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第28話 仔犬の名前はどうする?

久しぶりの投稿で申し訳ありません。

 「ユウ兄さん、この子の名前はなんて言うのですか?」

 

 「ユウ兄ちゃん、教えて、教えて~‼」


 「ぁーー、そう言えばまだ決めてないな。」


 三姉妹の末っ子であるマイと次女のエリーが子犬を抱き抱えながら、ユウの顔を覗きながら質問して来る。最初の頃は、ジュナの側を離れる事はなく喋る事もなかった。しかし、スライムの祠以降から他のメンバーにも良く話をする様になっていた。多分、ユウ達が信用出来る人達だと認知したのだろう。


 「じゃあ、マイとエリー姉ちゃんで名前を決めていい?」


 「いいよ。その代わり仲良く決めてね」


 「やったー‼」

 

 マイは嬉しそうにユウが寝ているベッドの周りではしゃいでいる。エリーはマイ程ではないが嬉しそうに笑いながら喜んでいる様だ。


 マイとエリーが騒がしくしていると、ジュナが奥の部屋から飛んで来る。


 「こらー‼あなた達は何してるの?ユウ様は大怪我をしているのよ。今は安静にしないと行けないですよ‼」


 「………ごめんなさい」


 「まあまあ、これぐらい大丈夫だからさ。ジュナ、そんなに怒らないで上げてよ」


 「ユウ様、何を言っているのですか‼三日前は、生死をさまよっていたのですよ。それって全然大丈夫じゃないですよ。それに、今もベッドの上から起き上がれないじゃないですか‼」 


 あーー、全然言い返せる言葉がないな。


 そこへ、クララとマックスが現れる。


 「まあ、いいじゃないの。本人が大丈夫って言っているなら大丈夫よ。それに、かなり良くなってるしね」


 「そうそう。本人が大丈夫って言ってるなら問題と僕も思うよ。」


 「しかし‼」


 クララやマックスの説得にも関わらず、心配そうにユウの事を覗き込んでいる。


 「ジュナちゃんは心配性ね」


 「本当にユウは幸せ者だね。」

 

 いゃーー、一時は間違えられて異世界に転移去れてどうなるかと思ってだけど、信頼する仲間が出来たり、俺の事を思ってくれる人がいるなんて俺は本当に幸せ者だよ。


 「それはより、その仔犬の名前はどうするの?マイちゃん、エリーちゃん」


 「クララお姉ちゃん、もう決めてるんだ♪」


 「そうなの?早いわね。で、なんて名前にするの?」


 マイとエリーは胸を張りながらこう言った。


 「 『ミヤモト ムサシ!!』 」


 ぶっーーーー!! 何故、その名前が出てくるだよ!!まず、どこで知ったんだよ!!


 「ねぇ、マイちゃん聞いてもいいかしら?何でミヤモト ムサシなの?」


 いいぞ!! クララ、ナイスだ!!


 「うんーとね。ユウ兄ちゃんが寝ている時に『ミヤモト ムサシのスーパーレアをゲットしたぞーー』言っていたのを聞いたの!!」


 ……………うん。異世界に転移する前に、スマホの戦国カードゲームでレアカードの宮本武蔵を引いた時に言った一言だな。まさか、寝ている時までに喜ぶほど俺は嬉しかったのか。あーー、小学生みたいで恥ずかしい。


 ユウは、恥ずかしさに頬を染めながら溜息を着いていると、クララがスーパーレアカードとムサシの事について質問してきた。


 「ユウ、ミヤモト ムサシとスーパーレアカードってどんな意味なの?」


 「僕も気になるな」


 えっーーと、なんて言えばいいのかな。説明するのが難しいな。


 「まあ、ミヤモト ムサシは俺の故郷では凄い人物で有名人なんだ。スーパーレアカードは、その人のお宝カードなんだ。それを俺はたまたまゲットしたんだよ。」


 「『ふーーーん』」


 うわ。皆の何が反応が薄いなー。まあ、凄い人物って言っても皆はイメージが沸かないよね。それにカードじゃあお宝って感じではないから興味がでないよね。


 「まあ、凄い人物ならあやかるって意味でいいじゃない。ねぇ、マックス?」


 「そうだね。ユウが喜ぶぐらい凄い人物ならいいじゃない」

 

 「ユウ様がいいなら、私は賛成です」


 確かに、クララが言うように宮本武蔵は武人として凄い人物だからあやかるって意味でもいいかも。それに、俺的にも全然問題ないからな。


 「まあ、ミヤモト ムサシでいいじゃない?」


 「『やったー‼』」


 マイとエリーは嬉しそうにベットの回りを飛び跳ねながら子犬を抱き抱えている。まあ、何とも微笑ましい光景である。クララ、マックス、ジュナも暖かい目で彼女達を見ている。


 マイとエリーは、子犬の頭を撫でながら嬉しそうに名前を呼ぶ。


 「これから貴方の名前は、ミヤモト ムサシちゃんね♪」


 「ワン♪」


 人間の言葉を理解しているかの様に、ムサシも嬉しそうに吠えて返事をする。


 「ムサシは頭がいいね」


 「うんうん。多分、言葉を理解しているんだろうな」


 皆は、ムサシを可愛がる様に頭を撫で撫でする。そして、俺も頭を撫でようとすると。 


 ガブッリ‼


 …………………うん?


 ムサシは、牙を立てながらおもいっきり噛み付いている。


 いてぇーーーー‼ムサシ、何するだよ‼

 

 「フゥン」


 ムサシは触るなよって顔をしながら吠える。


 「ご……主人……様も……大変ね。プッ」


 「ユウ、残念だったな。……クス」


 クララとマックスは、ユウを励ますが面白そうに笑いを堪えている。


 「ユウ様、大丈夫ですか?」 


 「『ユウ兄ちゃん(さん)大丈夫?』」

 

 ジュナ達は優しいな。それに比べて、他人事だからと言って笑っているクララとマックスは酷すぎるぞ。


 ユウは、ジュナ達姉妹に大丈夫アピールをしながら、もう一度、ムサシを撫でようとする。


 「大丈夫大丈夫。これぐらい、『ガッブ‼』………大丈夫だよ‼ これぐ 『カッブリ』……………」 


 ムサシは、ユウの手を二回噛んで直ぐにマイの腕の中に入り込んで何事もなかった様な顔でマイとエリーに尻尾を振りながら甘えている。


 …………許さん。


 ユウの心の奥から怒りに似た何が沸き上がって来る。


 「ユウ、まあ、一応落ち着いて、ねぇ、ねぇ」


 「ユウ様、落ち着いてください」


 「『ユウ兄ちゃん(さん)、落ち着いて』」


 流石にマックスもユウの殺気に気付いて、ジュナと共に全力で止めに入る。一方、クララは我慢出来なかった様で床を叩きながら大爆笑している。まあ、この光景は前にも見た様な気がするが気にしないで置こう。


 その後、マックスとジュナが何とかユウを宥める事に成功して安堵のため息をしているが、ムサシとユウの関係は改善する事がなく、近付こうとすると、また噛まれると言う状況である。

 

 

 「ムサシ、ご主人様に噛みついたらダメですよ」


 「ワン‼」


 返事だけは完璧であるが、目は近づくんじゃねえよって言っている。全く恩知らずの子犬であるが、マイとエリーは、とっても可愛がって懐いているので、まあ良しとするか。


 ジュナの説教が終わったムサシは一目散にマイとエリーの元に向かって甘える姿を見せる。それが、あまりにも可愛すぎるので、先までの怒りがどこかに飛んでしまったユウであった。



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