10月15日 『空駆ける猫』
「本当だ、見たんだ!猫が空を飛んでいた!嘘じゃないよ!この目で見たんだ!」
「どうせ高いところを飛び移っていただけでしょ」
「違うよ。壁なんかなかった。まるで空中を飛んでいるかのように、一匹の猫が走り抜けていったんだ!」
「何それ?ネコバス?」
「見た目は普通の猫だった。黒と白のハチワレ猫で、最初は空中に留まって顔を洗っていたんだ。あそこ何かあったっけ?と思って僕が見上げてたら、僕に気づいた途端走り出したんだよ!何もないはずの空中を!」
「見えないガラスがあったとか?」
「道端に?ある訳ないよ。だっていつも雨は降って来ているもの」
「じゃあ見えないロープみたいなのは?」
「そんなものあるかなあ?でもロープの上を走っているって感じでもなかった。地面を走っているかのように、軽やかに前足を出すんだよ」
「それで、その猫はどこに行ったの?」
「階段を上るように、高く高く上がっていって。そのまま見えなくなっちゃった」
「宇宙人じゃない?宇宙猫」
「宇宙に猫っているの?」
「分からない。宇宙人じゃないから」
「でも本当なんだよ。信じてもらえないかもしれないけれど」
「そうだね。でも見えない方がいいこともあるから」
「それってどういうこと?」
「世の中には、知られてはいけないこともあるってことよ」
「意味深だな。詳しく教えてよ」
「内緒。じゃ、また見つけたら教えてね。空駆ける猫ちゃん。今度は見つからないように注意しとかないとね」




