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第214話 試写会2

「うわぁあっ!」

試写会が終わり、景隆は映画関係者を集めたパーティに行くつもりであったが、またたく間に報道陣に囲まれた。

てっきり出演者や監督へ取材が入るものと思い込んでいたが、その一部が景隆の元へなだれ込んできた格好だ。


(あっ! そっか……)

映画『ユニコーン』のクレジットには翔動が記載されている。

また、以前出演したドキュメンタリー番組や、自社サービスである『ユニケーション』とユニコーンはコラボレーションをしている。

この映画の試写会に景隆が現れるのは自明と言えるだろう。


(道理でマスコミの数がやたら多いと思った……)

ユニコーンは話題の映画だ、事前情報で多くの取材依頼が来ている情報は聞いていたが、完全に自分は関係ないと思い込んでいた。

映画がメディアに広く取り上げられるのは大歓迎だが、その矛先が自分に向かうなら話は別だ。


(柊の言ったように、早く独占取材契約をしないとな)

翔動はメトロ放送との独占取材契約を結ぶ方向で進んでいる。


「石動さん! 映画をご覧になった感想をお聞かせください」

「映画に関しては素人ですが、予想以上に素晴らしく、感動しました」

「カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ」


(くそぅ……俺も柊みたいに変装できればなぁ……)

柊は霧島プロダクションとして活動するときは「皇将」という名前で、見た目も別人に変装している。

景隆は無駄に手間をかけている柊を揶揄したこともあったが、まさかそれがブーメランになるとは思いもしなかった。


(とはいえ、変装したらしたで、意識していると思われるのもやなんだよなぁ……)

景隆の心中は複雑だったが、とりあえずは目の前の報道陣に真摯に対応する必要がある。

まさか、景隆個人として、映画のプロモーションに一役買うことになるとは思ってもみなかった。


「この映画の売上はかなり期待できると言われていますが、スポンサーに名乗りを上げたのはこれを読んでいたからですか?」

(それは上村さんに聞けよ……)


景隆がさくら放送株を早めに買っていたことで、先見の明があったかのように思われているが、これは柊の未来の経験によるものだ。

スポンサーとしての翔動は後発組であるのだが、記者にとってはこの時系列は重要ではないのだろう。


「神代さんなら素晴らしい演技をしてくれると思っていましたが、実際はそれ以上でした」

「神代さんとはどのようなご関係ですか!」

(シマッタ……ヤブヘビだ……ここで柊の名前を出すのは悪手だな……となると……)


「実は弊社の最初の顧客が霧島プロダクションなんですよ」

「詳しくお聞かせください!」


***


「ふぅ、ひどい目にあった……」


景隆はなんとかマスコミ対応をやり過ごし、パーティ会場までたどり着いた。

パーティ会場は試写会が行われた映画館に併設されたレストランだった。


「ふふ、すっかり人気者ね」


景隆に声をかけてきたのは、以前に会った女性だった。

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