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第216話 試写会4

「二宮さん、なぜここに?」

このパーティは試写会とは異なり、関係者や招待された者だけが参加できる。

景隆の認識ではメディア関係者はいないはずだった。


「メトロ放送がこの映画の放映権を取得しました。映画の舞台裏などを紹介する番組が検討されているため、関係者にお話を伺っております」

「なるほど、そうなんですね」


業界に疎い景隆は頷くしかなかった。

彼女が言う番組が実現すれば、映画のプロモーションに大きく寄与するため、悪い話ではないだろう。

ざっと見渡したところ、カメラは入っておらず、最低限の配慮はされているようだ。


「石動さんには映画のこと以外にも、例の番組の件でお話をさせていただきたいと思いまして、少しお時間をいただけないでしょうか?」

(うぐっ……)


二宮は多くのファンを虜にするような懇願するような表情を見せた。

景隆と同年代の男性で、この状況で断れる者などいないだろう――それほどの破壊力があった。


例の番組とは、現在企画が進行している『メトロ放送買収劇の裏側』というタイトルの番組だ。

買収騒動で一気に騒がれたものの、翔動の世間に対する知名度はわずかであり、何をやっている企業なのかはほとんど知られていない。

したがって、景隆は番組の出演を承諾したが、会社の事情と個人の感情は別物だ。


「はい、まだご挨拶できていない方がいるため、多くの時間は取れませんが」

「ありがとうございます! それで構いません!」


二宮の笑顔が眩しすぎて直視できないほどであった。


***


(ふぅ、二宮さんが相手なら、やりやすいかもしれないな)


二宮との話を終え、景隆は一息つくことができた。

ここ最近の景隆はマスコミ関係者の不躾な質問に辟易していた。

そのため、景隆は二宮に対しても警戒心を抱いていたが、実際に話してみると人当たりがよく、話を引き出すのが非常に上手な人物だとわかった。

そして、少し話しただけだが、かなり取材に慣れているようだ。

(テレビ局のアナウンサーって取材したりするもんなのか……?)


そして、二宮は柊のことを気にしていた。

彼女は景隆に会う直前に柊と挨拶を交わしたようだ。

二宮は「柊さんとは過去に何度かお会いした感じがするんです」と言っていた。

実際に彼女は皇に扮した柊と会っているのだが、柊の変装は景隆から見ても完璧だったので、すぐに気づかないのは無理もないだろう。 ※1


(ま、柊のことはどうでもいいか……)

景隆はサイバーフュージョンの社長、上村を探すべく辺りを見回していたところ、声をかけられた。


「石動さんですね。はじめまして、雫石といいます」

可憐な少女はそう言って、これ以上ないくらい丁寧なお辞儀をした。


(パ……パーフェクトヒロインだ……)

雫石に抱いた景隆の第一印象がこれだった。

※1 第112話 https://ncode.syosetu.com/n7115kp/112/

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