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第23話 仔犬と奴隷三姉妹!!

新年明けましておめでとうございます!!

今年も宜しくお願いします♪


ストックがなくなったので更新のペースが遅くなると思います。

 ユウとクララは、30分ほど休憩をしてからダイジャスの街に向けて歩き出す。


 「ユウのお陰で、ダイジャスにあと2日くらいで到着するわ♪」

 クララは、十分休んだお陰もあるが、目的地のダイジャスまで、あと少しの所まで来ている様でとっても機嫌がいい様子である。


 「やった~~♪早くベットの上で寝れる~」


 「どんだけ寝たいのよ(バッチンー)」


 クララは、漫才芸人の様に、ユウにツッコミを入れる。勿論、強烈なツッコミである。


 「クララ……痛いから少し優しくやってよ……」

 

 「ごめんごめん。次から気を付けるわ♪」


 と言いながら、ユウの肩をバシバシと叩いて来る。


 こいつ、絶対にわかってないだろ……


 と思いながら歩いていると道の茂みの奥から弱々しい鳴き声が聞こえて来た様に感じる。索敵スキルには、反応がなかったが、一応、クララに確認してみる。


 「なあ、茂みの奥から鳴き声が聞こえなかった?」


 「聞こえたわ……」


 クララも聞こえていた様で、ユウが尋ねる前に警戒体勢に入っていた。流石、危険地帯の案内を任されるギルド職員で、その体勢には油断がなく全くの隙がない。


 「少し調べて来る」


 「わかったわ」


 ユウは慎重に茂みの奥に歩いて行く。注意深く辺りを見回して見るが何もいない。気のせいだったのだろうかと思って戻ろうとした時に、また、弱々しい鳴き声がすぐ近くで聞こえて来る。


 鳴き声の元に近寄ってみると、小さな仔犬?が倒れている。どうやら、怪我をして衰弱している様子で、今にも死にそうな感じである。


 ユウは、助けるか、見てない振りを見殺しにするか迷っていると、仔犬と目があってしまって、ウルウルした愛くるしい目で見詰めて来る。


 目が合っちゃたよ…… ヤベ……めっちゃくちゃ可愛いなこいつ、助けようかな。でも、助けたら飼わないといけない感じになるよな。


 どうしょうか迷っていると、後ろから強烈なチョップが飛んで来る。


「いってっ」

 

「もお、遅いから心配で見に来たわよ」


 後ろを振り向くとクララが仁王立ちで立っている。そして、ユウの後ろにいる、仔犬を見て呆れながら呟く。


 「もし、助けるなら最後まで面倒を見ないとダメよ。自然に帰してしまったら人を襲うかも知れないからね。飼うにしても、冒険者は基本的に宿屋の生活だから飼うのが大変よ。それに、受け入れてくれる宿屋は少ないと思うわよ。それでも飼う覚悟はあるの?」


 クララは、ユウに助言をしながらも、目では諦めて見捨てなさいと言っている。確かに、クララの言い分は間違っていないが、ユウの心の中では、助けて上げたいと思う気持ちがある。ユウは、板挟みになりながらも考えて答えを出す。


 「こいつは、俺が最後まで面倒をみる! クララ、だからいいい?」


 「好きにすれば。だけど、最後まで面倒見なさいよ!!」


 クララは、呆れた顔をしながらも了承してくれて、ユウは何だかホッとする。ユウとクララの関係は、ユウを保護して、レオン王国に案内をするのがクララの仕事である。クララに許可を得なくても、ユウの自己責任の元にこの仔犬の面倒をみるなら問題はないのである。しかし、ユウはこれからクララと長い付き合いに成りそうな感じがしたので、一応、確認をしたのである。



 ユウは、カバンから毛布を取り出して、仔犬に被せながら抱き抱える。そして、クララと共に街道に戻ってダイジャスの街に向かって歩き出す。


 「それにしても、この子、見たことない魔獣だわ?この辺りの魔獣や魔物のリストに載ってない魔獣だわ」


 「そうなのか?」


 その前に、この辺りの魔獣を全部覚えているのかよ!!クララ、めっちゃ凄いな。尊敬しちゃいますよ。


 「確かよ。この辺りの魔獣や魔物のリストは全部覚えているからね。まあ、ギルド職員として当然だからね♪」


 クララはユウに向かって、これでもかと言うぐらいに自慢げにアピールして来る.


 折角、クララの事を凄いと思ったのにちょっと残念だぜ。それに、美人なのに暴力的なのがまた残念なんだよね…… はぁぁ………


 ユウは、クララの残念な所を思い浮かべていると、


 「あ・ん・た・今、私の悪い所、考えてなかった?」


 ひぇぇーーー ( ゜Д゜)!

 クララ……恐ろし過ぎるぞ。本当に心が読めるだろ!!


「いっ、いゃー クララ、そんな事はないでっ、でっでっ、ですよ


 ユウは口笛を吹きながら誤魔化すが、クララにはバレた様で凄い恐い顔で睨んで来る。


 クララ様、すいません、すいません、私が悪かったです。だから、許して下さい。


 「まあ、いいわ。その前に、この子の怪我を治した方がいいじゃない?衰弱してるわよ」


 そうだった。この仔犬の怪我を治さないと大変な事になる。


ユウは、仔犬の怪我を観察して見る。どうやら、足を怪我をしている様で、傷口から血が垂れているが、骨折などの大怪我をしている様子はないので安心する。しかし、足の怪我したせいで、ろくに餌を取る事が出来なかった様でかなり衰弱している。


 けど、治療する道具とかないからな。どうやって治せばいいかな?


 「クララ、救急セットとかある?」


 「あるけど、あんたは、全属性使えるならヒールが出来るんじゃない?」


 因みに、ヒールは水属性を持つ者しか使えない。しかも、他の属性より数が多くないので、水属性の魔力を持つ者は貴重な人材らしい。


 「あっ、確かにそうだね」


 ユウはなるほどと思ってポンと手を叩く。


 よし、炎を出した時の様にイメージして魔法を発動しないとな。


 ユウは、仔犬を治すイメージでヒールの魔法を唱える。


 「ヒール」


 傷口が段々と治って、仔犬の顔色が少し良くなって行く。しかし、衰弱は治せない様でまだ弱ったままである。


 よし、傷口の治療は上手くいったな。


 「上手くいったわね。けど、早く街に向かった方がいいわね」


 「そうだな」


 急いでダイジャスの街に行く為に、ユウはクララを抱き抱えて、クララには仔犬を抱き抱え貰う。そして、出来る限りのスピードで走り出すのであった。


 ユウが走り出して、3時間ぐらいでダイジャスの街が見えて来た。ダイジャスの街も城壁に囲まれているが、ラックスの街もよりも大きな街に感じる。


 ユウとクララは、門番達から質問を受けてからダイジャスの街に入る。街の中に入ると、奴隷商のお店が沢山ある。そして、奴隷商人の側には、大勢の奴隷達が鎖で繋がれている。奴隷達の環境は最悪の様で、着ている洋服はボロボロ、顔色も悪くて今にも倒れそうである。その光景を見て、ユウは切ない気持ちになる。


 「いつ見ても、この光景は嫌な気持ちになるわね」


 クララは、顔を歪めながらポツリと呟く。


 「同感だ」


 この世界の奴隷達は人権と呼べる権利はない。自由に生きる権利、賃金、休日など権利は当然ない。彼等は死ぬまで永遠に働かされる。


 さらに、この世界のことわざにこんなのがある。

 

 『奴隷の子は奴隷』


 つまり、親が奴隷の身分なら、その子供や孫も奴隷になるという事である。


 また、人攫いに攫われた者、戦争の捕虜、人間族以外の種族などが奴隷に落ちたりするらしい。


 ユウはこの事をクララから聞きながら目的地のダイジャスの冒険者ギルドに向かう。


 「着いたわよ」


 「これがダイジャスの冒険者ギルドかぁ……」


 何かショボいな……


 ユウはダイジャスの冒険者ギルドを見て思った事は、ラックスの冒険者ギルドに比べて建物が小さい様に感じる。


 「あんた、『ショボいなー』とか思ってるでしょ」


 「えっ!!……そんな事ないよ」


 「もぉ、顔に出てるわよ」


  えっ、顔に出てる?もしかして、俺の顔色から心を読んでいたのか? 


 「あんた、顔に出すぎよ。少しは隠す努力をした方がいいわよ」

 

 そういえば、幼馴染みにもそんな事を言われたな。そんなに顔に出てるのか?


 「誰かに言われたことあるみたいね」


 ………顔に出てるみたいですね。顔に出ない様に気を付けよう。


 「おーーーいーーー」


 ユウは聞き慣れた声がする方に振り返ると、マックスが手を振って歩いて来る。


 「だいぶ早い到着だね。ユウ、抱えているのは……」


 マックスは、抱えている仔犬を見て言葉が詰まる。


 「……拾って来た」


 ユウは、マックスに詳しい経緯を伝えて、一緒に旅をする為の了承を貰う。

 

 「そっかぁ…… まぁ、ユウが管理出来るならいいよ」


 「マックス、ありがとう」


 「ところで……彼女はギルドにいた受付のお」


 ヤバイ!!マックスが禁句を言ってしまう。


 「そう、そう、受付嬢だよ!!なあー、クララ!!」


 「えっ、あぁ、そうだね」

 ユウは大きい声で禁句を遮る。ユウがマックスの耳元で叫んだのでマックスはビックリした顔で頷く。

 


 ふー、何とか間に合ったな。 いってーーー


 クララがユウの頭に拳骨を入れる。


 何故に!!俺の頭を殴ったの!?


 「ちょっとムカついたから(ギロッ)」


 「ヒドい!!俺が気を使ってあげ……」


 「君がマックス君ね。私は、ギルド職員のクララって言います。よろしいね♪」


 って、人の話を無視するなよ!! 一応、俺は主人公だぞ。


 クララはユウの事を無視して、マックスに握手をする為に手を差し出す。この光景を見ていたマックスは顔を引きつりながら握手をする。


 「ど…う…も…ヨロシク」

 

 「でもすんなり合流出来て良かったわ。ユウ、今日の宿屋を探しに行きましょ。マックス君はどこの宿屋に泊まっているの?」 


 「僕は東通の脇道にある知り合いの宿屋に泊まっています。ユウとクララさんの分も取っていますので探さなくても大丈夫ですよ」

 

 ユウ達、三人は宿屋がある東大通りに向かう。冒険者ギルドから30分歩いた所で東大通りに到着する。


 「ユウ、ここが東大通りだよ」


 「ここも奴隷商が多いね」


 「ここは大陸で一番の奴隷の街だからね」


 確かにそうだけど、大通りのほとんどが奴隷商人のお店だぞ。多くねか?街全体でどのぐらいの奴隷商があるんだよ。


 「私の記憶では、この街に奴隷商が約1000店舗ぐらいあって、人口の半分以上が奴隷らしいわよ。」


 スゲ……… 流石、この大陸で一番の奴隷の街だ。


 ユウ達は宿屋に向かうために歩いていると、後ろから手を引っ張られる。


 『お願いします! 私の妹達を買って下さい。』


 後ろを振り返って見る。すると、鎖に繋がれた一人の少女が震える声で弱々しく手を引っ張っている。


 「お前!! 何やってるだーーー!!」


 一人の奴隷商人が叫びながら手に持っている鞭を降り下ろしている。


 ユウは少女を守る為に、素早く体を覆い隠す様に割り込む。



    バッチーーン!!

 

 

 辺り一面に乾いた鞭の音が響き渡る。鞭を降り下ろした奴隷商人には困惑の顔を浮かべている。


 「お前、大丈夫か?」


 奴隷商人は、困惑しながら話し掛けて来る。その顔は訳がわからないという顔をしている。


 「これぐらい平気ですよ」


 「いや……… お前の脳みその事を言ってるんだよ」


 「へっ? ………… 」


 どうやら、奴隷を庇った事が理解出来ない様で俺の事を頭がイカれた奴だと思っているらしい。全く失礼な奴である。しかし、この世界の人々は奴隷達の事を家畜としか見ていないので、ユウが助けた行為は異常な行動と思われても仕方がないのである。


 「すいません。うちの連れが何かしましたか?」


 「いやーー、何でもありませんよ。それより、旦那、うちの奴隷はいかがですか♪」


 こいつ、俺の事を無視してやがる!!


 商人はユウを無視してマックスと商談を成功されようと必死である。その間にユウを引き止めた少女に話をする。


 「大丈夫かい?」


 『はい。私は大丈夫です。それより、貴方様は大丈夫ですか?』


 「これくらい平気だよ」


 テラィラノドラゴンの尻尾攻撃に比べたら全然痛くないよ~。


 『お願いがあります。私の大事な妹達を買って下さい。』


 「妹達は何処に?」


 『後ろの列にいます』


 彼女は後ろの列の方に指を指す。


 二人の少女が震えて此方を見ている。この女の子や二人の少女達もボロボロな衣服でガリガリに痩せて、今にも死にそうな雰囲気である。


 「どうして俺に買って欲しいの」


 『妹達だけは幸せに生きて欲しいと思っていましたら、貴方様を見た時に、『この者に頼みなさい』と誰かが私に囁いたのです』


 そっか、妹思いのお姉ちゃんなんだな。


 「偉いね君は。だけど、君はいいのかい?」


 『その……妹達を買うお金も持ってない様に見えましたので………そのすいません。』


 ………そっか。何か複雑な気分になったけど、童顔だから仕方ないよね。って、クララの奴は俺達の会話を聞いて笑ってやがるな。


 クララはマックスの横でクスクスと笑って俺を見ている。

 

 『本当にすいません。すいません』


 「いいよ。気にしないで♪妹さん達も君も僕が何とかしてみるよ」


 『本当ですか!!あっ あっ ありがとうございます』


 彼女は泣きながら俺の体を掴む。


 ヤベ……ちょー恥ずかしいな。


 すると、マックスと目があって、ユウはマックスに合図を送る。


 「色々ありがとうございます。しかし、今回は遠慮して頂きます」


 『チッ、冷やかしかよ』


 こいつ、露骨に舌打ちしやがったぞ……。この奴隷商人は商人として大丈夫なのかよ。


 「なあ、おっさん!! 俺がこの三人を買うぞ」


 「小僧、金はあるのか?」


 マックスの時と違って態度が悪いぞ。絶対に俺の事を舐めてるな。


 「でっ、値段は?」


 「お前みたいな小僧が払えない金額だよ」


 「だから、どれぐらいだよ」


 ユウは奴隷商人の態度が喧嘩腰なので口調が荒くなって来る。見た感じはヤンキー同士の口喧嘩になって来ている。


 「まあまあ、落ち着いて。おいくらになります?」


 「こいつら三人で金貨180枚だ。お前ら、この額を払えるのか?」

 

 ヤベ!!その金額は持参してないぞ!!


 『お金は大丈夫だよ』


 「金貨180枚は高す過ぎるな。この奴隷達は細くなって弱ってるじゃないですか?金貨100枚で」


 「確かに弱っているが金貨100枚は安すぎる!! こいつらは、エルフだぞ!!ふざけるな!!」


 奴隷商人のおっさんは怒った顔になる。しかし、マックスは気にしない様子で奴隷の三人娘を眺める。


 「残念ですが、ハーフエルフですね。では、金貨150枚でどうですか?」


 「クソ…バレたか…… まあ、150枚ならいいだろ。でも、払えるのか?」


 奴隷商人のおっさんは、嘘がバレて渋々と商談に合意する。


 「此方が金貨150枚です」


 マックスはカバンから金貨袋を出して、隷商人のおっさんに手渡す。奴隷商人のおっさんは袋から金貨を取り出して、一枚一枚数える。


 「確かに、150枚受け取った。こいつらは、お前の物だ。奴隷契約の主人はお前でいいのか?」


 「僕ではなく。彼でお願いします」


 マックスはユウに指を指す。奴隷商人のおっさんは驚いた顔をしながら、ユウに奴隷契約の洋紙を渡す。


 「ここに手を置け、おい、お前らはここに置け」


 ユウが置いた所とは反対の場所に、奴隷三人娘が手を置く。すると、洋紙が光を帯びてユウと奴隷三人娘の体を包み込む。そして、奴隷商人のおっさんが、三人娘の首に金属製のチョーカーを着けると輝きがなくなり、奴隷契約の洋紙が燃え始めて跡形もなく消滅する。


 「これでお前の物だ」


 「おっさん、この奴隷契約を解錠するにはどうすればいい?」


 奴隷商人のおっさんは、『はい』と言いたそうに首を傾ける。


 「チョーカーを壊せば解錠されるぞ。それを聞いてどうするだ?」 


 「こうするの!!」


 ユウは奴隷三人娘のチョーカーを粉々に砕いて行く。奴隷商人のおっさんと奴隷三人娘は口をパクパクさせながら固まっている。


 「これで君達は自由だよ。このまま僕に着いて行くのもいいし、別の仕事を見つけるのもいいよ。だけど、先に体を元気にしょうね」


 ユウの手を引っ張った少女は泣きながら何度も何度もお礼を言って抱き付いて放さない。余りにも大声で泣いてお礼を言うものだから周りの視線がそろそろ痛い状況になっている。


 クララさん!!お願いだから助けてーー!


 クララは俺の助ける目線に気づいてくれた様で、少女の側に駆け寄って声を掛ける。


 「……仕方ないわね そろそろ終わりなさい。ユウが困っているわよ 。ほら泣き止みなさい。ほら…泣き止み……な・さ・い!!」


 『はっうっ』


 少女が泣き止まないので、クララの少女に首トンを入れて泣き止ませる?(気絶される)


 えぇぇーー!!いくらなんでも首トンはないだろーー!!それに、あの少女『はっうっ』って言っていけど大丈夫?


 「よし、泣き止んだわね♪」


 「おい、『よし、泣き止んだわね♪』じゃあねぇよ!! 少しは考えろよ!!」


 「助けを求めといてなに言ってるのよ!!あんたわ!!」


 クララはユウの頭を両手でグリグリする。勿論、手加減なしのグリグリである。


 「いっでっでっー!! すいません!!俺が悪かったですから勘弁してー!!」


 そんなこんなで、ユウ達一行は今回の宿泊先の宿屋に向かうのであった。


 因みに、奴隷三姉妹が泊まる空き部屋がなかったので、ユウが使う筈だった部屋に泊まってもらって、ユウはマックスの部屋の床で寝る羽目になるのであった。


 折角、頑張って走ったのに床で寝るのかよ~~~~~!!


 ユウの無情な叫びが虚しく心に響くのであった。



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