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第120話 観藤会、その後

「ちょーびっくりしたー」


景隆は事前情報なしで観藤会に巻き込まれたことに対して、柊に物申した。

景隆と柊は、赤澤が運転する高級車で自宅まで送迎されている。


「いい経験になっただろ?」

「まぁな……」


観藤会では、銀行の頭取や商社の社長など、景隆の人生では一生縁のないと思われる人物と面会するどころか、じっくりと話すことができた。

その中でも尊人の存在は圧倒的であった。


尊人の後継には観藤会のメンバーの中から選ばれると思われるが、景隆にはまったく想像がつかなかった。

(まぁ、俺には関係ないよな? ……本当にないよな?)


「石動が思っていたより堂々としていたので、俺は驚いたよ」


柊は「少なくとも俺がお前のくらいの頃は無理だった」と付け加えていた。

小声で話したのは黒田に聞こえないように配慮したためだろう。


「お前と会ってからは、散々振り回されてきたからな」


景隆は柊がきっかけで、これまで会ってきた人物を振り返った。

人気女優、芸能事務所の社長、インターネット企業の社長、携帯電話キャリアの取締役、ゲーム会社の社長――誰も彼もが、一介の会社員であった景隆には到底たどり着くことのできない人物だ。

そして、極めつけは観藤会の面々である。


景隆は改めて柊が持つ人脈に慄いた。

(コイツは人生をやり直してから数年も経たずに、これだけの人的ネットワークを築き上げたのか……)


今日、景隆は緊張はしたものの、臆することなくあの恐ろしい面々と対峙できたのは、景隆は柊に鍛えられたからだと感じていた。

柊は当然のことながら、景隆の性格を知り尽くしている。

柊が最低限の情報しか与えてこないのは、そのほうが景隆にとってはポジティブに働くと考えているのだろう。

景隆は柊が自分にとって、最強のメンターであることを改めて確信した。


「おぃ、柊」

「なんだ?」


景隆は耳がいい黒田にできるだけ聞こえないように話しかけた。

柊も小声で応答した。


「今日、結構なネタバレをかましていたが大丈夫なのか?」


柊は数年以内に発生する金融危機や国際情勢について語っていた。

特に金融危機は景隆にとって衝撃的で、今後の翔動のビジネス戦略を考えるうえで、無視できない要因だ。

柊の情報により、白鳥グループの事業戦略に修正が加わる可能性も考えられる。

(もしかして、蝶の羽ばたきとか、そんなレベルじゃないほど影響を与えたんじゃ……?)


「数ある可能性の内の一つを示しただけだからな。話半分で聞いているんじゃないか?」

「お前にとっては確定した事実だろ?」

「そうだけど、断定はしなかったからな。どう受け取るかは彼らの自由だ」


すでに白鳥の伯父である基人は事実確認に動いていた。

白鳥グループのトップたちが柊の話に関心を持ち、これから調査をするのであれば、何らかのアクションがあるかもしれない。

そう考えていた景隆であったが、思っていたよりも早く、その影響は出始めることになる。

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