10月12日 『夢を諦めた僕へ』
僕は大きくなったら野球選手になるんだ!
私、ケーキ屋さんになるの。
俺はスーパーヒーローになるんだぜ!
幼少期は可愛いなと微笑ましく聞かれる夢。中学生になると笑顔で応援してくれていた親が突然手のひらを返し、「そういうのは才能がある選ばれた人だけがなれるんだよ」「今の時代難しいよ」「お金にならないよ」「夢の見過ぎだよ」「なれる訳ないよ」と夢を突き放すような言葉を吐き始める。それでもなるんだからと自分の道を突き進んだ人はここにはいないだろう。それとも突き進んだものの、途中で「やっぱり無理だった」と引き返してしまった人か。
ならばなぜ最初になろうと思ったのか。大きなスタジアムでホームランを打つ自分が想像できたからではないか。ケーキを作る自分、誰かに手を差し伸べる自分。それはもう鮮明に思い浮かべただろう。なぜならその未来があることを、あなたは知っていたからだ。そうなれることを知っていた。けれど誰かの言葉でそれを疑ってしまっただけだ。出来ないのなら最初から想像したりはしない。
かくいう僕も幾度となく夢をへし折られた記憶がある。未だにやりたかったのになと思い返すことがあるのだが、諦めてしまった原因はいつも親のせいだと決めつけていた。後押ししてくれる親じゃなかったから。けれど最終的にこの道を選んだのは自分なのだからと、自分に言い訳をし続けた。親の引いたレールの上を歩き、気がつくと自分を見失い自信も失った。
今ふと立ち止まり振り返ると、気がつくことがある。何故こんなにも過去の自分の夢にいつまでも縋り付いているのだろうか、と。今でもなおその夢が忘れられないのは何故か。それは、まだ僕が自分のことを信じているからなのだと気がついた。僕はまだ、自分のことを諦めてはいなかった。まだ出来ると思っていたから、だからその夢をいまだに思い出して過去を悔やみ続けているのだ。僕は何一つ自分が決めたことをして来なかったし、自分を蔑ろにしていたと思っていたが、そうじゃなかった。
僕は今も、僕の夢を信じている。その先の未来を、僕は知っているから。
今頃になってしまったが、あの時夢を諦め涙を飲んだ君を迎えに行くよ。僕には揺るぎない自信がある。例えどれほど辛い道のりになろうとも、僕を信じ続けてくれた僕が一緒にいてくれる。きっと大丈夫。今度こそは、きっとね。




