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10月28日 『君のいる世界』
ここで君の手を離したら、君はどんな顔をするだろう。そんなことを考えながら、ショッピングモールの窓ガラスに写る自分を覗き込んだ。君は悲しむだろうか。それとも、何も思わず前を向いたままだろうか。
君はいつも遠くを見ている。どこか遠く、僕よりもっとはるか先を見ながら話をしている。何を見ているのか聞いたことがあるけれど、意味がわからないとはぐらかされた。
君は僕に内緒で知らない世界を見ていることを、大したことではないと思っている。もしもその隣に僕がいなくても、平気なフリをする準備をしているくせに。そんなことを言うと君はとても怒るけど、僕にはそんなふうに見えるんだ。
君は僕の知らない、どこか遠くを知っている。そこに僕はもう、いないことも。




