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第21話 ユウ vs バカン

 今、ユウはバカンの剣を必死に受け止めている。バカンはかなりの筋力があるので一瞬でも気を抜くと斬られてしまいそうである。


 早くクララを逃がさないとクララが巻き添えを食らってしまう。クララに逃げる様に言わないといけないな。


 「クララ!!急に放してすまない。すまないけど、街の外に走って逃げて欲しいけ………ど……。って、俺を置いてもう逃げてるのかよ!! ヒド過ぎるだろ!! 」


 いや、逃がすつもりだったけど言う前に逃げているのは何か悲しいよ……。 あっ!! 置いて逃げるのはいいけど、俺は目的地を知らないからどこかで待っていてよ。クララさん!! 



 「雑念とは余裕だな……」


 「どうも御忠告ありがと♪」


 しかし、このままではまずいな。どうにか体勢を整えないと攻撃に移れないぞ。ここは、能力制限を全解放しよう。


 ユウは能力制限を全解放して、受け止めていた剣をバカンに押し返す。


 「ごりゃ~」


 「なんだと!!」



 この時に無表情だったバカンの顔が初めて歪む。そこには、驚きと悔しさの顔が滲み出でいる。


 おっ。初めて顔を歪めたぞ。これならイケそうだぞ!!


 ユウは、ある程度押し返したら隙をみて距離を取る事に成功する。


 「貴様を侮っていた。ここまでやるとは予想外だったよ」


 「どうもありがとう♪」


 ……………………


 お互いに様子を見ながら攻撃のタイミングを見計らっている。時間にして10秒ほど時間が止まった様になる。そして、同時のタイミングで攻撃をするために動き出す。




 「フッん!!」

 「はっ!!」


 キィン ドン キィン キィン  ドン キィン キィン


 お互いに攻撃と防御のラッシュが始まる。周りの兵士や冒険者達のほどは、ユウとバカンの剣と拳の攻防戦を見切れる者はほぼいなかった。わかるのは剣が手甲に弾かれる音、剣と拳がぶつかり合って起きる衝撃波、ユウとバカンの残像が見える程度である。


 

 「あんた…… さっき、わざと逃がしただろ……」


 「ほー。何故そう思うのだ?」


 バカンは感心した声を上げながら聞き返して来る。


 「館では手を抜いている様に感じたからな。それに、すぐに追手来なかったからな」


 「やはり気づいていたか……。 では何故逃がしたと思う?」


 答えをわかってる癖に聞くのかよ。こいつ、めっちゃ面倒だな。だけど、まあ答えてあげますか。



「全力でなぶり殺す為だろ?」


「…………正解だ……」


 『正解だ』と答えた瞬間にバカンの剣が唸る様にスピードが上がる。


 こいつ、………やっぱり強い。これがやつの本気だろうな。さっきとは衝撃の重さや剣の切れが上がっているな。お陰で防ぐのがやっとだぜ。



 ユウはバカンの剣技を回避するか弾いて防ぐので手一杯である。お陰で攻撃を打ち込めないでいる。しかし、バカンも致命的な攻撃を打ち込めないでいるらしく顔に余裕が見られない。


 「怪物以外に本気になったのは………何十年ぶりだろか……」


 そして、バカンの重たい一撃がユウを襲う。余りの重さに上手く弾けなくて門の外に吹っ飛ばされる。


ヤベーな……… 右手が痺れちゃったよ。これは、痺れがなくなるまで上手く使えないな。


 「貴様は何故に武器を使わないのだ?」


 「それがウチの得意とする武術の流派だからな」


 「なるほど変わった流派だな。何と言う流派だ?」


 バカンはユウの戦いを見て興味を持った様でユウに質問をして来る。そして、その質問をされてユウはニヤリと笑みを浮かべて答える。


 「総合武術…………飛鳥流だ!!」


 「飛鳥流か…… 聞いた事がないな……世界とは広いな… ふん…久しぶりに血が疼いて来たな。やはり貴様を殺したくなって来たよ……」


 バカンは薄笑いを浮かべて目がランランと輝き出す。


 あんた、目が怖いよ…… 


 「………行くぞ……」


 バカンから殺気のオーラが溢れ出しながら走って来る。


 こっちも殺る気で来ないと行けないな…… 嫌だな…… 昔を思い出してしまうぜ…… けど殺られるのはごめんだ。あちらさんも覚悟の上だ。死んでしまったら自己責任って事でごめん……


 ユウも殺気を立てながら走り出す。そして、手甲と剣が激しく火花を塵ながらぶつかり合う。


 二人の力はほぼ互角と言っていい。一進一退の攻防を繰り広げながらお互いに急所を狙っている。しかし、バカンに押され気味でちょくちょく攻撃が霞めていく。そのせいで身体中に切り傷が出来て血がタラタラと垂れて来る。


 クソ!! 右手が痺れて上手く弾けないな…… これでは詰むのは時間の問題だぞ。一か八か賭けに出るしかないかもな… よし覚悟を決めるか!!


 「あははぁぁーー!!」


 ユウはバカンの顔面に向けて拳を叩き込もうとすると、バカンは勝ち誇った顔になる。


 「早まったな!! 貴様の首!! 貰ったぞ!! 」


 バカンはユウの拳を手で弾いてすぐに剣を振り降ろしてユウの首を刈ろうとするがバカンの顔が歪む。


 「グフォ…」


 バカンは血反吐を吐きながら顔を降ろして見るとユウの拳が鎧を破壊して腹部にめり込んでいる。


 よし!! 上手く下段突きを決められたぜ♪


 「まさか…あのパンチ……は……ヘェイク…だったの……か…」


 「そうだよ♪ そしてこれが最後の一撃だょん♪」


 ユウは腹部に拳を叩き込んだ後に、すぐにバカンの後ろを回り込んでいる。そして、バカンの後ろで囁く様に答える。



 飛鳥流派 スープレックス!!


 飛鳥流 スープレックスは相手の背後に回り込んで腰の辺りを組む。さらに、後方にブリッジする様に反って相手の頭を地面に突き刺さる様に投げ落とす技である。



 「ほっ…… 決まったな」


 ユウとバカンの30分余りの死闘に終止符が打たれる。スープレックスを食らったバカンはまるで、日本の某映画に出で来る有名なワンシーンの様に上半身が地面に刺さって下半身だけが出ている状態になっている。


 「終わったけど……生きてるか?」


 ユウは恐る恐るとバカンを強引に引き抜いて、バカンの安否を確認するために脈と呼吸を調べて見る。


 ドクン ドクン ドクン ドクン ドクン


 よし、ちゃんと脈を打ているし呼吸もしてるからよかったわ~~♪ しかし、最後の技はやり過ぎたな。 おっ、兵士達が駆け寄って来るな。そろそろ逃げますか!!



 ユウはバカンを放置して街とは反対方向に逃げる様に走り出す。

兵士達は追いかける素振りはなく、バカンを回収すると街の方に戻って行く。それを見てユウは走るのを止める。


 追手来ないな。さてクララどこに逃げたかな?おっ…あれかな?



 前方から一つの人影らしき影が此方に向かって来る。多分、あの人影はクララである。本来なら肉眼で見て人影と判断するのは難し距離である。距離にして7~8キロぐらい離れているが索敵スキルの範囲内だったためにすぐにクララの人影だとわかった。


 ユウは、その人影に向かって走り出す。5分ほど走るとクララの姿がはっきりと見えて来た。そして、クララの前に着くとクララが感心しながら話し掛けて来た。


 「お疲れ~ 良く生きてたね♪」


 「おい… 俺を見捨てやがって…酷いぞ……」


 「まあいいじゃないの♪」


 クララは気にするなと言っているかの様にポンと肩に手を置く。


 「まあ…逃がすつもりだったからいいけどさ、少しは心配しろよな」


 「ちゃんと心配してたわよ!! 心の中でね♪」


 クララはわざとらしく胸に当てて心配だったわと言わんばかりにアピールする。


 「もう……いいよ…… 早く目的地に行こう……」


 ユウはクララの態度に呆れながら話を変える。


 「そうね♪ 目的の街まで、あと一週間ぐらい掛かるからね」


 「げっえ…… 結構距離があるな。道中に街や村とかないの~?」


 「あるわけないでしょ。あったらそこで落ち合ってるわよ」


 「確かに」


 ユウはクララが言った事に納得しながら頷く。


 「クララ、目的の街はどんなところなの?」


 「奴隷の街  ダイジャスよ♪」


 「奴隷の街……ダイジャス!?」


 ユウは奴隷という単語を聞いて思わず反応してしまう。ユウの世界には奴隷制度はない。なので奴隷という単語を聞くと余りいいイメージが湧かない。少し不安になりながらもクララと一緒に奴隷の街、ダイジャスに向かって歩き出す。

 




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