天使モモタロウの降臨
地上に堕ちたモモタロウをのせたそれは、その時代の地上にあったどんな兵器よりも強大な破壊力で山を一つ消し飛ばした。
すると、山があった場所には川が流れ込み、湖ができた。
やがて、湖はあふれて新たに川を作った。しかし、モモタロウをのせたそれは山を吹き飛ばした際に土にめり込み、埋まったままであった。その状態が100年ほど続き、新たにできた川の周りには人が住むようになり集落ができた。
そして、人以外にも悪魔や堕天使が集落から5里(約20km)離れたところにある湾にうかぶ島に住み着くようになった。人々は、その島に住む悪魔や堕天使を「鬼」と呼び、その島を「鬼ヶ島」と呼んだ。
そんなある日、突然大きな揺れがあたりを襲った。水は溢れ、地面は割れた。それをきっかけにモモタロウをのせたそれは数百年ぶりに太陽の光のあたる場所に姿を現せた。それは湖から川を下っていった。
それはやがて集落へと達した。
それを見つけたのは老婆だった。老婆はたいそう驚いた様子でそれを、拾い上げた。そしてそれを家へと持って帰ると夫の帰りを待った。老婆の夫である老父が帰ってくると、桃にしかみえないそれを包丁で切ろうとした。
しかし、それは天界でも最上級の力を持つPeachであったため、傷一つつけることはできなかった。そこで老父は家宝である日本刀を持ってきてそれにむかって振りかぶった。その日本刀には職人の魂が込められていて、振りかぶった動作にも迷いはなく、強大な力を持つPeachを2つに切り分ける事ができた。そして老父が切り分けたそれを開けると、なかには100年もの間封印されていたにも関わらず赤ん坊の姿をしたモモタロウがいた。
しかし、それはもはやpeachに封印されていた「モモタロウ」ではなく、桃から生まれた「桃太郎」の誕生であった。