表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
112/247

第112話 対談1

「うげぇ……緊張で吐きそうだ」

テレビ局のスタジオを前にして、景隆は緊張を隠せなかった。


「今日の石動さん、カッコいいですよ?」

「あ、ありがとうございます」

破壊力抜群の笑顔の神代に、景隆の顔はゆであがったタコのように真っ赤になった。


今日の景隆はスタイリストによって選定されたスーツを着ており、メイクが施されていた。

メイクをする理由として、照明の影響で顔が暗く見えたり、テカリを予防するためだと聞かされた。


「ふふ、多少噛んだりしても大丈夫ですよ」

橘が景隆をフォローするように言った。


『おぃ、柊、その格好はなんだ?』

『話せば長くなる。あと、ここでは皇と呼んでくれ』

『は?』


景隆はどういうわけかイケメンに扮装した柊とヒソヒソと話した。

景隆だから柊だとわかったものの、皇と名乗った男性を柊と判別するのはかなり難しいと感じた。

着飾った景隆と、今の柊を見比べた場合、テレビ映えするのは明らかに柊だ。


「石動さん、本日はよろしくお願いいたします」

神代と並んでも見劣りしない程の美人が挨拶をしてきた。


『アナウンサーの二宮さんだ』

『あ、そうか』


景隆は柊から事前に情報を与えられたことを思い出した。

二宮はテレビ局に所属する人気アナウンサーで、これから行われる対談の司会進行を担当する。


「株式会社翔動の石動と申します。よろしくお願いいたします」

二宮は「はぁ、二回目かぁ……私もまだまだだなぁ」と、ぶつぶつとつぶやいていた。


「皇さんも、よろしくお願いしますね」

「はい、よろしくお願いいたします」


二宮が親しげに挨拶をしているのと対照的に、柊は慇懃に返答していた。

その様子を神代は不機嫌そうに眺めている。

橘は表情には出していないものの、神代と同じような気配を感じ取った。


(あ、あれ? ……そういえば)

柊たちの不可解な言動が気になってしまったためか、景隆は緊張を忘れていた。


***


「神代さんがIT業界に関わったきっかけを教えてください」

「はい、CMの撮影がきっかけで――」


対談が始まり、二宮の問いかけに神代は堂々と応対していた。

(これで、俺より年下なんだから恐ろしいよな……)


「上村さんは映画『ユニコーン』にかなりご執心とお伺いしていますが――」

「はい、この作品の主人公は私の人生とかなり似ているところがありまして」

「それは興味深いですね、どういったところでしょうか」


二宮は事前にかなり準備をしているようだ。

相当な人気があるアナウンサーと聞いていたが、見た目だけではないことがうかがえた。


「石動さんは、デルタファイブ社で会社員を務めつつ、会社の経営をされています。

大変だと思いますが、どのように折り合いをつけているのでしょうか」


どうやら二宮は景隆のこともしっかりと調査しているようだ。

景隆は神代に関連する話題を想定していたため、自分自身のことを聞かれるのは予想外であった。


(柊とは事前に対策を練っていたけど、これは自分の考えを伝えるところだな)

景隆は腹をくくって話しだした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ