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第160話 200億の男

「で、どうすんの?」

数多の問題を解決してきた新田だったが、さすがに難しい表情をしていた。


景隆と新田は柊たちとは別行動となり、今は会議室で対策を協議していた。

議題は200億円という大金をどのように調達するかだ。


「カネノナルキは?」

「もちろん、200億円も入っていないわよ。このペースで指数的に資産が増えたと仮定しても、全然間に合わないわ」

「だよなぁ……」


翔動の余剰資金はすべて運用に回されていた。

運用によって得た利益は再投資されるため、ドローダウン(資産総額の減少)がなければ指数的に資産が増えることになる。

『カネノナルキ』と呼ばれている運用システムは、柊の未来の知識と新田の技術力によって、この時代では最先端ではあるものの、全知全能ではない。


「キリプロから受けた出資はカネノナルキに入れてよいとの許可が出ている」

「運用資金が増やせるってことね。でも、さくら放送の株も買わないといけないんでしょ?」

「あぁ、一気に買ってしまうとこっちの動きがバレてしまうから、カネノナルキから徐々に資金を回していく」

「私はその投資配分を最適化すればいいのね」

「話が早くて助かる」


景隆は改めて新田のすごさを実感した。

ゲームで、レベル1からエクスカリバーを手に入れたような気分だった。


「『キリプロから受けた出資()』と言っていたわね。別のところから得た資金はカネノナルキに回しちゃいけないってこと?」

「そうだ。SPCを作って、そこに出資してもらう」

「SPC?」


新田の疑問はもっともだろう。

景隆も柊から説明を受けたばかりだった。


「Special Purpose Company――日本語だと、特別目的会社だ。

特定された事業のために設立された法人のことを指す」

「今回の場合は、さくら放送の株を買うためだけの会社ってこと?」

「あぁ、そのとおりだ」


「なんのためにそのSPCを作るの?」

「いくつかの目的があるが、企業のリスクが明確になることだ」


「どゆこと?」

「たとえば、俺がさくら放送の株を買うために『翔動に出資してくれ』とお願いしたとする」

「まさにこれからやろうとしていることね」


「仮に翔動に出資してもらったとして、『ユニケーションの事業で大失敗して倒産しましたー』ってなったらどうする?」

「事前に翔動の信用リスクを評価する必要があるわね」


「そこで、子会社としてSPCを作り、そのSPCに出資をしてもらうスキームにするんだ」

「あっ! SPCはさくら放送の株を買うことしかしないから、リスクが明確になるってことね」


「そうだ。仮にSPCが解散することになっても、出資者はさくら放送の株という資産を回収すればいいんだ」

「なるほど……出資者にとっては出資しやすくなるってことね」


新田は感心するように景隆の話を聞いていた。

(まぁ、全部柊の受け売りなんだけどな……)


「ちょっと待って。じゃあ、キリプロはSPCじゃなくて翔動に出資しているから」

「カネノナルキに資金を回せるんだ」

「はー、金融って不思議な世界ね」


景隆は、柊が経験したさくら放送の買収失敗は、このSPCによって阻止されたのではないかと想像した。


「それで、新たな資金調達はどうするの?」

「あぁ、それは――」

本エピソードのタイトルは、国友やすゆき先生の作品からパクってます

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