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11月29日 『音』
僕の世界では、言葉を発しない。頭の中で想像したことを、相手の頭の中に直接たたきこむことができるのだ。けれど、この星はそうじゃないわざわざ口で言葉を喋ってその音を相手に届けなければ、言葉というのは通じないそうだ。
この世界で音は無数に広がっている。音が発せられてから自分の耳に届くまでは0.1秒単位でズレが生じている。自分生きている今よりも、過去に告げられた言葉だ。それが届くまでの間、わずかの時間のズレの中で、君は何を考えていたんだろう。
君の声が届いた。その君の声が告げた言葉は数秒後の僕の顔色を豹変させる。
そのわずかな時間のズレの中で、この世界の人間は同じ空間を生きている。ズレているのに笑っている。不思議な世界だ。けれどこのズレさえも楽しみながら生きていく。さあ、相手はどんな顔をするだろう。
その星って面白い。




