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8月27日 『線香花火』
「線香花火の火種が最後まで落ちずに残っていたら、願い事が叶うんだって」
そんなジンクスをどこかで聞いた。願えば願うほどに、花火を握る右手に力がこもる。だいたいは途中でぷつんと切れて、願いの星は暗闇に消えて行った。
その時どんな願い事をしていたのかも覚えてなんかいないんだ。けれど、確かにあの頃の僕にとっては、本気で悩み恋焦がれていた夢であったはずなんだ。
今日も今日とて僕は線香花火を片手に願い事を唱えていた。この火種が落ちようと落ちまいと、僕の夢は変わらない。なのに心の片隅で、必死になって願掛けをする僕がいるのに気が付いた。
些細なジンクスにさえ縋りつく僕を、どうか赦してはくれないか。誰にじゃないさ。未来の僕にね。
さて、また火種が落ちたな。続きでも書くか。