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第190話 出る杭

「ふむ、宇宙事業か」


柊は久しぶりに白鳥ビルに来ていた。

このところ柊は霧島プロダクションに出ずっぱりだった。

何やらライバルの芸能事務所、フォーチュンアーツの動きが怪しいようだが、まずは景隆の状況を共有していた。


柊は霧島プロダクションの仕事に本格的に入る前に、新田と共同でエッジスフィアのシステム移行ツールを作り上げていた。

これにより、かなり作業が自動化され、最小限の人員で大規模なシステム移行が実現した。

船井は下山を評価していたが、影の立役者は柊だった。


「柊のときは船井さんは宇宙事業を成功させていたのか?」

「んー……」

「え? そこで考えるとこなの!?」


柊は数学オリンピックに出てくるような難問を出されたかのような表情を浮かべた。


「宇宙事業に着手していたが、道半ばというところだ」

「それまでに何かあったって顔しているな」

「まぁな」

「隠すようなことなのか?」

「そうではないんだが、話すと長くなるうえに本筋から大分外れてしまうんだよ……

結論から言うと、船井さんは実刑判決を受けて表舞台から姿を消すことになるんだ」

「えええええぇっ!!?」


柊は未来で経験したことをポロリと言ったとき、景隆は大抵驚かされる。

船井とは熱く語り合ったばかりだったこともあり、この発言は特に衝撃的だった。


「それって刈谷さんが絡んでいるのか?」

「表向きは無関係と言われているが、全く関係がないというほうが無理があるだろうな」

「そこまでするのか……というかそこまでできちゃうのか……」


景隆は刈谷の持つ影響力に改めて戦慄した。

刈谷は社会的にも刑事的にも制裁を与えるほどの力を持っていることになる。


「まだ起きていないことだからな。熱くなるなよ」


船井は経営者としてのカリスマ性があるが、敵を作りやすい人物だ。

景隆も一時は軽くあしらわれていたが、じっくり話した今では彼を悪い人間だとは思えなかった。


「柊はそれも防ぐのか?」

「あぁ、そのつもりだ」


景隆は柊の表情をみて安堵した。

船井を助ける目算があるのだろう。


「しかし、船井さんが手を出したところはことごとく潰されるな。

今回のメトロ放送もそうだけど、プロ野球球団だって……」


船井は経営危機に直面したプロ野球球団の買収に名乗りを上げたことがあった。

しかし、球団側は船井の提案を拒絶した。

その後、船井は新球団設立の構想を発表し、新球団参入申請を行ったが、球界内の巨大な権力に阻まれた。


「あれ?……そういえば……ああああぁっ!」

「なんだ?」

「その球団を吸収合併したのはイーストリースじゃないか!」

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