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第169話 妹

「で、では白鳥の――」

「はい、義人の妹です」


景隆は縁日の金魚のように口をパクパクとさせていた。


(こ、これは白鳥がシスコンになるのも無理はないわ……)

景隆は内心で白鳥に謝罪した。

世界中のどこを探しても、ここまで美しく可憐な妹はいないだろう。

綾華とは挨拶しか交わしていないが、言葉遣いや所作からは育ちの良さが感じられ、内面の美しさが垣間見えた。


「『先ほど』とおっしゃっていた?」

「石動さん、お願いがございます」

「何でしょう?」


景隆は目の前の美少女にお願いをされたら、どんな無茶な要求でも断る自信はなかった。

観藤会の面々は綾華のことを白鳥家の宝と言っていたが、今となってはそれが痛いほど理解できた。


「私は石動さんより年下です。敬語はなしでお願いいたします」

「え、えっとわかりまし――わかった」


景隆は良家の子女に対して無礼にならないか、気が気ではなかったが、よく考えたら白鳥とは普通の同僚として接している。


「石動くんは、さっき綾華と会っているんだよ」

詮人はいたずらっぽく言った。


「あっ……あーーーーっ!」

景隆は詮人に同行していた美少年を思い出した。

それと同時に、どこかで会ったような気がしていたが、思い出すあと一歩のところで記憶が途切れていた。

(あと……あとちょっとで出てきそうなのに……)


「綾華は事情があって、外では変装しているんだ。

少なくとも、石動くんには効果があったようだね」

「白鳥は普段から普通にしているのに、綾華さんは何かあるんですね」

「あれ? 石動くんは綾華のことを本当に知らなかったんだ?」

「知らないも何も、初対面ですよね?」

「「……」」


詮人と綾華は驚いた表情を見せた。

これまで人形のように表情の変化がなかった綾華が、わずかに感情を見せただけで、景隆は自分の鼓動が早くなるのを自覚した。

綾華には万人を魅了するような不思議な魅力を備えているように思えた。

(もし、アイドルになったら、ファンはイチコロだろうな)


「ふふ、柊さんと同じですね」

綾華は優雅に微笑んだ。

この表情を見るためだけに、大枚を投じる男はごまんといるだろう。


「え? 柊?」

次から次へと押し寄せてくる情報に、景隆は頭がいっぱいになっていた。


「ん? そういえば、柊が救ったのは――」


デルタファイブのトラブルで白鳥へ助言した人物、スワンリビングでの神待遇 ※1 、観藤会での柊に対する尊人の態度――景隆の中で点と点が徐々につながっていった。


「はい、私です」

「ああああっ!」


目の前にいる超絶国宝級美少女が、景隆と柊を引き合わせるきっかけとなったことに、景隆はようやく思い至った。

※1 「芸能界に全く興味のない俺が、人気女優と絡んでしまった件」 123話 https://ncode.syosetu.com/n8845ko/123/

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