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‐ネット恋愛‐  作者: 琥珀
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友達の青春2

放課後、私の毎日のサイクルが珍しく崩れた。

つまらない、と思っていたから大歓迎だけど。

私は遥香に連れられて街の中心部に来ていた。

ここは雑誌の特集に取り上げられるほどには人が集まって賑わう、大きな街だった。

少なからず芸能人もいるらしい。

そんな人がたくさんいる場所で私達が何をするのかというと、

いわゆる『オフ会』というものらしい。

オフ会とは、ネットやSNSで知り合った人と会ってお茶したり、遊んだりするものなんだとか。

今日の朝、私が「会ったことあるの?」と聞いたことに遥香は少し苦心を覚えたようだった。

付き合う上で、会ったことがないというのは少々コンプレックスになってくるんだろう。

だから今日連絡を取って、会おうと思った。

そこまではいい。

…私いらなくない?

「あ、着いたよ佳奈ー」

待ち合わせの、片隅にあるこぢんまりした小さなカフェに着いていた。

昭和を漂わせる雰囲気で、独特のオーラを放っていた。

「ねぇ、遥香…」

「なにー?」

無邪気に答える。

「なんで私がついてこなきゃいけなかったの?付き合ってるんだったら私必要ないんじゃ、」

と言いかけたら遥香は突然不安そうな顔をした。

「付き合ってるって言っても、まだ完全に信用できてるわけじゃなくて…」

「信用?」

「うん。やっぱりゲームで知り合った人だから、相手の顔は見えないし、もし騙されてたとしたら…怖いし」

なるほど。

「そっか、彼氏さんには私のこと言ってあるの?」

「うん、いってる。」

それはよかった。

だって知らずに女の子2人いたら『コイツ誰』ってなるじゃん!!なんか場違いじゃん!!

「あー、」

遥香が思い出したように口を開いた。

「どうしたの?」

「さすがに男女1:2はキツイらしいから、向こうも男子ひとり誘ってくるって。」

まじですか。

なんか合コンみたいになるのでは?

いや、2:2って合コンにならないのか。

なるの?合コンって何人からよ。

とりあえず私と遥香2人一行はその昭和漂うカフェに入って待つことにした。


カフェは中に入ると、外の昭和漂う雰囲気とは違って内装はロマンチックで素敵だった。

私達は1番奥の席に通してもらい、遥香はずっと緊張して入口のすぐ近くにある給水に水をつぎに行ったり来たりだった。

よほど緊張しているんだろう。

好きな人に初めて会うんだから。

ちなみに遥香の相手の人は、同い年で同じ県に住んでいるらしい。

今まで会える距離にいながら、それでも会わなかったのはやはりすこし怖かったからだろう。

遥香はわくわくしているようで、それでいて少し肩が震えていた。

「遥香、大丈夫だよきっと」

そう声をかけると、ちょっとは安心したようで、

「ありがと、佳奈」

と微笑んだ。


カランカラン

店のベルが爽やかに鳴る度に遥香がびくびくしている。

「この人でもない…」

私達は待ち合わせより大分早く来ていたので、結構な時間遥香の彼氏を待っていた。

その間、

「ほ…ほんとに来るかなぁ?…」

「怖い人だったらどうしよ…」

「約束忘れられてるかも…?」

と遥香はどんどん不安になっていっているようだった。

そのとき、

カランカラン!

制服の男子二人がベルの音と共に登場した。

店員と少し話し、軽く礼をしてこっちに向かってきた。

「オフ会…ここであってるよね?」

制服の男子の一人が優しい声で話した。

遥香は戸惑い気味に、

「うん…!合ってるよ!」

と言った。

「どうも、初めまして。」

私は軽く会釈をした。

「初めまして」

制服の男子二人は優しく笑った。


制服から察するに…

この辺では結構有名な高校だった。

白のカッターシャツに清々しい藍色のブレザー。

一人はブレザーのボタンをキッチリ閉めて、いかにも「できる男」という感じだった。

もう一人はブレザーを少しゆるく着こなし、チャラいわけではないけど「今風」な男子だった。

遥香の彼氏は「できる男」のほうらしかった。

将来いいお父さんになりそうな人だなぁ。

ゲームをするような人には見えないけど。


私達四人は最初はちょっと話すのに躊躇っていたものの、時間が経つに連れて緊張もほぐれ、普通に話すようになっていた。

できる男、遥香の彼氏の名前は平野亮太。

今風の男子、主に私が平野くんと遥香に気を遣ってよく話していたこの男子は風間祐也と名乗った。

「気軽に祐也って呼んでいいよ」って言われたけど断った。

だって名前呼びってカレカノになってからしたいっていう理想。

だからって風間くんと付き合うような展開にもならない。

一方遥香&平野くんはかなり打ち解けたようで、次に2人で会う約束も立てていた。

…まぁ、めでたし?


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