203/233
3月12日 『過去生』
白い米を見ていると、なんだかとてつもなく寂しくなることがある。
若かりし頃の僕は白米が好きではなく、あまり食べようともしなかった。
望めばある。だから人は見向きもしないのだ。
大人になって米を手に入れることの大変さを知ると、
米がない不安にいたたまれなくなる。
そして冷めてカチカチに固まったご飯を噛みしめながら思うのだ。
この一粒、一粒が、どれほど愛おしいと思ったことか。
床に落ちた米粒でさえ、どうしても手放すことに罪悪感を抱く。
そこでふと思いついたのだが
僕はどうやら過去生に
米の食えない飢餓時代を味わっているらしい。
飛行機の音が怖い。
自分の魂のことなどに
あまり詮索はいれたくはないが
空から降る火種が震えるほどに恐ろしい。




