第24話 仮拠点での出来事
長い休みになってすいません。ストックが少し貯まったので投稿します。
ユウが目を覚ましてベットを見てみると、すでにマックスはいなくなっていたが助けた仔犬が隣でスヤスヤ寝ている。どうらや先に起きて食堂に降りた様だ。
俺も降りますか。
ユウは、仔犬を起こさない様に静かに歩いて部屋を出て、一階にある食堂に向かう。食堂に入るとマックスが珈琲を飲みながら新聞を読んでいる。
「おはよう」
「おはようさん」
それにしても、珈琲を飲んでいる姿は、絵になるぐらい似合っていてイケメンだな。
「クララはもう起きてる?」
「既に起きて、冒険者ギルドに向かったよ。朝早くからダイジェストのギルドマスターに呼ばれたらしいよ」
「へぇー、あいつ、意外と忙しいだな。珈琲下さいーー!!」
『多分、君のせいだと思うけどね』
マックスは珈琲を飲みながら苦笑いをしている。
「ユウ、相談があるだけどいいかな?」
「なんの相談? あっ、ありがとう」
店員さんから珈琲を受け取りながら、マックスの相談を聞く。
「彼女達、あの体じゃあ旅に出れないから1~2か月ぐらい、この街で休養をしてから旅に出るつもりだけど大丈夫かい?」
あっ!!全然考えてなかった……。
ユウは、自分の額から汗が流れ落ちるのがわかる。
「……すまん。考えてなかった……。」
「大丈夫だから気にしないで。それより、人数が6人だから宿屋で宿を取るより、貸家を借りた方が安く付くから貸家を借りるつもりだけど大丈夫かな?」
「おっ、おう」
マックスと同じ歳なのにめっちゃしっかりしてるな。それに比べて、俺は……はぁぁ。
「でね、宿屋のオーナーが…… 何か落ち込んでるみたいだけど大丈夫?」
はい。……大丈夫です。
「ごめん…。話の続きを聞かせて」
「あぁ。この宿屋のオーナーが、この通りの奥に元鍛治屋だった空き店舗があるらしいだけど、そこを格安で貸してくれるみたい。そこを臨時の拠点にしょうかなと思っているけど大丈夫?因みに、クララから承諾済みだよ。後は、ユウ次第なんだよね」
スゲー…… 既に根回し済みかよ。一人で商人やってるだけあるな。うん、この方面では勝てる気がしないな。
「安く借りられるならその方がいいね。」
「じゃあ、オーナーに話を通して来るね」
マックスは、オーナーに会うためにスタスタとロビーの方に歩いて行く。
俺は今日はどうしょうかな。あっ、ヤベ!! マックスに金を返さなきゃ!!冒険者ギルドの銀行でお金を卸してこようと。
ユウはトレーニングついでに走って冒険者ギルドに向かって、銀行窓口でお金を卸していると後ろから声を掛けられる。
「ユウ、マリアナ様から、あなたに指名依頼よ………」
「うん?」
振り返って見るとクララが立って、顔が老け込む勢いで溜め息をしながら項垂れている。折角の美人顔が台無しである。
「ユウ、マリアナ様からダンジョンの調査依頼が指名で来てるわ」
マリアナ様からの指名依頼?クララの表情を見ると面倒な事になりそうな気配がするぞ。これって断れるのかな。
「クララ、それって……断れる?」
「無理!! 断ったら………どうなる分からないわ。それに、ダイジャスのギルドマスターが泣きながらお願いされたわ。……多分、マリアナ様に脅されたわね」
ですよね~♪
クララから聞いた話では、ある小国が冒険者ギルドに対して嫌がらせや無理な要求をして来て時があったらしい。それに怒ったマリアナさんが、その小国に一人乗り込んで無傷で壊滅状態まで追い込んだとかで、それ以来、この大陸の各国では、マリアナさんに喧嘩を売ってはならないという暗黙のルールが出来たそうだ。
うん、断ったらマズイですね。マリアナさんに脅されたギルドマスターは、ご愁傷さまだな。
「その依頼受けるとして、どんな所の調査依頼なんだ?」
「受けてくれてありがとうね。この近くにあるスライムの祠って言うダンジョンの調査よ。でも、誰も行かない廃れたダンジョンで調査済みなのにどうしてかしら?」
クララは、俺が指名依頼を了承してくれた事に感謝しながらダンジョンの事を教えてくれたが、クララはこの調査依頼に疑問を抱いているらしい。
スライムの祠は、弱小スライムを中心とした魔物のダンジョンで初心者の冒険者が三時間で攻略出来るレベルであるが道中の魔物や魔獣が強すぎて初心者が来れる場所ではない。それに、弱小スライムの素材やお宝もほとんどお金にならないので冒険者からは不人気である。さらに、瘴気や魔素が溜まらないのでモンスターが凶悪になってり進化する事もないで、冒険者ギルドからも定期的に調査される事もない。その所為、スライムの祠は誰も行かない廃れたダンジョンになっている。
「まあ、マリアナ様が貴方に指名で調査依頼するぐらいだから何かあるはずよね」
「まあ、そうだろな。」
「ユウ、マックスに報告するから一緒に帰りましょ」
「おう。でも、少し市場に寄り道していい?」
「いいわよ」
ユウとクララは冒険者ギルドを出てすぐの所にある市場に向かう。ここは、奴隷以外の商品を扱う市場で、食材、武器、防具、素材、回復薬などがメインである。
「ねぇ…… 色々と買い過ぎよ………」
「何が?」
「食材を買うのは分かるけど…… この毛皮、布、木材、鉄のインゴット、その他の素材は必要なの?それも荷車一杯って、おかしいでしょ!!何を作るのよ……」
「まあ、何を作るのかは秘密かなぁ♪」
「はぁ?……まあ、いいわ」
そんな怖い顔をしなくてもいいじゃないですか。クララさん。
どうやらクララはユウが何を作るのか気になる様で、少しムッとしながらもユウの隣を歩いている。二人は宿屋を目指して歩いていると、細い路地裏の入り口からユウ達を呼ぶ声が聞こえる。
「おーい。こっちこっち!!」
よく見るとマックスが大きく手を振りながら呼んでいる。隣には奴隷三姉妹がいて、一番年下の女の子の手には仔犬がクンクンと鳴いている。その様子は、ご主人様のユウを一生懸命に呼んでいる様に見える。
「ユウ、クララ、ここが臨時の拠点になる建物だよ」
路地裏に入って30分くらいの所に古びた建物との間に、崩れ落ちそうな鍛治屋の建物が辛うじで建っていた。二人は、余りのボロさに唖然になっている。
「見た目は少し……ボロボロだけど、室内はまだ使えるから安心して欲しい。それに、彼女達が綺麗にしてくれたからすぐに移れるよ」
マックスはユウとクララの表情を見て苦笑いしながら奴隷三姉妹が掃除してくれたことを教えてくれる。
「ご主人様、宜しいでしょか?」
うん?
「ご主人様、この度は、本当にありがとうございます」
ユウの手を引っ張って助けを求めた奴隷三姉妹の長女がお辞儀をしながら感謝の言葉を述べる。そして、妹達も緊張した顔をしながらペコリとお辞儀をする。
「ご主人様、クララ様、私はハーフエルフのジュナと申します。そして、妹のエリーとマイです。私達は一生懸命に頑張りますので宜しく御願い致します。」
簡単に彼女達を紹介する。まず、長女のジュナは15歳で金髪で165㎝ぐらいの伸長がある。容姿は可愛い顔をして胸も大きめである。因みに、耳はエルフ耳である。次女のエリーは、10歳で、こちらも金髪で容姿は姉に似ている。しかし、伸長は150㎝ぐらいで、まだまだ色々と成長する気配がある。そして、一番下のマイは、6歳の幼女であるが、姉達に似て可愛い顔しているので、大人になったら絶対に可愛い金髪美女になるのは確実である。
彼女達の顔色が少し良くなったみたいだけど、まだまだ痩けているのに掃除して大丈夫だったかな?あっ、一応、自己紹介しないといけないな。
「俺の名前はユウ、歳は18歳だ。こちらの彼女の名前は『クララよ』で、俺とマックスと同じ18歳だからね。ジュナ、エリー、マイ、これからよろしくね♪あと、俺の事を気軽にユウでいいからね『私もクララでいいわよ』」
「しかし!!」
「はい!!堅苦しいのはなしね!!わかった?」
「……はい。………わかりました」
ジュナは渋々と承諾してくれた見たいである。
ユウとクララは軽い感じで少し自己紹介をして、三姉妹に笑顔で優しく握手をする。そのお陰で、緊張していた彼女達の顔が少し緩む。
「よし、自己紹介も済んだから建物の中に入って見ようか」
一同は建物の中に入ってみると建物の中は外壁と違ってまだ大丈夫そうであるが所々で傷んでいる。この建物は、鍛治屋だったので最初に入った部屋は炉などの設備は揃っていた。そして、奥の部屋に進むと住居スペースがあるがちゃんと住むなら修理が必要な感じである。
「思ったより大丈夫そうね。一時的に住むくらいなら問題ないわね」
「そうだな」
問題ないけど…………修理してぇー!!
ユウは、昔から物造りが好きで、プラモ、イス、テーブル、衣類、野菜、料理などを造っている。さらに、車、バイク、エンジンなどをいじったりしている。言うならば物造りバカである。多分、幼馴染みに武術を無理矢理教わらなかったら、確実に物作り似没頭して引き込もっていただろう。実は生産スキルを取ったのもそういう理由だったりする。
クララとマックスは、荷物を取りに宿屋に戻って、マックスは商売の仕事、クララはスライムの祠の情報収集に向かう様だ。そして、ユウは急いで市場に向かって修理する材料を買って修理に取り掛かる。最初は、住居スペースだけのつもりだったが、物造りのクセが出てしまい建物全体を丁寧に修理する。お陰で見違える程の立派な建物になっている。
しかし、スキルの職人の神のお陰で建物全体の修理が一時間で終わるとか凄いな。それに、リストを見たら、俺の世界の道具と異世界の道具まで作れるみたいだから楽しみだぜ♪
スキルの職人の神は、所有者の製作スピード、造った物の質がアップするなどの効果がある。そして、このスキルの凄い所は一度でも見た物は同じように造れたり、過去に失われた技術で再現した物を造ったり、俺の世界の技術と異世界の技術を融合する事出来たり、新たな物を創り出す事が出来る凄いスキルである。まあ、このスキルが有れば何でも造れる無敵チートである。
よし、家財道具や便利な道具を造りますか?まずは、寝具を造ってから冒険に必要な道具や俺や彼女達の武具などを造る順で行こうかな。
ユウは、全員分の寝具を30分で造り上げて、冒険に必要な道具を造り始める。
「あの~私達も何かお手伝いさせて下さい」
あっ、ジュナ達の事を忘れてた!!でも、手伝う事は今のところないからどうしょうかな?
「まあ、新しく作ったベットを使って休んでから感想を聞かせて欲しいな?」
「しかし、それでいいのですか?」
「いいよ♪その方が助かるよ」
ジュナ達は困った顔をしながら答えて来る。しかし、素人が作業するには危ないので、使った感想を教えてくれた方が正直助かる。その事をジュナ達に伝えると渋々と承諾してくれて、居住スペースにベットを運んで休んでもらう。
ジュナ達も居なくなった事だし、やっと集中して物造りに励めるぞ!!次は何を造ろうかな~~♪よし、魔法バッグ《マジックバッグ》でも作ろうかな♪そうしたら冒険と旅が楽になるからな。
ユウは軽くて丈夫な皮を使って魔法バッグの作製に取り掛かる。今回の魔法バッグのモデルは冒険者ギルドに売られてる魔法バッグである。
「うーーーん………まあ、こんな物かな?あっ、エリーちゃんとマイちゃんはまだ体が大きくないから小さいポーチがいいな」
この世界の魔法バッグは製作者の力量や出来上がりによって中に入る量が変わるらしい。しかし、沢山入る魔法バッグを造れたのはこの世界で10人もない。なので沢山入る魔法バッグは大変貴重な魔法道具である。そんな事を知らずにユウは全員分の無限に入る魔法バッグを作製している。
「俺の装備は適当でいいとして、ジュナの装備はどうするかな?」
ユウはスキルを使ってジュナ達にあった防具と武器を調べ始める。
うーーん、皮鎧なら軽いけど防御力に難があるからな。けど、プレートアーマーは防御力が高くても重くて動けないから意味がないよな。あっ、これを改良したら丁度いいな。
ユウは鉄のインゴットを取って錬金スキルを発動される。すると、鉄のインゴットがキラキラとして鉄の糸に創り替える。
錬金スキルは魔力を使って物質を創り変えたり、物質の性質、形状などを変える事が出来る。ユウが使用したのは、アーマーを造る為に鉄のインゴットの形状を糸に造り変える。そして、鉄の硬度を保ちながら柔軟性を生み出す為に性質を変える事によって軽量化と体の動きを妨げない伸縮性を実現する為である。
まあ、ユウが造るアーマーは元の世界で軍が使っているアーマーの様な本格的の物ではない。鉄の糸を簡単な服にしてた簡易アーマーを作る予定である。
よし、いい感じの鉄の糸だな♪あとは、即席の簡易機織り機を造って服を織るだけだな。
ユウは、建物の修理で余った廃材を利用して簡易機織り機を造って織り始める。試しに、自分のサイズで造ってみると10分くらいで完成する。サイズはぴったりで動きを邪魔する事はなく問題ない出来である。そして、性能も悪くない様でナイフで軽く斬っても突き刺してもユウの体とアーマーは無傷で何ともない。
へぇぇ、最初にしては最高の出来栄えだな♪思ったより量もあるから皆の分も作って置こうかな?
早速、皆の分を造る為に作業に取り掛かる。皆のサイズが分からないので大体の目安で造る事にする。1時間ぐらいで皆の分を完成して、性能も最初に作った物とは変わらずに作り上げる。
「流石に疲れた~~!!少し休憩するかな。…………しかし、マックスとクララは帰って来ないな。」
ユウは、修理を合わせて6時間近くもぶっ通しで作業をしていた事に気が付く。スキルのお陰で肉体的な疲れはないが精神的な疲れが出るのは当たり前である。しかし、造りたい欲求が精神的疲れを凌駕した様で少し休憩してから物作りに取り掛かる。
ユウは炉に火を入れて武器を造る準備をする。一応、ジュナ達のの武器候補を造る為である。そして、冒険や旅に使いそうな物や便利な物を色々と作っていると玄関の扉が開く音が聞こえて二つの足音が近づいて来る。どうやら、クララとマックスが帰って来たみたいである。
おっ、帰って来たな!!
「おかえ…『己は何やってるんじゃーー!!』」
ぶっへぇーーー!!
クララの強烈な右ストレートパンチがユウの顔面を捕らえる。そして、ユウの体が吹っ飛んで修理したばかりの壁にめり込む。
あぁぁ……壁……修理したばかりなのに………
「クララ、何するんだよ!!」
「人がいない間に勝手に修理してるのよ!! それに、短時間の内に建物全体を綺麗に修理して、色々と作ってのよ!!何なのこれは!?」
クララはユウの頭を掴みながらグリグリする。
たっ、たっ、確かに、勝手に修理したのは悪かったけど!! グリグリだけは痛いから止めてくれー!!
「武器と防具と旅の道具です……」
「…………」
二人とも無言とか怖いぞ!!何か言ってくれー!!
そして、ユウはクララに真夜中まで説教を受けて、最後はマックスの説得のお陰で開放されるのであった。
あぁぁぁ………何故こうなったのだろ? そして、足が痺れて痛い………
ユウは、自分で作ったベットに倒れ込んで深い眠りに着くのであった。




