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第159話 ミッションインポッシブル

「さくら放送の買収阻止は最も重要かつ、困難なミッションだ」

「まさにミッションインポッシブルだな」

景隆は柊に同意した。


景隆は翔動に新たに入社した田村という女性が淹れてくれたコーヒーを飲んでいた。

田村はアクシススタッフの元社員で、柊と上田の同僚だったようだ。


景隆としては、女性がお茶くみをするという典型的な古い日本企業文化を撤廃しているつもりであったが、田村は率先してこれを行っていた。

ほかにも、今や膨大となった経理などの庶務作業のほとんどは田村が行っており、彼女が抜けてしまうと業務が回らなくなるほどよく働いてくれていた。


「状況としてはかなり困難だが、有利な点もある」

「聞こう」

「これは言うまでもないが、俺がこの先起きることを知っているのに対し、船井さんは全く知らないということだ」

「船井さんより先に動けるのは大きな利点だな」


「それと、仮に俺たちの動きが判明したところで、相手にされない可能性は高いだろう」

「見下されているってことだろうが、これがいい意味に働くのか。なんだか複雑だな……」

「今後、船井さんと会うこともあるだろうが、うつけを演じておいてくれ」

「大石蔵之介みたいだな」


忠臣蔵では、大石蔵之介が吉良家を欺くために、豪遊していたという一幕がある。


「俺はメトロ放送と刈谷社長の動きを追うことにする。なので、さくら放送の議決権確保を石動に任せたい」

「あぁ、いいぞ。株をしこたま買いまくるってことだな」

「そうだ」


景隆はこの安請け合いがとんでもないことだと、すぐに知ることになる。


「船井さんが買収を阻止できる程度を買い集めればいいんだろ?」

「あぁ、そうだ。理想は大体14%弱くらいだ」

「10億とか20億くらい調達しないといけないのか?」


(このコーヒーうまいな……たしか、グァテマラとか言っていたな)

このときまでは、景隆は落ち着いてコーヒーを啜っていた。


「およそ200億円だ」

「ぶーーーーーーー!」

「ちょっ……汚いわね」


新田は自分のPCをかばいながら言った。


「に……にっ……」

「聞き間違いじゃないから、安心しろ」


目を白黒させている景隆をよそに、橘は「ふむ、そうですね」と手元のPCを操作しながらつぶやいていた。

新田も同様に、「時価総額わかるんだから、それくらい暗算できるでしょ」とこぼしていた。


「そ、それを……俺一人で!?」

「株を買うオペレーションは新田に任せたい。できるだけこっちの動きを悟らせないようにしたいが、できるか」

「やってみるわ」


新田は自動売買システムのアルゴリズムを開発していることから、適任だろうと思われた。


「それと、仮に資金調達できたとしても、5%以上を買ってしまうとこっちの動きがばれてしまう」

「そうだな。どうするんだ?」

「そうだな。そのためには――」


柊は景隆に作戦を提示した。


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