車でクララ様達は帰られましたよ。一緒ではなかったのですか?」


 「……………えっ?」


 ユウは兵士の言っている事が理解出来ずに、口を開けて蛇に睨まれたネズミのように固まってしまう。


 「あの……大丈夫でしょうか?」

 

 兵士が心配そうに声を掛けてくれる。


 「すいません。もう一度聞いても宜しいですか?クララ達は先に帰ったのですか?」

 

 困惑しながらも兵士は首を縦に振る。それを見てユウは地面に膝を着いて嘆いてしまう。


 何も言わずに置いて行くなんて、それゃないよ~‼


 



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