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第31話 マックスの夢

 「あっーー‼とっても疲れたわ」


 クララはストレスを発散するように大声で叫んでいる。それも、ガヤガヤと賑わっている冒険者ギルドでも通るくらいの大声である。お陰で回りの冒険者からジロッと見られる始末である。


 回りからとっても見られてるけど、ここは無視、無視っと。


 「凄いギルドマスターだったな」


 「あんな人がいるのですね」


 「マリアナ様やウルファーをそうだけど、ギルドマスターはちょっと変わった方々が多いのよ。お陰でギルド職員は大変よ」


 暗い顔をしながらユウ達に話を始める。いや、愚痴り始める。


 いやー、各支部のギルド職員も大変だな。まあ、ギルドマスター、全員があんなとは思わないけど、ギルド職員は御愁傷様ですね。


 「でぇ、クララはこれからどうするんだ?冒険者ギルドを辞めたんだろ。」


 ウルファーが言っていた退職の話をクララに然り気なく聞いてみる。


 「ここに帰って来たら辞める約束になっていたからね。うーん、ちょうど家に帰れる時期が終わったから、あと一年ぐらい帰れないのよね。ユウ達が大丈夫なら一緒に行動したいなと思っているけど大丈夫かしら?」


 ………帰るのに一年間待つとかどんな所に家があるだよ。クララって、意外と謎が多いな。だけど、クララとは上手くいっているし、これからも長い付き合いになりそうだからいいかな。


 「まあ、俺は全然大丈夫だぞ」

 

 「ユウ様が大丈夫なら私達姉妹も問題ありません」


 「よし、あとは、マックス君だけね」


 クララは嬉しそうにガッツポーズを決める。そして、ユウ達を引き連れて冒険者ギルドを出る。冒険者ギルドを出たユウ達は、マックスとの待ち合わせ時間までが余裕があるので、市場を見て回ったり、食事を済ましたりしてから待ち合わせ場所に向かう。


 そして………


 「確か、この道だったと思うけど……」


 ただいま、道に迷っています。


 おいおい、クララさん、大丈夫ですか?あなたが頼み何だからお願いしますよ。でも、まあ、不安になるのは分かるよ。大きい道でちらほらと人が歩いてが、脇には細い路地が多く存在して、待ち合わせ場所に行く為には、路地を的確に見つけ出して行かねばならないらしいからな。頼むからクララ様、頑張って下さい‼


 皆で迷いながら辺りを見渡していると

 

「おーい、こっちだよー」


 遠くの路地の前で、嬉しさを表現するかのようにマックスの腕が左右に大きく振っている。それを見てユウ達は、ホッとしながらマックスの所に向かって行く。


 「やっぱり、路地の前に出て来て正解だったね」


 「本当に助かったわ」


 「いやー、本当に助かった。このままでは、確実に迷子になっているところだったよ」


「どういたしまして、さっ、この路地の入ってた所にに見せたい物があるだ」

 

 マックスは細い路地には入ってすぐの幽霊屋敷と言ってもいいぐらいの廃墟に近い二階建ての建物に入って行くので、ユウ達はマックスの後を恐る恐る付いていく。


 「ここは、祖父の家だった場所なんだ。そして、貯まったお金で、この建物を修繕してお店を開こうと思っているんだ」


 「すげェー、この歳でお店を開くんだ」


 「ところでマックス君は何のお店を開くつもりなの?」


 「この街には冒険者専用の雑貨屋がないから冒険者専用の雑貨屋を出すつもりだよ」


 「確かにこの街には冒険者専用の雑貨屋がないから狙い目かもね。それに、冒険者ギルドも近いから儲けるかもしれないわね」


 「……そうなんだ」


 おい、冒険者専用のお店がない王都って大丈夫なのかよ。何かあった時はどうするだよ。


 今まで、道具の販売や装備品の販売及び修理は、全て冒険者ギルドで請け負っているらしい。冒険者ギルドが賄える程にレオポートは冒険者に人気がないらしい。めぼしいダンジョンもなく、うまい魔物が生息する訳でもないので冒険者が集まらないのは自然なのかもしれない。


 「そこで、ユウにお願いがあるだけどいいかな?」


 「うん?お願いってなに?」


 「この前、建物の修繕してる所を見て思っただけど、ここの修善と改装をお願いしたいだけどいいかな。それと、お店の手伝いをお願いしたいだけどどうかな?報酬はちゃんと払うよ」


 どうやらマックスは、ダイジャスの街で修繕してる所を見て、ユウに修繕と改装をお願いしたいと思ったようである。まあ、断る理由もないし、ユウにとっても物を作ったり出来るので好都合でもある。そして、


 「マックスのお願いだったら全然大丈夫だよ。それに、俺としても楽しめそうだよ。へっへへへ」


 ユウはマックスのお願いを承諾する。そして、久しぶりに物造りが出来る喜びで思わず不気味な笑い声を上げてしまった。そのお陰で、全員の顔が苦笑いをしながら引きつている。


 「……じゃあ、……頼んだよ。あと、材料費はこの範囲で頼むよ」


 マックスは顔を引きつりながら金貨袋を渡す。金貨袋の中には白金貨が15枚入っていた。日本円にすると1500万である。これだけあれば修繕しながら改装するのは問題がない額である。しかし………


 「うーーーん、………普通なら足りるけど………」


 ユウは、思わず考え込んでしまう。普通にやるならこの額で問題ない。しかし、ユウが考えてる改装なら少し物足りない感じである。


 「あんたは、何をするつもりよ。また、ヤバい物を造ろうとしてるじゃないわよね」


 「そうでもないよ。ある便利な設備や道具だよ」


 クララとマックスが怪しい目線でこっちを見ている。


 「じゃあ、例えばどんな物を造る予定なの?」


 「無限に入る倉庫、鉄壁な金庫、強盗対策に迎撃システムでしょ。あと、住居スペースに寝室、お風呂、台所、……それに、薬草が栽培できるように温室と研究室、そして、俺が色々と造れる様に作業べぇギャァァァーーー」


 ただいま、クララに頭をグリグリされてます。


 「何するだよ。頭が割れるところだったぞ」


 「あんたはバカでしょ。そんなお店、普通じゃないわよ」


 皆が、うん、うんと頷きながら賛同している。


 いいじゃん。いいじゃん。どうせやるなら便利な方がいいじゃん‼ 


 「どうせなら便利な方がいいだろ」


 「はぁーー、限度って物があるでしょ。それに、無限に入る倉庫なっんて普通はありえないだからね。まず、大国にも無限に入る倉庫なんてないわよ」


 「やだ、やだ、やだーー、造りたい造りたーーい」


 ユウは絶対に造りたいので必死に駄々をこねて抵抗する。それを見て皆が呆れている。

 

 そこに、マックスが救いの手を差し伸べる。


 「まあ、好きな様に造ってみたら。その代わり、誤魔化せるようにして欲しいな。ユウなら出来るでしょ」


 オォー、流石、マックス様は分かってくれるじゃないのよ。


 「勿論ですよ。フッッッ」

 

 ユウは回りの冷たい視線を気にする様子もなく不気味な笑い声を上げて、ボソボソと独り言を呟きながら色々と考えているとクララがマックスにこそっり話しかける。


 「マックス君、少し話いいかしら?」


 「えぇ、大丈夫ですよ」


 「実はギルド職員を辞める事になったのよ。そこで、お願いがあるだけど、私を一時的に置いてくれない?その代わり、ユウの監視とお店の手伝いをするわ。どうかしら?」


 「本当かい?僕としても嬉しい申し出だよ。ユウを止めれるか少し心配だったんだ」


 「良かったわ。これから宜しくね」


 「こちらこそ宜しく」


 マックスは本当に嬉しそうに笑って答える。その顔を見てクララもホッとしている。そして、お互いに手を差し出して硬い握手をする。


 「さぁーてと、買い物に行こうかな。ジュナ達も手伝ってくれる?」


 「はい、ユウ様」


 「よし、じゃあ行くぞ」


 ユウは早くやりたいのでドアを開けて小走りで市場がある方向に向かって行く。ジュナも慌てながらユウを追いかける。それを見てクララが叫びながら


 「こーーら、待ちなさい。あなた達だけだったら迷子になるでしょ‼私も行くわよ」


 クララも後を追うようにマックスの家から飛び出して行く。マックス、エリー、マイは手を振りながら三人を見送る。そして、エリーがマックスにこう尋ねる。


 「…………マックスお兄ちゃん、何か手伝う事ある?」  


 「マイも手伝うよーー」


 「なら、計算の勉強をしょうか?これから必要になるからね」


 「わかった」


 「はーい」


 エリーは置いて行かれて少し納得していない様子であるが、この状況で自分が出来る仕事を見つける事にしたようだ。その我慢強さや切り替えの早さに関心すると同時にマックスの直勘が、この小さな少女の中に商人としての才能があるように思えた。これからマックスは自分が知る知識を全て彼女に叩き込む事にするのである。

 

 「ユウに会って毎日が楽しくなって来たな」


 マックスは、嬉しそうにエリーやマイに聞こえない小さな声で呟くのであった。


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