婚約破棄!か〜ら〜の〜
婚約破棄
婚約破棄
婚約破棄
新聞や歴史書を見渡せば、度々見出しに上がる『婚約破棄』の四文字。全く、この世界の倫理観は一体どうなっているのでしょうかね?
しかし、わたくしことケイトが婚約破棄される恐れは皆無と思って頂いて構いません。
何故ならわたくし達の婚約は王命により決定したもので、婚約者は聡明なザーキ・アンタッチ王子で、二人の仲も非常に良好なのですから。
理由はそれだけではありません。
言っちゃあなんですが、わたくしは王族の婚約者に選ばれるくらいなので、成績は良いし友達だって多い。鏡を見る限り顔だってそんなに悪くないし、実家だって太いのです。
胸はまあ同級生達より若干細いですが、そこはほら、スレンダー乳とか慎まし乳とか、もしくは発展途上勇者ターロ・ヤマシタ乳とか評し方は色々ありますから……
それにザーキ様は「みんな違ってみんないい」と言ってくれる方です。恥ずかしくてきいたことはないけれど、きっと、たぶん、おそらく、絶対。
そして、本日の卒業式の少し後にわたくし達は入籍する事になっています。ここから逆転負けする要素があれば教えて欲しいくらいですね。
「ケイト・チャブル伯爵令嬢、君との婚約を破棄する!」
なんでやねん!
当然ながら、パーティー会場もざわめきます。
一体どういう事かと、殿下の一番の側近であるクルウ様を見ました。彼はお調子者だけど剣の達人で、抑えるべきところはきちんと押さえている方です。
ニヤニヤしていました。
こやつめ……昔、ギャクを外して空気が死んだときに、わたくしが「か〜ら〜の〜」って言って挽回のチャンスをあげた恩を忘れたのかしら。
「あの、どういう事でしょうか?わたくしたちの婚約は、国王陛下の命により決まったものと言う認識でしたが」
「まさにそこだよ!私も最近まで特に不平不満はなかったのだが、モモーチに言われて目が覚めたんだ。」
よく見ると、殿下の横には笑みを浮かべるピンク髪ツインテールの男爵令嬢がいました。
彼女は少しばかり勉強が苦手な同級生です。
昔、絶望した表情で「進級できないかも〜!」とか泣きごとを言っていたので「かーらーのー」とか言って励まして、少しだけ勉強を教えた事があります。
でも、ユニークな視点を沢山持っていて、殿下もそこは褒めていましたね。あと彼女、胸が豊かで顔もいいです。
え、もしかしてザーキ様、彼女に惚れちゃったってことですか?!
「殿下……陛下もこの件はご存知なのでしょうか。」
自分よりもむしろ相手の事が心配になってしまいました。
だって、わたくし達の婚約って王命ですよ?
歌劇とかだとこの後「真実の愛が」とか言い出して、でも国王様にはノーアポでめちゃくちゃ怒られちゃうパターンを100回は見た気がします。
「勿論だ。真実の愛を貫くために必要だと熱弁して父上にも許可を貰った。君の両親にもだ。」
ほんまかいな!?
半信半疑で陛下の方を見ると、憮然とした表情で首肯されました。王家のメンツを潰されて不服だけど、まあ仕方ないから認めたというニュアンスを感じます。
え、そんなの、よっぽど婚約者の評判が悪かったりしない限り認められない思うんですけど……次期王妃として上手く立ち回っていると思っていたのって、実はわたくしだけでした?
やらかした心あたりがないんですが、もしかしたら時々フォローのつもりで「かーらーの」とか言ってたのが、実は陰でウザ絡み扱いされてたんですかね?……凹みます。
「と言うわけで、ここに婚約破棄が成立した」
「……はい……承知、しました。」
やばい、ショックと羞恥でちょっと泣きそう。
ここで誰かが「かーらーのー」とか言って、全部上手いことひっくり返ったりしないかな。
ついつい、そんな現実逃避的な事を考えてしまいます。
「「かーらーのー!」」
「だから私は、改めて君に結婚を申し込む!」
「へっ?」
訳がわかりません。
「あの、どういう事でしょうか?」
「昔モモーチに『殿下は王命だから仕方なく結婚するのですか?』と言われてハッとしたんだよ。決められた婚約ではなく、自分の意思でケイトと結婚したいってね」
モモーチさんの方を見ると笑顔でサムズアップしていました……事前に伝えて下されば良かったのに。
「それでクルウに相談してみたら、『どうせならサプライズにしましょう、一生の思い出にも、後輩達の土産話にもなるように』って言われてね」
クルウ様の方をみると、いつの間にか『サプライズ大成功』って看板を掲げていました。
……してやられました。
「愛しのケイト……二人で幸せになろう」
殿下はわたくしを抱きしめ、肩に顎をのせて囁いてきました。
悪い気はしませんが、やられっぱなしは少しばかり癪ですね……よし。
「なるほど、お断りします」
「なんで?!」
「だって、将来3人になりますもの」
わたくしの発展途上勇者ターロ・ヤマシタ乳。
それを成長させるのは殿下、貴方ですよ。
なんちゃって。
一瞬ポカンとしてから、紅潮した顔に喜色を浮かべるザーキ殿下。
少しはサプライズ返しができたでしょうか。
ザキヤマさんの英会話コントが好き
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