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4月7日 『かつての楽園』
僕らは海から来た。
地上へと上がり知らない土地に出会った。
あまりにも美しいその姿に魅了され
僕らはそこで暮らすことに決めた。
そこはまさに、楽園のようだった。
海の底は暗い。
けれどここは草木が芽吹き
温かな日差しが僕らをどこまでも照らす。
だが何処にでも天敵はいるもので
僕らは生きていくために
相手との強さをはかるようになった。
そしてそれは、同じ人間へと広がっていく。
血生臭さの残る地面は
海のように流れゆくことはない。
美しい大地が汚れる前に
僕らは海に帰ることに決めた。
これ以上楽園が汚れていくのを
僕は見たくはない。




