第18話 領主の館
そろそろストックがなくなって来たので次の更新が遅れるかも知れません。すいません!!
ガタン ゴトン ガタン ゴトン ガタン ゴトン
馬車は規則正しく音を鳴らしながら領主の館に向かっている道中である。馬車の中は三人の人物が乗っている。一人は、この物語の主人公である、八神 優、そして、冒険者ギルドの受付嬢のお姉さんのクララとラックス騎士団長のバカンである。
三人は喋る事もなく静かに座っている。しかし、一人の人物が静寂を破る。
「おい。小僧、一人でティラノドラゴンを倒
したらしいな。しかし、今から謁見する領主様の前で余り調子に乗るじゃないぞ。もし、調子に乗ったらこの私がお前の首を跳ねてやるからな」
「えっ あっ ……はい。……わかりました。」
バカンは顔色を変える事もなくユウに向かって喋る。その瞳は冗談ではなく冷酷で殺意を持っている。
これジョークじゃないな。これはマジな目だ。おぅー。怖い怖い!!
「ユウさん、もう着きますよ。身だしなみは宜しいですか?」
「大丈夫……です『ヤバっ』」
受付嬢のお姉さん事、クララさんに身だしなみの事言われてチェックしてみると社会の窓が全開であった。ユウは、バレない様に然り気無くズボンのチャックを閉める。しかし、クララとバカン騎士団長は最初から気づいていた。なので然り気無く直しているのもバレバレだったのである。後でその話しを聞いた時は、恥ずかしくてぶっ倒れそうだった。
馬車に乗って15分くらいで領主の館に到着して館の門を抜ける。門を抜けると大きな広場があってそこに馬車が停まる。
「騎士団長様、領主様の館に到着しました」
馬車を運転していた従者がドアを開ける。最初にバカンが降りてユウ、クララと続いて降りる。降りてみると館が大きいだろと言わんばかりにドンと建っている。館は大きくて要塞の様な造りをしていて堅牢に見える。多分、辺境でランクの高いモンスターが出没するので館も自然と城壁の様に堅牢になったのであろう。
バカンの後に着いて行くと二人のメイドさんが館の前で待っている。一人はバカン騎士団長に着いて、もう一人はユウとクララに着いた。バカンとメイドさんはそのまま奥の廊下に入って行く。
「ようこそ、領主様の館にいらしゃいませ。領主様は謁見の支度をしていますので御部屋の方で御待ち下さい。 ご案内致します。」
メイドさんがスタスタと廊下の方に歩いて行くのでユウとクララも一緒に歩いて行く。廊下や玄関ホールに目が奪われる程の豪華で悪趣味な調度品が多く飾られている。一体いくらの金が使われているか見当もつかない。そんな事に目を奪われていると一つのドアの前で停まって入る様に案内される。やはり、このドアも豪華で少し悪趣味な装飾がされている。正直に言うとドアが自己主張しているせいで余りいい物とは思えない。
「申し訳ありません。 こちらで御待ち下さい。謁見の準備が出来ましたら。また、ご案内いたします」
「はい、お願いします」
メイドさんは深々と御辞儀をして部屋を出ていく。すると、受付嬢のお姉さん事のクララが部屋のドアを開けて廊下をキョロキョロと見回してからユウに話し掛けて来た。
「ユウさん、挨拶がまだでしたね。私は冒険者ギルドの職員のクララと申します。一応、年齢は同い年ですからね♪」
「えっ!!同い年何ですか?」
「だ・か・らお姉さんなんて呼ばないで下さいね!!」
ユウの顔に近づ来ながら強調して来る。どうやらかなり気にしているらしい。確かに、女子が同年代の男子から年上に見られるのは嫌ですよね。クララの場合は、老けているのではなく美人なので、本当は良いことなのであるが本人は凄く気にしている様だ。
「すいませんね。年上に見えたのでお姉さんだと思ってました。あははぁぁ(苦笑い) じゃあ、親しげにクララと呼べばいいですか?」
「えぇぇ。クララと呼んでね」
「じゃあ、俺の事もユウって呼んで」
「わかったわ。ユウ 」
クララは少し嬉しそうに顔が笑っている。ユウはクララの笑顔を見て少し顔が火照るのを感じる。やはり、女性の笑顔は可愛いものだ。ユウも男の子なのでこんな綺麗で可愛い女性と付き合ってみたいと思ってしまう。ユウは、一応彼女いない歴=年齢なのでやはり憧れてしまう。
これで、ユウとクララの恋人フラグが立つのだろか、それとも立たないのか、それは作者である私もまだ分からない。(笑)
「これから話しをする事を忘れないでちゃん聞いてね。もし、あのクソ領主が無理矢理に登用したり、無理難題を押し付けたり、脅迫して来た場合はラックスの街を一緒に脱出します。その時は、私の言う事を聞いてね。」
「ほーい でもマックスはどうするの?」
「マックスさんは別れて直ぐにラックスの街を出ています。ギルドが用意した移動手段で隣の領地に向かっています。そして、隣の領地にある街で落ち合う事になってるわ。ギルドマスターが言ってなかった?」
「いいや。初耳なんですけど」
「はぁぁ まったくあの人は……」
呆れたながらクララは溜め息をつく。
そんな事になっていたのね。マリアナさんは何にも言ってなかったけどな。多分、言い忘れただけだろうけどな。しかしこんな上司がいるクララはまったく大変ですね。
因みにマリアナさんは連絡するのを忘れていてユウがいなくなって気が付いたのだ。しかし、優秀な部下が着いているから大丈夫だろうと思ってマックスだけに話すのであった。
コンコン
扉をノックする音が聞こえた後に扉が開く。すると、先程のメイドが立っている。
「失礼します。御待たせいたしました。謁見の準備が出来ましたのでご案内いたします」
「お願いします」
ユウとクララは部屋を出てメイドさんの後に着いて行く。少し歩いたところで今までで大きな扉が現れる。両サイドにメイドさんがいて扉を開けてくれるとそこには大きな謁見の間が広がっている。
「おぉー 結構大きな広間だな」
『しっーー 今から謁見するのよ 静かにして』
『ほーい』
謁見の間に入る前に扉の近くにいた兵士が近寄って来る。
「謁見の前に荷物を預けて下さい。」
クララは手ぶらなのでユウに向かって言っている。なのでユウは背負っていたカバンを降ろして兵士に渡す。
「ありがとうございます。では先に御進み下さい。」
謁見の間に入ると兵士がずらりと並んでいる。そして、奥の方に進むと玉座の様な椅子にふんぞり返ってデブのオッサンが座ってる。
「良く来たな。冒険者よ。」
クララは領主の前に近づいて膝を付く。ユウはクララが膝を付くのを見て慌ててユウも膝を付く。
「今回のティラノドラゴン討伐は良くやった。小僧、名前は?」
「ありがとう………ございます。 俺は…… いや、私はユウと申します」
いつもの口調で喋ろうとしたらクララが隣で凄い剣幕で喋り方には気を付けろという目で睨んでいる。なので喋り方を慌てて丁寧な喋り方にする。
「ユウよ。今回は特別に褒美をやろう」
「ありがとうございます」
「喜ぶのだ。 褒美は特別にお前を私の部下にしてやる」
「………………………………」
はい? 今こいつなんて言った。俺の聞き間違いかなぁ? 特別に部下にしてやるって言っていた様な気がするけどな。その前にそれって褒美なのか?
ユウは困った顔でクララに助けを求める。当然、クララは呆れた顔になっていて、俺の助けを求める目を見て『こんな馬鹿馬鹿しい褒美なんて断れ』という合図を送る。
ですよね~~♪こんなアホみたいな事を言う奴の部下なんかになりたくないよね。じゃあ、さっさと断りますかね!!
「領主様、もし訳ありませんが今回の褒美は御受け取り出来ません。」
「何だと貴様!! 崇高なる私の褒美を受け取れないだと!!此奴を引っ捕らえろ」
領主のアホヤの一声でガチガチに装備をした兵士達がユウとクララを囲み込む。そして、鎧で覆われた騎士団長のバカンが前に現れる。
「貴様…… だから言っただろう…… 調子に乗るなと」
バカンは無表情な顔をしながら剣の柄に手を掛ける。その目には、殺意がランランと輝いている。
「御待ち下さい!! 領主様!! 冒険者ギルドとの協定に反して下ります。」
クララが領主のアホヤに向かって叫ぶ。
冒険者ギルドは国家権力、貴族、権力者から守る義務がある。そして、冒険者を守るために冒険者ギルドは各国との間に協定を結んでいる。なので今回、アホヤがやろうとしてる事は協定に反しているのである。因みに協定の中身は、強引なに勧誘したり、脅迫、証拠のない罪での拘束と処刑などがある。
「ふん!! そんな事知った事か!! それに、ギルド職員の貴様を殺せば真実は闇の中だ。バカンよ。先に小娘から殺せ!!絶対に逃がすな!!」
バカンはアホヤの『先に小娘から殺せ』と言う前から鞘から剣を抜いてクララに斬りかかろうとしている。
飛鳥流 白刃小手流し《あすかりゅう しらはこてながし》
キィン
カン高い音が謁見の間に響き渡る。ユウがクララとバカンの間に割り込んでバカンの一振りを小手で弾く。
飛鳥流の防御する技の一つで、小手で上手く剣の腹を弾く事によって防御するのである。
「ほう。変わった技を使うな。流石、ティラノドラゴンを相手にするだけな。」
バカンは顔色を変えずに驚いている様だ。
「どうも」
バカンは弾かれた後、すぐに後ろに飛び退いて距離を取って様子を見ている。
「クララ、これからどうする?」
「どうするも何も逃げるわよ。出来るだけ穏便ね」
クララはユウの動きに驚きながらも逃げる構えをしている。
「よし、ならさっさと逃げますか!!」
ユウは後ろに振り返ってクララをお姫様抱っこする。
「ちょと何するのよ!!」
「逃げるんだよ。クララ、少し我慢しろ」
ユウは逃げようとすると後ろからバカンの剣が牙を剥く。
飛鳥流 白刃脚流し《あすかりゅう しらはあしながし》
「ほっ ほっ ほっ ほっ ほっ」
ユウはクララをお姫様抱っこしながら器用にバカンの剣を次々と脚で受け流していく。そして、隙を見てバカンに強烈な蹴り叩き込でバカンを吹っ飛ばす。そして、吹っ飛ばせれた余波で兵士達も巻き込まれて吹っ飛ばされる。
「………………」
吹っ飛ばされてバカン顔は色を変えていないで立ち上がる。バカンの鎧を見るとユウの蹴りの痕がくっきり残って陥没している。鎧が陥没するぐらいダメージを与えた筈なのに何ともない姿を見てユウは違和感を感じて疑問を感じるが、ぶっ飛ばしたお陰でバカンとの距離が出来たので逃げる事に頭を切り替える。
「よし逃げるか!!」
ユウは振り返って入って来た扉に向かって走り出す。そして、兵士達を蹴散らしながら突破して扉を蹴破る。そして、扉の横のテーブルに置いてあったユウのカバンをクララに取って貰って、すぐに廊下を疾走して駆け抜ける。
「キャャ~~~~~~」
余りの速さにクララの悲鳴を上げる。その悲鳴は館全体に響き渡るぐらい大きさであった。一瞬で100キロ近いスピードで走ったのでクララはちょとした恐怖体験だった。
お陰ですぐに館を出ることに成功する。そして、ユウは門番達を飛び越えて城壁の方に走り出す。門番達は唖然と見送る事しか出来なかった。謁見の間にいた兵士達とバカンが来る頃には、ユウとクララの姿は見えなくなっていた。それを知ったアホヤは激怒するのであった。




