第12話 俺、やり過ぎた……?
「 お疲れ様です。クエスト完了の手続きの場合の方は、ギルドカードの提示をお願いします」
ギルドカードは、身分証明以外にも、クエストの伝票の役割も果たしている。それ以外にも、所有者の情報が載っていたり、ギルドが運営している銀行の預金通帳などの機能がある。
「 はい。 どうぞ 」
「 ありがとうございます 」
受付のギルド職員が、ギルドカードを受け取って魔法道具の上に置く。すると、クエスト内容が浮かび上がって来る。
「 今回のクエストは、レッドウルフの討伐ですね。 討伐部位の魔石を提出して下さい」
ユウは、意気揚々と50体分のレッドウルフの魔石を取り出して、ギルド職員の前に置く。
「 えぇ~~~~!! 」
ギルド職員は、大量の魔石を見てビックリした様で奇声を出しながら、目玉が飛び出す勢いでギルドカードと大量の魔石をを見返す。そして、引きつりながらユウに質問をする。
「あの~~、お一人で倒されたのですか?」
ヤベ!! この反応はやり過ぎちゃたかなぁ。
やり過ぎたと思った時には、後の祭りである。仕方ないので、何ともなかった様な態度を貫くしかない。こっちが動揺したら色々と疑われそうである。
ここは、無理やり突き通せば何とかなるだろ。
「えぇ。 一人で倒しましたが何か問題でも? 」
少し威圧的な態度を演じる。それは、俳優になれるぐらいの演技力で何事もなかった様に振る舞をみせる。しかし、実際は、心臓がバクバクと鼓動を上げながら動揺している。
「 すいません。問題ないです!! …………問題はないですけど、倒した量が多いので気になりまして……。 その…… レッドウルフ以外にゴブリンナイトも一緒に倒していませんか? 」
慌てて頭をカウンターに着けるぐらい謝る。そして、ギルド職員は途中で何かを思い出した様で恐る恐る質問して来る。
何故、恐る恐る質問したかというと、レッドウルフとゴブリンナイトの討伐クエストが、さっき交付されたのである。それも、数が合計100体の集団である。普通に考えれば、このランクでソロで倒すのはまずありえない。この数のレッドウルフだけでも、D+ランクの冒険者では生きては来れない。それに、ゴブリンナイトがいると冒険者ランクC+程度でも、まず生きては帰れないレベルである。その前に今回の討伐クエストは、討伐隊を組織して受ける形である。なので、一人で倒せるレベルではないので恐る恐る質問するのは当り前なのである。
「 一緒にいましたよ。 これが、ゴブリンナイトの魔石です 」
ゴブリンナイトの魔石が入った袋を前に出す。50体分なので袋は、パンパンになっている。それを見たギルドの職員は、言葉を失って後ろにひっくり返る。
「 おい!! 大丈夫か!! 」
ギルド職員は、急いで立ち上がり信じられないといった表情をしながら、袋の中身を確認しながら個数を数えている。
「 えぇ……… 大丈夫じゃあないです…… 少々お待ちください…… 」
職員は、フラフラと席を立って、奥に座っている眼鏡の上司のもとに歩き出す。上司に相談している様で2分くらい話し込んでから上司が歩いて来る。
「お待たせいたしました。 私は、受付業務の責任者のものです。」
と言いながら眼鏡の位置を左手で直す。
そして、
「 失礼ながら、こちらの討伐部位は、お一人で倒したのですか? 」
眼鏡の位置を直しながら鋭く睨んで来る。やはり、業務の責任者だけあって風格があり冷静の様だ。
しかし、さっきから眼鏡の位置を直しているのを見て、ユウは『直し過ぎだろう』とツッコミを入れたくなる。
「 えぇ。 私が倒しましが何か問題でもあるのてすか? 」
「 いいえ。 問題はありませんが、一応、確認です……… 」
「 そうですか……… 」
二人の間に長い沈黙の様な間が流れる。そして、眼鏡を直してから喋り始める。
「 ………先ほど、交付されたレッドウルフとゴブリンナイトの討伐隊のクエストがあるですよ。今回、貴方が倒して来た。ゴブリンナイトとレッドウルフが対象だったみたいなので、ギルドの方で両方の魔石を検査して、問題がなければ報酬が支払われると思います。こちらの用紙にサインをお願いします」
また、眼鏡の位置を直しながら用紙を渡す。
「 えぇ……… わかりました」
ユウは、渡らされた用紙の内容をちゃんと確認して問題がないのでサインをする。
「ありがとうございます。 また、御呼びしますのであちらのベンチの方でお待ちください」
ユウは、窓口の近くのベンチに腰を降ろして待つことにする。
すると、後ろのパーティ組から、話し声が聴こえて来る。
『おい。昨日の野郎が大量の魔石を持って来たみたいだ。 しかも、レッドウルフ 50体、ゴブリンナイト 50体の集団を倒して来たらしい』
『おいおぃ。それって、討伐隊を編成して討伐対象の魔物と魔獣だろ 』
『冗談だろ。あいつ、多分ソロだぜ。ソロで倒せる量じゃないだろ。 何かズルしたんだろなぁ 』
『どこかのパーティから盗んだか横取りしたんだゎ。 絶対!! 』
冒険者達は、ユウに聞こえない様に、小声で話しているがバッチリ聞こえる。そんな事も知らずに悪い噂をしている。
『話すなら本人が聞こえない様に話して欲しいよ~~』
とボヤキながら呼ばれるのを待つ。しかし、なかなか呼ばれない。その間に、冒険者が増えて来て、さっきの噂が広がって大きくなっている。ユウは、早く呼ばれますようにと、願いながら辛い時間を過ごした。因みに、ギルドの職員に呼ばれたのは、ベンチに座ってから1時間後だった。
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