11月6日 『近くにいる』
「ねー昨日出たんだって。」
何が?
「河童よ、河童!公園の裏庭に大きな池があるでしょ?すぐそこの公園。あそこに出たんだって。緑色の体をした大きな大きな影が!」
へー。
「何よ、つれない反応して」
「ねえ聞いて!今度はほんと!絶対に見たんだから!お風呂場に潜む謎の影!あれは絶対アカナメって言う妖怪よ!」
へー。
「ねえ、ちゃんと聞いてる?あなた昨日お風呂掃除サボったでしょ?それできっと来ちゃったんでしょうね。たまには良いけど、掃除当番は忘れないようにね!」
はいはい。
「ねぇねぇ、最近つまんなくない?」
そうかなぁ。
「うん。何もおかしいことが起こらないんだもの。」
それが普通でしょ。
「でもさあ。」
じゃあさ、君は一体どんな日常だったら楽しいって思うわけ?
「そうね。そりゃ不思議な妖怪さんがいっぱい出てきてくれたら面白いと思うけど。」
妖怪、妖怪ってさぁ。その妖怪は君が思う心優しい妖怪ばっかりじゃないと思うよ。
「それってどういう意味?」
人を化かすことが得意だったり、誰かを黄泉に誘ったりする妖怪も、たくさんいるんだよね。
「えー?でも見たことないでしょ。」
うん、見た事は無い。でも案外近くにいたりするかもよ。
「なんで急にそんなこと言うの?私の事驚かそうと思ってるんでしょう。騙されないんだからね!」
君がそう思うならそれでいいよ。さて、今日はどこの家にお茶しに行こうかなぁ。




