10月10日 『夜分遅く失礼いたします』
「もしもーし、こんばんはー。どなたかいらっしゃいますかー?どれだけ呼びかけても誰も返事してくれないんだもの。誰もいないのかと思ったわ。
こんにちは、私は旅人です。絵を描きながら旅をしています。僕の作品はあなたの元へ届いているでしょうか。え、知らない?ならばどうぞ知ってください。ここで出会ったのも何かの縁。私の作品を見ていってください。
私は多くの人に幸せになってほしいと思っています。そういうと善人ぶっていると言われますが、まあ善人のつもりでいるので否定はしません。もちろん世界平和まで声を上げて言っていきますが、まずは1人ぽっちで泣いている、あなたを助けてあげたいのです。私はあなたに毎日食事を与えることも出来ないし、一緒に逃げようと手を引くことも出来ません。ただあなたが私の作品に触れて、その目で見て感じて、息をしている。それだけで十分に嬉しいのです。だって私の作品に触れている間は、あなたは確実に生きているのだから。
生きていてほしい。私の願いはたったそれだけ。そして願わくば、もっと長く息をして、あなたの世界が虹色に光り輝きますように。私はあなたを応援しています。
……え?応援して欲しかったんじゃないのかって?そりゃあもう、していただきたいですよ。だって私の作品が世界中に広まれば、もっと多くの人が救われるかもしれないじゃないですか。あなたみたいにね。
どこからその自信が湧いて来るのか、ですって?これは難題だ。だって私は、その世界があることを、既に知っているのだから。」




