優等生
「また一位はあいつかよ。」
「すごいよな、秋南さんって。」
みんなが私のことを話している。今日は、中間テストの順番が貼り出される日だ。
私たちの学年のところを見ると、
「一学年 第一位 秋南萌」
と書かれていた。
私は、なぜか人より勉強ができてしまう。
正確に言うと、勉強しかできない。
もし、私が勉強さえもできていなかったら、私はいじめられていただろう。
チビでブスでデブで、おまけに馬鹿で。何のとりえもないただ一人の生徒だったら。
私は、こんなことでしか自分を保っていられないのだから。いい点数を取って、大人たちにほめられることでしか
自分の価値を見つけられない。小さい小さい、一人の子供。
ある日、学校にやってきて突然声をかけられた。
「秋南萌。」
私はすぐに振りかえった。テスト前と後ぐらいにしか声をかけられたことがなかった。
そんな私に、声をかけてくるとは。不思議な人もいるもんだ。
「何?」
「俺、絶対次お前抜くから。」
そう言うと彼は、足早に去っていった。
彼は、安藤慶吾。テストでは、万年二位。彼も、私をライバル視していたのか。
少しあきれて、彼が去っていった場所を見る。
私には、よくこういうことがある。
いきなり出てきて、勝負を挑まれる。
私は、別に勝っても負けても関係ないから本気を出さずにいて挑んできた人たちに負けてしまう。
そうすると、相手に逆切れされてしまう。
最後には、呆れられてしまう。
「失望したよ。」
何度この言葉を聞いたことか。
私に言わせれば、「お前ら勝ちたかったんじゃないの?良かったじゃん、勝てたんだから。」
と、去っていった人たちを見て呆れてしまう。
安藤も、同じタイプだろう。
期末テスト、結果発表当日。
「マジでですか。」
「あの、秋南さんが。」
そう、私は負けてしまった。
今回は手を抜いたわけではなく、いつも以上に勉強をした。
そしたら、この結果だ。
「第二十五位 秋南萌」
最悪だ。勉強しかとりえがない私が、手を抜かずこんな順位を取ってしまうなんて。
「よう。秋南萌」
安藤が近寄ってくる。
私は、いきなり顔が真っ赤になっていく。
恥ずかしい。期待してもらったのに、こんな順位しか取れなくて。
「ゴメン、安藤。」
私は、逃げ出した。誰もいない安心できる場所へ。
「おい、秋南。」
安藤が追いかけてくる。
「何で、追いかけてくるのよ。」
「お前が、いきなり逃げるからだよ。それに・・・。」
安藤が、言いよどんだ。
安藤がモゴモゴ言っている間、私は、図書室へとたどり着いた。ここは静かでいい。一人が好きな私にとっては。
「オイ、秋南何やってるんだよ。」
「だって、私には勉強しかないのに・・・。」
「はぁ?何言ってるの?」
「だって私には勉強しかないのに、勉強でも負けたら私はどうすればいいの?」
安藤が、ため息をついた。
「そんなわけないだろう?秋南には、秋南の良いところがあるし、自分で気付かないだけだし。」
「そんなわけ・・・。」
「あるんだよ。だから、俺は勝負という口実を作って秋南に話しかけたんじゃないか。」
「は?何言ってるの??」
「だから・・・。お前が、好きだって言ってるだろう!」
安藤が、扉を開けてすぐ近くに立つ。
「私好きだとか言う感情持ったことがないから、すぐ安藤のことそうゆう風に見えない。」
「そっか・・・。」
「でも、もう少し時間をください。」
「え?」
「だから、時間さえあれば安藤のこともっと知れるし、そうすれば私が安藤のこと好きかどうかも分かるし。」
「つまり・・・?」
「考えときます。」
「分かった。じゃ、いつかまたちゃんと告白します。」
「うん。お願いします。」
私と、安藤の友達以上恋人未満の関係は続く。
読んでいただきありがとうございます。
これは、いつもテストの点を聞いてくるある男子がもしこういう感情を持っていたら面白いなぁと、思い書いてみました。評価や、感想を待っています。




